岩手大学農学部(旧盛岡高等農林学校)とは
岩手大学農学部(旧盛岡高等農林学校)は、岩手県盛岡市上田の岩手大学キャンパスに残る旧盛岡高等農林学校の建物で、大正元年(1912年)竣工の旧本館と明治35年(1902年)頃の門番所の2棟が、平成6年(1994年)7月12日に重要文化財に指定された。旧正門1所も附(つけたり)として指定に含まれる。
盛岡高等農林学校は、明治35年(1902年)に日本で最初の高等農林学校として開校した。旧本館はその中心となる校舎として大正元年(1912年)12月に完成した、青森ヒバを用いた木造2階建ての欧風建築で、建築面積は500.82㎡、屋根はスレート葺である。当時は1階に校長室・事務室・会議室があり、2階は大講堂として式典などの学校行事に使われた。
昭和24年(1949年)に岩手大学が発足すると、旧本館は大学本部となった。昭和49年(1974年)に本部が移転したあと、昭和52年(1977年)に同窓生らの寄付で改修され、翌昭和53年(1978年)から農業教育資料館として使われている。
門番所は木造、建築面積27.27㎡、鉄板葺の小さな建物である。文化庁は明治35年頃の建築とし、大学は明治36年(1903年)に当時の正門(現在の通用門)に建てられ、本館の完成にあわせて現在地に移されたと説明している。
岩手大学農学部(旧盛岡高等農林学校)が重要文化財とされた理由
岩手大学によると、旧本館は明治期に設けられた国立専門学校の中心施設として現存する数少ない遺構の一つで、改造が少なく保存状態も良かったことから指定を受けた。日本の学校建築の歩みを知るうえで貴重な建物とされる。
門番所と旧正門(土塁の一部を含む)も、本館と同じ時期の学校施設として価値が認められ、あわせて指定された。校舎だけでなく、正門と門番という学校の入口の構えが一組で残っていることも、旧盛岡高等農林学校の特徴である。
指定と同時に大規模な修復が行われ、旧本館はほぼ建設当時の状態に戻された。平成24年(2012年)には耐震改修が行われ、翌年に展示を新しくして再開館している。
岩手大学農学部(旧盛岡高等農林学校)の見どころ
城郭のような旧正門
旧正門は、本館の完成にあわせて本館の西側に造られた。河岸段丘の上の台地と下の台地の間に取り付け道路を通し、上の台地側に土塁を盛って、花崗岩を積んだ門柱で支えている。大学はその構えを城郭のようだと表現する。門柱の上には古い地球儀のような門柱灯が載り、門の内側には大正9年(1920年)に並木の起点として植えられたユリノキの巨木が立つ。
八角形の門番所
門番所は大学が「寄せ棟風八角」と呼ぶ八角形の小さな建物で、明治期の学校の守衛所の姿を伝える数少ない例である。旧正門の脇に立つので、門柱と並べて眺めると、明治・大正の高等農林学校の入口がどのような構えだったかが想像しやすい。
旧本館の資料館と宮沢賢治
旧本館は現在、岩手大学農学部附属の農業教育資料館として一般に有料で公開されている。宮沢賢治は大正4年(1915年)から大正9年(1920年)まで、盛岡高等農林学校の農学科第二部の本科生、続いて研究生として在籍した。この旧本館が完成して間もない時期の学生だったことになる。
資料館の第四展示室には、賢治の在学時代の地質調査用具、賢治が採取した岩石や自作の顕微鏡用岩石薄片、得業(卒業)論文「腐植質中ノ無機成分ノ植物ニ対スル価値」、同人誌「アザリア」などが並ぶ。恩師の関豊太郎教授とともに取り組んだ土壌調査が、のちの農業指導や「グスコーブドリの伝記」につながったと大学は紹介している。
岩手大学農学部(旧盛岡高等農林学校)の見学方法
旧本館の農業教育資料館は午前10時から午後3時まで開館し、入館は午後2時30分までである。入館料は一般140円、高校・大学生100円、小・中学生70円で、20名以上の団体は割引になり、事前に見学申込票を出す。
平日は通年で開館し、4月の最終土曜日から11月3日までは土日祝日も開く。2026年度の開館予定では、8月8日から8月17日までと年末年始が休館である。館内には冷暖房がなく、猛暑で熱中症の危険が高いと判断された日は臨時に閉館するため、夏は大学のウェブページで当日の情報を確かめたい。
門番所と旧正門は外から眺める建物で、内部公開の案内はない。撮影の可否は公開資料に記載が見当たらないため、館内で撮影する場合は受付で確認するとよい。
岩手大学は盛岡駅から約2kmで、歩くと25分ほどかかる。バスなら盛岡駅前東口バスターミナルの11番乗り場から岩手県交通の松園バスターミナル行きか桜台団地行きに乗り、「岩手大学前」まで約10分である。
Q&A
- 岩手大学農学部(旧盛岡高等農林学校)の重要文化財には何が含まれますか?
- 大正元年(1912年)竣工の旧本館と、明治35年(1902年)頃の門番所の2棟です。旧正門1所も附として含まれます。平成6年(1994年)に指定されました。
- 旧盛岡高等農林学校の旧本館は見学できますか?開館時間と入館料は?
- 農業教育資料館として公開されています。開館は午前10時から午後3時(入館は午後2時30分まで)で、入館料は一般140円、高校・大学生100円、小・中学生70円です。
- 岩手大学農学部(旧盛岡高等農林学校)の資料館は土日も開いていますか?
- 4月の最終土曜日から11月3日までは土日祝日も開館します。それ以外の時期は平日のみの開館です。夏季の一斉休業や猛暑による臨時休館があります。
- 旧盛岡高等農林学校の資料館で宮沢賢治の資料は見られますか?
- 見られます。第四展示室に、賢治の在学時代の地質調査用具、採取した岩石、得業論文、同人誌「アザリア」などが展示されています。
- 盛岡駅から岩手大学農学部(旧盛岡高等農林学校)への行き方は?
- 盛岡駅前東口バスターミナル11番乗り場から岩手県交通のバスで「岩手大学前」まで約10分です。歩く場合は約2km、25分ほどです。
基本情報
| 名称 | 岩手大学農学部(旧盛岡高等農林学校) |
|---|---|
| 所在地 | 岩手県盛岡市上田3丁目18番8号 |
| 指定区分 | 重要文化財 |
| 指定年 | 平成6年(1994年) |
| 員数 | 2棟(旧本館、門番所)、附 旧正門1所 |
| 寸法 | 旧本館:木造2階建、建築面積500.82㎡/門番所:木造、建築面積27.27㎡ |
| 所有者 | 国立大学法人岩手大学 |
| 公開状況 | 旧本館は農業教育資料館として公開(午前10時〜午後3時、入館は午後2時30分まで、一般140円) |
参考文献
- 国指定文化財等データベース(文化庁)岩手大学農学部(旧盛岡高等農林学校)旧本館
- https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/102/94
- 国指定文化財等データベース(文化庁)岩手大学農学部(旧盛岡高等農林学校)門番所
- https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/102/95
- 岩手大学 農業教育資料館
- https://www.iwate-u.ac.jp/academics/facility/hmae.html
- 岩手大学農学部附属農業教育資料館 資料館の由来
- https://edu.agr.iwate-u.ac.jp/p1.html
- 岩手大学農学部附属農業教育資料館 重要文化財指定
- https://edu.agr.iwate-u.ac.jp/p6.html
- 岩手大学農学部附属農業教育資料館 門番所と旧正門
- https://edu.agr.iwate-u.ac.jp/p4.html
- 岩手大学農学部附属農業教育資料館 宮澤賢治関係資料
- https://edu.agr.iwate-u.ac.jp/p3.html
- 岩手大学農学部附属農業教育資料館 2026年度開館予定日カレンダー(PDF)
- https://www.iwate-u.ac.jp/upload/schedule2026.pdf
- 岩手大学 アクセス
- https://www.iwate-u.ac.jp/access.html
最終更新日: 2026.10.05
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