5躯の仏像 ― 2019年に国宝

木造五智如来坐像は、京都国立博物館(京都府京都市東山区茶屋町527)にある平安時代の彫刻で、1910年(明治43年)8月29日に重要文化財となり、2019年(令和元年)7月23日に国宝に指定された。員数は5躯、指定番号は00138、所有は安祥寺である。附指定はない。

分類は彫刻である。ここまで絵画、工芸品、書跡・典籍、歴史資料、考古資料、その他を見てきたが、彫刻は初めてになる。員数の単位「躯」も初めてである。

文化庁の解説文は「平安時代の作品。」の一文のみである。一文だけの解説は、これで18件目となる。

重要文化財から国宝まで109年

指定の間隔が際立っている。

重要文化財が1910年、国宝が2019年である。あいだは109年になる。

ここまで扱った物件の間隔は、玳玻天目茶碗が22年、曜変天目茶碗が43年、当麻曼荼羅縁起が47年、一遍上人絵伝が52年、四将像が66年だった。武蔵埼玉稲荷山古墳出土品は2年である。109年は最も長い。

1910年は明治43年にあたり、現行の文化財保護法より前の制度による指定である。絹本著色聖徳太子及天台高僧像でも、1901年の指定が加西市の記録に残っていた。

2019年の指定は、ここまで扱った物件のなかで新しい部類にあたる。萬福寺の2024年、三藐院記と更級日記と喪乱帖の2023年、八坂神社の2020年に次ぐ。

二つのデータベースで名称が違う

名称の表記にも食い違いがある。

国指定文化財等データベースの名称は、木造五智如来坐像とする。一方、文化遺産オンラインの表示は、五智如来坐像である。木造の二字が入るか入らないかが違う。

金剛場陀羅尼経と冥報記では、二つのデータベースで分類が食い違っていた。本件は名称が食い違う。

木造は材質を示す。絹本著色や紙本墨画と同じく、名称の冒頭で材質を示す方式である。

本稿は、より詳細な項目をもつ国指定文化財等データベースの記載を優先し、木造五智如来坐像として扱う。

記録に書かれていないこと

この物件の記録は短い。書かれていないことを確かめておきたい。

寸法・重量の欄は空欄である。品質・形状の欄も空欄である。作者の欄も空欄で、年代・西暦の欄も空欄である。

旧来の記述に「日本最古の五智如来像」とするものが見られるが、文化庁の記録に他の像との比較はない。本稿はこの評価を記さない。

曜変天目茶碗の「世界に3碗」、冥報記の「日本にのみ現存」も、記録で裏づけられず削っている。一方、武蔵埼玉稲荷山古墳出土品の「現存最古の日本の文章」は記録にあった。記録にあるかないかで扱いが分かれる。

記録から確かなのは、5躯の彫刻であること、平安時代のものであること、安祥寺が所有すること、1910年に重要文化財、2019年に国宝へ指定されたことである。

鑑賞

所在は京都国立博物館で、所有は安祥寺である。寺が所有し、博物館が保管する形になる。

紙本墨画拾得図は財団法人が所有して博物館が保管し、絹本著色聖徳太子及天台高僧像は寺が所有して博物館に寄託されていた。所有と保管が分かれる例が続いている。

館が保管する仏像であり、常設で公開される性格のものではない。5躯すべてが同時に展示されるとは限らない。

展示の予定は変わることがあるため、訪問前に館の案内で確認したい。

Q&A

Q木造五智如来坐像はいつ指定されましたか。
A1910年(明治43年)8月29日に重要文化財、2019年(令和元年)7月23日に国宝へ指定されました。員数は5躯、指定番号は00138、所有は安祥寺で、附指定はありません。
Q指定の間隔が長いのはなぜですか。
A文化庁は理由を記していません。ただし109年という間隔は、ここまで扱った物件のなかで最も長いものです。1910年の指定は現行の文化財保護法より前の制度によります。
Q名称が二つあるのですか。
A国指定文化財等データベースは「木造五智如来坐像」、文化遺産オンラインは「五智如来坐像」と表示します。木造の二字が入るか入らないかが違い、本稿は前者を優先しています。
Q日本最古の五智如来像ですか。
A文化庁の記録に他の像との比較はありません。旧来の記述にそうするものが見られますが、本稿は記録に基づき、5躯の彫刻であること、平安時代のものであることを記すにとどめています。
Q大きさは分かりますか。
A文化庁の寸法・重量の欄は空欄です。品質・形状の欄も、作者の欄も、年代の欄も空欄で、解説文は「平安時代の作品。」の一文のみです。

基本情報

名称木造五智如来坐像(もくぞうごちにょらいざぞう)/文化遺産オンラインの表示は「五智如来坐像」
所在地京都国立博物館 京都府京都市東山区茶屋町527
指定区分国宝(彫刻)/指定番号00138/附指定はない
指定年1910年(明治43年)8月29日 重要文化財/2019年(令和元年)7月23日 国宝
員数5躯
寸法文化庁の寸法・重量の欄は空欄で、品質・形状の欄も空欄。解説文は「平安時代の作品。」の一文のみ。時代は平安
所有者安祥寺
公開状況館が保管する仏像で、常設の公開ではない。5躯すべてが同時に展示されるとは限らない

参考文献

文化庁 国指定文化財等データベース 木造五智如来坐像
https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/201/3507
文化遺産オンライン 五智如来坐像
https://bunka.nii.ac.jp/db/heritages/detail/162415
安祥寺 公式サイト
https://anshouji.or.jp/about/detail/
文化庁 国指定文化財等データベース
https://kunishitei.bunka.go.jp/

最終更新日: 2026.09.05