上流部で横に広がる一基

甚之助谷第二二号砂防堰堤は、石川県白山市白峰の甚之助谷中流部にある昭和12年(1937年)築造の砂防堰堤で、平成24年(2012年)2月23日に登録有形文化財として登録された。堤長36.0メートル、堤高4.5メートル。直下流の第二一号堰堤がためた堆砂の上に築かれている。

堤長36.0メートルは、階段状に並ぶ11基の中で最下流の第一一号堰堤に次ぐ長さである。番号が上がるほど谷は狭くなりそうなものだが、実際にはそうならない。甚之助谷第二二号砂防堰堤が立つあたりで谷はいったん開き、堰堤も横へ長く延ばす必要が生じた。

登録の理由

昭和12年は、手取川流域に死者97名を出した昭和9年(1934年)の大水害の3年後にあたる。あの水害で甚之助谷と柳谷の筋には崩壊が起きず、砂防の効果が広く認められた。甚之助谷第二二号砂防堰堤は、その直後に階段を積み増した施設のひとつであり、白山の砂防が国の直轄事業となった昭和2年(1927年)以来の計画が続いていたことを示している。

登録有形文化財は届出制の緩やかな保護措置で、許可制の指定制度とは別の仕組みである。この堰堤は「国土の歴史的景観に寄与しているもの」として登録された。土木学会は平成16年度(2004年度)に、甚之助谷の階段状堰堤群を選奨土木遺産に認証している。

低く長い堤体

堤体は現地の石を積んで目地にモルタルを入れた練積である。水通しは上に開く逆台形の形を保つが、その縁の笠石は現在失われている。両袖部もコンクリート造に置き換えられており、当初のまま残るのは中央の石積みということになる。

堤長36.0メートルに対して堤高は4.5メートル。11基の中でも横長の比率が際立ち、正面から見ると低く伸びた壁のように映る。同じ年に築かれた直下流の第二一号堰堤が堤長28.5メートルであることと比べると、谷幅の違いがそのまま寸法に出ている。

見学方法

甚之助谷第二二号砂防堰堤は山中の現役施設で、堤体に立ち入ることはできない。堰堤のそばに見学設備や解説板は置かれていない。別当出合から続く登山道の砂防新道を歩き、谷側が開ける地点から堰堤群を見下ろすことになる。横幅があるため、階段の上のほうで目につきやすい一基である。

撮影を禁じる掲示は確認できない。改築や補修の工事は続いており、工事中の区域には近づかないこと。谷への行き方、マイカー規制、登山届の義務、白山砂防科学館の案内は甚之助谷砂防施設群のページにまとめてある。

Q&A

Q甚之助谷第二二号砂防堰堤はいつ造られましたか。
A昭和12年(1937年)です。直下流の第二一号堰堤と同じ年に築かれています。
Q甚之助谷第二二号砂防堰堤の大きさは。
A堤長36.0メートル、堤高4.5メートルです。堤長は階段状の11基で2番目に長い部類にあたります。
Q甚之助谷第二二号砂防堰堤はなぜ横長なのですか。
Aこの位置で谷幅がいったん開くためです。堰堤の寸法は谷の形と河床の条件で決まります。
Q甚之助谷第二二号砂防堰堤は見学できますか。
A山中の現役施設で拝観料も開館時間もなく、堤体には立ち入れません。別当出合からの登山道を歩いて谷側から遠望することになります。
Q甚之助谷第二二号砂防堰堤の見どころはどこですか。
A低く長い堤体の比率です。笠石は失われ、両袖部はコンクリート造に置き換えられているため、当初のまま残るのは中央の石積みです。

基本情報

名称甚之助谷第二二号砂防堰堤
所在地石川県白山市白峰
指定区分登録有形文化財(建造物)
指定年平成24年(2012年)2月23日登録
員数1基
寸法堤長36.0メートル、堤高4.5メートル
所有者石川県
公開状況屋外の現役施設。登山道からの遠望のみ

参考文献

文化庁 国指定文化財等データベース 甚之助谷第二二号砂防堰堤
https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00009156
国土交通省 北陸地方整備局 金沢河川国道事務所 15施設が国の登録有形文化財に登録
https://www.hrr.mlit.go.jp/kanazawa/hakusansabo/03history/touroku.html
国土交通省 北陸地方整備局 金沢河川国道事務所 白山砂防事業の歴史
https://www.hrr.mlit.go.jp/kanazawa/hakusansabo/03history/history01.html
国土交通省 北陸地方整備局 金沢河川国道事務所 甚之助谷砂防堰堤群が土木遺産に認証
https://www.hrr.mlit.go.jp/kanazawa/hakusansabo/03history/isan01.html
石川県 白山登山ピーク時の交通規制について
https://www.pref.ishikawa.lg.jp/hakusan/tozaninf/peak2.html
石川県 白山の登山届の提出の義務化について
https://www.pref.ishikawa.lg.jp/bousai/bousai_g/hakusan_kazan/jorei.html

最終更新日: 2026.09.17