粟島海洋記念館の成り立ち
粟島海洋記念館は、香川県三豊市詫間町粟島にある旧粟島海員学校の校舎群で、大正9年(1920年)に建てられた本館・教室棟2棟・柔道場と門柱の計5件が、平成11年(1999年)6月7日に登録有形文化財に登録された。所有者は香川県である。
粟島は詫間港の北西約4.5キロメートルの海上にある島で、江戸時代には北前船の寄港地としてにぎわった。明治30年(1897年)、この島に村立の海員養成校が開かれる。地元の村会議員で海運業も営んだ中野寅三郎が、私財と用地を出したと伝えられている。
学校はその後、明治39年(1906年)に県立粟島航海学校となったとされ、昭和15年(1940年)には国立へ移管された。戦後は国立粟島海員学校として、外航船の乗組員を送り出し続けた。
廃校は昭和62年(1987年)で、開校から90年が過ぎていた。校舎はそのまま粟島海洋記念館として残され、船舶機器や模型、海員学校時代の写真や資料を展示してきた。跡地一帯は粟島海洋記念公園として整えられている。
文化庁の解説は粟島海員学校を「我が国最初の海員養成校」と記し、香川県は日本で最初の「地方海員養成学校」と紹介している。開校は明治30年だが、いま残る校舎は大正9年(1920年)の建築である。
5件の登録文化財と配置
5件はいずれも平成11年(1999年)6月7日付の登録で、登録番号37-0020から37-0024が振られている。4棟は木造、門柱だけが石造である。
- 本館(旧粟島海員学校本館):木造2階建で、2階を講堂にあてる。敷地の正面、海に向いて建つ
- 資料館(旧粟島海員学校教室):本館の西に接する木造平屋建の教室棟。廃校後に海事資料の展示室となった
- 研修棟(旧粟島海員学校教室):資料館のさらに西、敷地の西側に南北に長く建つ木造平屋建の教室棟
- 武道場(旧粟島海員学校柔道場):本館の裏手に中庭をはさんで建つ木造平屋建
- 門柱(旧粟島海員学校門柱):本館の正面に2本並ぶ花崗岩の門柱
海側から見ると、門柱の奥に本館が立ち、その西へ資料館の正面が同じ意匠で続く。文化庁の解説は、この2棟が並んで海員学校の表の構えをつくっているとみる。研修棟は正面の列の西の端、武道場は本館の裏にあたる。
建物は淡い緑色に塗られ、粟島港に着くとまず目に入る。三豊市によると、庭には古い碇や戦時中の機雷のほか、日清戦争のころの清国軍艦のものとされる鐘も置かれている。
見学の条件と島への渡り方
粟島海洋記念館は令和3年(2021年)12月24日から、改修工事のため全面立入禁止になっている。三豊市観光交流局は、その期間を令和9年(2027年)3月31日までと案内している(2026年9月確認)。期間中は館内にも敷地にも入れず、5件は外から眺めることになる。
粟島港から記念館の前を通って海沿いへ抜ける道があり、門柱と本館、資料館の正面はこの道から見える。撮影も外から見える範囲に限られる。
公開されていた時期の開館時間は午前9時から午後4時、入館は無料で、休館日は火曜日(祝日の場合は翌日)と年末年始だった。再開後の条件は改めて三豊市観光交流局の案内で確かめてほしい。
島へは三豊市の須田港から粟島汽船で約15分、三豊市の案内では1日8便が出ている。須田港へはJR予讃線の詫間駅から三豊市コミュニティバスで須田停留所まで約8分、停留所から港までは歩いて約5分。須田港の駐車場は無料で使える。宮の下港から志々島を経由する便もあり、こちらは約50分かかる。粟島港から記念館までは徒歩約5分である。時刻と運賃は三豊市の粟島汽船の案内で確認できる。
名称と表記
施設名は粟島海洋記念館(あわしまかいようきねんかん)。学校の旧称は粟島海員学校で、国立時代は国立粟島海員学校、県立時代は粟島航海学校と呼ばれた。文化庁の登録名称は「粟島海洋記念館本館(旧粟島海員学校本館)」のように、現在の名称のあとに旧称を括弧で添える形をとる。
表記の違いが2点ある。武道場は文化庁のデータベースでは「武道場」だが、三豊市教育委員会の一覧では「武道館」と書かれている。門柱の員数も、文化庁は1基、三豊市の一覧は1棟とする。本サイトは文化庁の表記に従っている。
参考文献
- 国指定文化財等データベース(文化庁)粟島海洋記念館本館(旧粟島海員学校本館)
- https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00001140
- 国指定文化財等データベース(文化庁)粟島海洋記念館資料館(旧粟島海員学校教室)
- https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00001141
- 国指定文化財等データベース(文化庁)粟島海洋記念館研修棟(旧粟島海員学校教室)
- https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00001142
- 国指定文化財等データベース(文化庁)粟島海洋記念館武道場(旧粟島海員学校柔道場)
- https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00001143
- 国指定文化財等データベース(文化庁)粟島海洋記念館門柱(旧粟島海員学校門柱)
- https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00001144
- 文化遺産オンライン 粟島海洋記念館本館(旧粟島海員学校本館)
- https://online.bunka.go.jp/heritages/detail/185870
- 三豊市 粟島
- https://www.city.mitoyo.lg.jp/kakuka/seisaku/sangyo/14_1/2434.html
- 三豊市 粟島汽船のご案内
- https://www.city.mitoyo.lg.jp/kakuka/seisaku/koutsuu/1_1/1_3/2670.html
- 三豊市 登録有形文化財
- https://www.city.mitoyo.lg.jp/kakuka/kyouikuiinkai/shogai/3_1/history_bunnkazai/13938.html
- 香川県 人が温かい島(粟島)
- https://www.pref.kagawa.lg.jp/chiiki/seto-island/detail/awashima.html
- 三豊市観光交流局 粟島海洋記念館
- https://www.mitoyo-kanko.com/facility/awashimamuseum/
- 三豊市観光交流局 瀬戸内・粟島
- https://www.mitoyo-kanko.com/awashimaisland/
- 瀬戸内国際芸術祭 世界の海で活躍。粟島海員学校と海の暮らし
- https://setouchi-artfest.jp/blog/detail158.html
最終更新日: 2026.09.25
基本情報
| 名称 | 粟島海洋記念館 |
|---|---|
| 所在地 | 香川県三豊市詫間町粟島1541 |
| 所有者 | 香川県 |
| 指定 | 登録有形文化財 5件 |
| 座標 | 34.26845, 133.63161 |