宝円寺とは
宝円寺は、石川県金沢市宝町にある曹洞宗の寺院で、天正11年(1583年)に加賀藩祖前田利家が開いた前田家の菩提寺である。山号は護国山、本尊は釈迦牟尼仏。境内の明治5年(1872年)頃の本堂、昭和2年(1927年)頃の庫裏、明治32年(1899年)頃の山門及び築地塀の3件が、平成24年(2012年)8月13日に国の登録有形文化財(建造物)となった(文化庁)。
寺の始まりは、利家が越前府中(現在の福井県越前市)にいた頃にさかのぼる。利家はこの地の宝円寺の住職だった大透圭徐に帰依し、天正9年(1581年)に能登の所口(現在の七尾市)へ移ると、大透を招いて同じ名の寺を建てた。2年後に金沢城主となると再び大透を招き、金沢に護国山宝円寺を開いた。七尾の寺はのちに長齢寺と改められている(宝円寺を守る会、曹洞宗石川県宗務所)。
寺の案内によれば、慶長4年(1599年)に大坂で没した利家の葬儀は、遺言によりこの宝円寺で営まれた。藩主一族の位牌を安置する菩提寺として、加賀藩の曹洞宗寺院を束ねる触頭も務めた(金沢市観光協会、宝円寺を守る会)。
兼六園の地から小立野へ
曹洞宗石川県宗務所の寺院紹介によると、創建時の宝円寺は現在の兼六園の場所にあり、金沢城の石川門と向き合っていた。元和6年(1620年)、3代藩主前田利常の代に小立野の地に11,600坪の替地を与えられて移っている。
金沢市観光協会の案内では、利常は元和2年(1616年)頃から城下に散らばっていた寺社を3か所に集めた。宝円寺が建つ小立野寺院群はその一つで、金沢城の石垣に使う石を戸室山から運んだ「いし曳の道」沿いに、前田家ゆかりの寺院が並ぶ。
伽藍は何度も建て替えられた。寺の記録では、寛文9年(1669年)に5代藩主前田綱紀が本堂・客殿・庫裏・山門を改築し、このとき馬坂口に新しい表門を設けた。その後、宝暦9年(1759年)の大火で類焼して宝暦12年(1762年)に復興し、明治元年(1868年)2月28日には寺内からの失火で伽藍をすべて失った(宝円寺を守る会)。現在の登録建造物3件は、いずれもこの火災のあとに建てられたものである。
境内の構成
境内の入口に山門と左右の築地塀が建ち、奥に本堂が南東を向いて構える。庫裏は本堂の東側に並ぶ(文化庁)。3件はいずれも「国土の歴史的景観に寄与しているもの」として登録され、登録番号は17-0242から17-0244まで続く。石川県教育委員会は、標準的な曹洞宗本堂、1階に伝統的な間取りをもち2階に広い接客施設を備えた大型の庫裏、特異な装飾をもつ山門と築地塀がそろう寺として紹介している。
本堂の背後には前田家ゆかりの墓地がある。寺の案内によれば、明治以降に神式の葬儀へ改めたため、土を盛った墓の正面に鳥居を立てた珍しい姿になっている。同じ墓所の中に、利家の自画像と髪を納めたと伝わる御影堂・御髪堂と、画家俵屋宗達の墓とされるものがある(金沢市観光協会、宝円寺を守る会)。本堂に沿って苔庭も設けられている。
各建物の構造と見どころは、それぞれのページで扱っている。
年中行事
寺の年中行事には、4月13日に開山大透圭徐と開基利家をしのぶ高徳会、9月15日に俵屋宗達をしのぶ宗達会、9月23日に13代藩主前田斉泰をしのぶ斉泰会があり、いずれも法要に茶会を添える。1月18日の初講と8月10日の四万六千日には、十一面観世音菩薩が開帳される(宝円寺を守る会、曹洞宗石川県宗務所)。宝円寺は北陸三十三観音霊場の第十三番札所でもある。
曹洞宗石川県宗務所によれば、寺には俵屋宗達の画号にちなむ茶室「対青軒」がある。坐禅や茶禅などの禅体験も受け付けており、英語の案内も用意されている(宝円寺を守る会、金沢市観光協会)。
拝観とアクセス
宝円寺を守る会の案内では、拝観時間は午前9時から午後4時、拝観料は500円で、団体の場合はできれば事前に連絡してほしいとしている。金沢市観光協会の案内によれば、境内は無料で入れ、建物内の拝観が有料となる。御朱印は3名以上なら事前の連絡が要る。
JR金沢駅東口バスターミナルの12番乗場から、北陸鉄道バスの湯涌温泉行き(小立野経由と表示された便)に乗り、約13分の「石引町」で降りて歩いて7〜8分ほどである。金沢ふらっとバス菊川ルートの「中石引」からも徒歩約7分(宝円寺を守る会、金沢市観光協会)。周辺は起伏が多く、馬坂や木曽坂といった坂の名が今も残る。
電話は076-231-6050。行事や催しの予定は寺の公式サイトに掲載される。
参考文献
- 宝円寺本堂(国指定文化財等データベース)
- https://kunishitei.bunka.go.jp/heritage/detail/101/00009265
- 宝円寺庫裏(国指定文化財等データベース)
- https://kunishitei.bunka.go.jp/heritage/detail/101/00009266
- 宝円寺山門及び築地塀(国指定文化財等データベース)
- https://kunishitei.bunka.go.jp/heritage/detail/101/00009267
- 文化審議会の答申について(石川県教育委員会 記者発表資料、平成24年4月20日)
- https://www.pref.ishikawa.lg.jp/kyoiku/bunkazai/kisya-happyou/documents/bunkazai.pdf
- 宝円寺(金沢旅物語 金沢市観光協会)
- https://www.kanazawa-kankoukyoukai.or.jp/spot/detail_10218.html
- いし曳のみち 小立野寺院群(金沢旅物語 金沢市観光協会)
- https://www.kanazawa-kankoukyoukai.or.jp/feature/temples/ishibiki/index.html
- 護国山 宝円寺(曹洞宗石川県宗務所)
- https://www.sotozen-net.jp/temple/3
- 宝円寺のご案内(宝円寺を守る会)
- https://sites.google.com/view/houenji-mamoru/%E3%83%9B%E3%83%BC%E3%83%A0/%E5%AE%9D%E5%86%86%E5%AF%BA%E3%81%AE%E3%81%94%E6%A1%88%E5%86%85
- 拝観と交通のご案内(宝円寺を守る会)
- https://sites.google.com/view/houenji-mamoru/%E3%83%9B%E3%83%BC%E3%83%A0/%E6%8B%9D%E8%A6%B3%E3%81%A8%E4%BA%A4%E9%80%9A%E3%81%AE%E3%81%94%E6%A1%88%E5%86%85
- 年間行事(宝円寺を守る会)
- https://sites.google.com/view/houenji-mamoru/%E3%83%9B%E3%83%BC%E3%83%A0/%E5%B9%B4%E9%96%93%E8%A1%8C%E4%BA%8B
最終更新日: 2026.10.20
基本情報
| 名称 | 宝円寺 |
|---|---|
| 所在地 | 石川県金沢市宝町358 |
| 所有者 | 宗教法人宝円寺 |
| 指定 | 登録有形文化財 3件 |
| 座標 | 36.55960, 136.67011 |