来民の東南に建つ豪農の主屋

山鹿の中心街から東南へ少し外れた一角に、桟瓦を葺いた大きな屋根が低い塀の奥に構えている。吉岡家住宅の主屋である。建築は明治十八年(一八八五)頃、建築面積はおよそ三〇九平方メートルにおよぶ。吉岡家は田畑を持つ豪農で、うちわの産地として知られる来民にあって養蚕を営んだ家であった。

主屋は東面し、屋根は入母屋造の桟瓦葺。片側に土間を通し、その北側に二列六室を配する。土間脇のオモテには玄関が取り付き、農家の日常と接客の場とを一棟のなかで分けている。

登録に至った理由

平成二十八年(二〇一六)十一月、文化庁は主屋を含む敷地内の六棟をまとめて登録有形文化財に登録した。適用された登録基準は、六棟に共通して「国土の歴史的景観に寄与しているもの」である。

主屋の登録番号は43―0158。登録は、国宝や重要文化財の指定に比べて緩やかな保護の枠組みで、日常に使われる建物を残し活かすための制度にあたる。主屋が評価されたのは装飾の希少さではなく、屋敷・蔵・門・塀・堂が一組で残る明治期の屋敷構えの完結性による。

見どころ

天井の造り分けに目を向けたい。内部の大半は棹縁天井とするが、二階を設けた部分の一階だけは根太天井とし、上階の位置を天井の仕様が示している。

通りから一歩下がって眺めると、主屋は単独の建物というより屋敷全体の要として立っていることがわかる。門・塀・蔵・阿弥陀堂はいずれも主屋を囲むように配され、その配置が敷地の景観をかたちづくっている。個人の住まいであるため、見学は外観と周辺の町並みに限られる。

Q&A

Q主屋はいつ建てられたのですか。
A明治十八年(一八八五)頃の建築です。平成二十八年(二〇一六)十一月二十九日に登録有形文化財となりました。
Q吉岡家はどのような家でしたか。
A田畑を持つ豪農で、農業のかたわら養蚕を営んだ家と伝わります。
Q入母屋造とはどのような屋根ですか。
A上部を切妻、下部を寄棟とした形式の屋根です。ここでは桟瓦で葺いています。
Q内部を見学できますか。
A個人所有の住宅のため、通常は非公開です。外観と周辺の町並みは通りから眺めることができます。

基本情報

名称吉岡家住宅主屋(よしおかけじゅうたくしゅおく)
所在地熊本県山鹿市鹿本町来民字今古閑2034
指定区分登録有形文化財(建造物)
登録年月日2016年(平成28年)11月29日
登録番号43-0158
構造・形式木造平屋一部2階建、瓦葺、建築面積約309㎡
員数1棟
所有者個人
公開状況個人所有の住宅で通常非公開

参考文献

国指定文化財等データベース — 吉岡家住宅主屋
https://kunishitei.bunka.go.jp/heritage/detail/101/00011426
文化遺産オンライン — 吉岡家住宅主屋
https://bunka.nii.ac.jp/heritages/detail/288183
山鹿市 — 指定文化財一覧
https://www.city.yamaga.kumamoto.jp/kiji00396/index.html

最終更新日: 2026.07.04