真壁の角地に建つ明治の店舗
高久家住宅店舗は、茨城県桜川市真壁町真壁191にある木造2階建の店舗建築で、明治期の建築、平成14年(2002年)に国の登録有形文化財となった。
建つのは、御陣屋前通りと下宿通りが交わる十字路の北東角である。商家町の角地は道行く人が目印にする場所で、高久家住宅店舗は二つの通りのどちらから見ても、低く長い一枚の壁として立ち上がる。
真壁の町は、真壁城に付属した集落を起点として広がった。城が廃されたあとは笠間藩の陣屋が置かれ、周辺の物産が集まる在郷町として、また上方の木綿を北関東・東北へ売り捌く中継地として栄えた。町なかには約100棟の登録文化財があり、高久家住宅店舗もその一つに数えられる。
高久家住宅店舗が登録された理由
登録は平成14年(2002年)8月21日、登録番号は08-0069、第34回の登録にあたる。告示は同じ年の9月3日に出された。適用された登録基準は「国土の歴史的景観に寄与しているもの」である。
この基準は、この建物についてはそのまま受け取ってよい。高久家住宅店舗が評価されたのは、珍しい技法や著名な棟梁のためではない。真壁の町並みは全体として意味を持つ景観であり、この角地はその全体を支えている一片だからである。
桜川市が登録制度を使い始めてからの動きは速かった。平成11年(1999年)から短期間で104棟の登録を進め、真壁は登録文化財の町として知られるようになる。町の中心部およそ17.6ヘクタールが重要伝統的建造物群保存地区に選定されたのは平成22年(2010年)のことだ。その翌年、平成23年(2011年)の東日本大震災では地区内の伝統的建造物の9割以上が被害を受け、災害復旧事業は長く続いた。いま歩ける町並みは、その修理の積み重ねの上にある。
見どころ
高久家住宅店舗の規模は桁行6間・梁間3間半、およそ11メートル×6.4メートルで、建築面積は131平方メートル。屋根は四方に勾配を落とす寄棟造で、桟瓦葺。出入口は妻側ではなく軒側にある平入の形をとる。
外装はモルタル塗である。真壁は火に痛い目を見た町だった。天保8年(1837年)の大火のあと、茅葺・板葺から瓦葺へ、そして塗籠や蔵造の壁へと町屋が置き換わり、主要な通りには見世蔵が並ぶようになる。木造の軸組に塗り壁をかける塗屋造は、同じ防火性能をより手軽に得るための選択だった。
正面に立って目で追うと、割り付けの規則が見えてくる。2間おきに柱を立て、その前面に一間幅の下屋庇を通す。庇の下は客が立つ場所であり、店の側は奥で仕事をする。この庇が壁面に濃い影の帯をつくるので、正午と夕方とでは建物の見え方がまるで変わる。
100年以上のあいだに改造は重なっており、文化庁の登録解説もそのことを隠していない。それでも外観の構成と座敷まわりには、建てられた当初の寸法感覚と造作が残っている。
高久家住宅店舗の見学方法
建物は桜川市が所有し、「チャレンジショップ」として運用されている。市内での開業を目指す人が、本格的な開業前に試験的に店を持てる施設である。貸し出される1階の面積は128.12平方メートルで、洗面所、トイレ、エアコン、フリーWi-Fiが備わる。対象は小売業・サービス業・簡易な調理による飲食業で、使用料は30日あたり10,000円。
つまり内部の見学方法はきわめて素朴で、出店者が営業していれば、客として入ればよい。拝観料も受付もない。営業日と営業時間は出店者が午前7時から午後10時までの範囲で自由に決めるうえ、入居者が入れ替わる期間もあるため、遠方から訪ねるなら桜川市都市整備課に事前確認をしておくと確実である。外観はいつでも道路から見られる。
道路からの外観撮影に制限はない。内部は営業中の店なので、撮影は出店者に一言断ってからにしたい。
真壁に鉄道駅はない。JR水戸線の岩瀬駅から桜川市バス「ヤマザクラGO」の筑波山口方面行きに乗り、町並みの最寄りである下宿停留所で降りる。市の案内では近くの真壁庁舎までバスで約25分、タクシーで約20分。岩瀬駅前にはレンタサイクルがあり、道はおおむね平坦で約10キロメートル、自転車という手もある。町なかは歩いて回れる広さだ。
Q&A
- 高久家住宅店舗の内部は見学できますか?
- 出店者が営業していれば、客として入ることができます。桜川市が1階をチャレンジショップとして貸し出しているためで、見学者としてではなく買い物客として立ち入る形になります。営業時間は出店者ごとに異なるので、事前に桜川市へ確認してください。
- 高久家住宅店舗に拝観料はかかりますか?
- かかりません。店舗として営業している建物なので入場料の設定はなく、通りに面した外観はいつでも無料で見られます。
- 高久家住宅店舗はいつ建てられ、いつ登録されたのですか?
- 建築は明治期、西暦では1868年から1911年の間とされています。国の登録有形文化財となったのは平成14年(2002年)8月21日で、登録番号は08-0069です。
- 高久家住宅店舗へは公共交通機関でどう行きますか?
- JR水戸線の岩瀬駅から桜川市バス「ヤマザクラGO」筑波山口方面行きに乗り、下宿停留所で下車します。市の案内では近くの真壁庁舎までバスで約25分、タクシーで約20分です。
- 高久家住宅店舗で写真を撮ってもよいですか?
- 道路からの外観撮影は自由です。内部は営業中の店舗ですので、撮影前に出店者へ声をかけてください。
基本データ
| 名称 | 高久家住宅店舗 |
|---|---|
| 所在地 | 茨城県桜川市真壁町真壁191 |
| 指定区分 | 登録有形文化財(建造物) |
| 指定年 | 平成14年(2002年)8月21日登録、登録番号08-0069 |
| 員数 | 1棟 |
| 寸法 | 木造2階建、瓦葺、建築面積131平方メートル。桁行6間、梁間3間半、およそ11メートル×6.4メートル |
| 所有者 | 桜川市 |
| 公開状況 | 市のチャレンジショップとして活用。出店者の営業時間内(午前7時から午後10時までの範囲で設定)に店内へ立ち入り可。拝観料なし。外観は常時見学可。 |
参考文献
- 文化庁 国指定文化財等データベース「高久家住宅店舗」
- https://kunishitei.bunka.go.jp/heritage/detail/101/00002875
- 桜川市「チャレンジショップ(国登録文化財 旧高久家住宅)の出店者を募集します」
- https://www.city.sakuragawa.lg.jp/kurashi/news/page010050.html
- 桜川市「桜川市真壁伝統的建造物群保存地区」
- https://www.city.sakuragawa.lg.jp/education/bunkazai/city_bunkazai/kuni_bunkazai/page003423.html
- 茨城県教育委員会「桜川市真壁伝統的建造物群保存地区」
- https://kyoiku.pref.ibaraki.jp/bunkazai/bunkazai-8557/
- 桜川市「市へのアクセス」
- https://www.city.sakuragawa.lg.jp/shisei/profile/page008866.html
最終更新日: 2026.09.09