4年の間をおいて積まれた段

甚之助谷第二一号砂防堰堤は、石川県白山市白峰の甚之助谷中流部にある昭和12年(1937年)築造の砂防堰堤で、平成24年(2012年)2月23日に登録有形文化財として登録された。堤長28.5メートル、堤高5.0メートル。直下流の第二〇号堰堤がためた堆砂の上に築かれている。

下の第二〇号堰堤が昭和8年(1933年)の築造だから、この一基までに4年の間隔がある。階段状の工法では、下の堰堤に土砂がたまるのを待ってから次を建てる。甚之助谷第二一号砂防堰堤の築造年は、その待ち時間がどれほどだったかを示す数字でもある。

登録の理由

昭和12年は、手取川流域に死者97名を出した昭和9年(1934年)の大水害の3年後にあたる。あの水害で甚之助谷と柳谷の筋では崩壊が起きず、砂防の効果が広く認められた。その直後に階段を積み増した一基がこの堰堤である。白山の砂防が国の直轄事業となった昭和2年(1927年)以来の計画が続いていたことを、築造年が示している。

登録有形文化財は届出制の緩やかな保護措置で、許可制の指定制度とは別の仕組みである。甚之助谷第二一号砂防堰堤は「国土の歴史的景観に寄与しているもの」として登録された。土木学会は平成16年度(2004年度)に、甚之助谷の階段状堰堤群を選奨土木遺産に認証している。

笠石を失い、袖を継がれて

堤体は現地の石を積んで目地にモルタルを入れた練積である。水通しは上に開く逆台形の形を保つが、その縁の笠石は現在失われている。両袖部もコンクリート造に置き換えられており、当初のまま残るのは中央の石積みということになる。

堤長28.5メートル、堤高5.0メートル。11基の中では中くらいの規模だが、石積みとコンクリートの継ぎ目、笠石の抜けた上端という二つの痕跡が同居している。この谷の堰堤が経てきた80年余りが、一つの堤体に読み取れる。

見学方法

甚之助谷第二一号砂防堰堤は山中の現役施設で、堤体に立ち入ることはできない。堰堤のそばに見学設備や解説板は置かれていない。別当出合から続く登山道の砂防新道を歩き、谷側が開ける地点から中流部の堰堤群を見下ろすことになる。階段状の並びでは上のほうに位置するため、下の堰堤から順に数えていくと見当がつく。

撮影を禁じる掲示は確認できない。改築や補修の工事は続いており、工事中の区域には近づかないこと。谷への行き方、マイカー規制、登山届の義務、白山砂防科学館の案内は甚之助谷砂防施設群のページにまとめてある。

Q&A

Q甚之助谷第二一号砂防堰堤はいつ造られましたか。
A昭和12年(1937年)です。直下流の第二〇号堰堤の昭和8年(1933年)から4年後にあたります。
Qなぜ下の堰堤から4年も空いているのですか。
A階段状の工法では、下の堰堤に土砂がたまるのを待ってから次の堰堤を建てるためです。間隔は堆砂の進み方で決まります。
Q甚之助谷第二一号砂防堰堤の大きさは。
A堤長28.5メートル、堤高5.0メートルです。11基の中では中くらいの規模にあたります。
Q甚之助谷第二一号砂防堰堤は見学できますか。
A山中の現役施設で拝観料も開館時間もなく、堤体には立ち入れません。別当出合からの登山道を歩いて谷側から遠望することになります。
Q甚之助谷第二一号砂防堰堤の見どころはどこですか。
A笠石が失われた上端と、コンクリート造に置き換えられた両袖部です。当初のまま残るのは中央の石積みです。

基本情報

名称甚之助谷第二一号砂防堰堤
所在地石川県白山市白峰
指定区分登録有形文化財(建造物)
指定年平成24年(2012年)2月23日登録
員数1基
寸法堤長28.5メートル、堤高5.0メートル
所有者石川県
公開状況屋外の現役施設。登山道からの遠望のみ

参考文献

文化庁 国指定文化財等データベース 甚之助谷第二一号砂防堰堤
https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00009155
国土交通省 北陸地方整備局 金沢河川国道事務所 15施設が国の登録有形文化財に登録
https://www.hrr.mlit.go.jp/kanazawa/hakusansabo/03history/touroku.html
国土交通省 北陸地方整備局 金沢河川国道事務所 白山砂防事業の歴史
https://www.hrr.mlit.go.jp/kanazawa/hakusansabo/03history/history01.html
国土交通省 北陸地方整備局 金沢河川国道事務所 甚之助谷砂防堰堤群が土木遺産に認証
https://www.hrr.mlit.go.jp/kanazawa/hakusansabo/03history/isan01.html
石川県 白山登山ピーク時の交通規制について
https://www.pref.ishikawa.lg.jp/hakusan/tozaninf/peak2.html
石川県 白山の登山届の提出の義務化について
https://www.pref.ishikawa.lg.jp/bousai/bousai_g/hakusan_kazan/jorei.html

最終更新日: 2026.09.17