三重に残る藩校の講堂
旧崇広堂は、三重県伊賀市上野丸之内にある江戸時代の藩校の遺構で、昭和5年(1930年)11月19日に国の史跡に指定された。文政4年(1821年)、伊勢津藩の第10代藩主である藤堂高兌が、藩校有造館の支校として建てた施設である。伊賀・大和・山城の領地に住む藩士の子弟を教えるための学校だった。
「崇広」の名は中国の古典『書経』から採られている。講堂に掲げられた扁額の文字は、米沢藩主の上杉鷹山(治憲)の筆による。旧崇広堂が藩校の建物として知られているのは、この講堂が創建当時の位置に残っているためである。
指定の理由
文化庁の記録は、この施設の来歴を次のように記している。文政の初年に藤堂高兌が建て、安政年間には書庫や控室が増築された。廃藩後は上野町の所有となり、明治44年(1911年)には町立小学校の校舎に充てられ、その後は町立図書館として使われた。武技の教場だった部分は高等女学校の敷地となったが、表門、玄関、内玄関、講堂、そして安政の増築にかかる建物は旧位置に残り、東側にあった御成門は南側へ移して保存された。
畳敷きを板敷きに改め、障子をガラス戸に替えるなどの改変はあったものの、旧来の規模と構えをよく保っている。文化庁はそのように評価している。藩校の建物がまとまって残る例は多くなく、旧崇広堂の指定は昭和5年という早い時期に行われた。管理団体は昭和6年(1931年)1月28日付で伊賀市(当時は上野町)と定められている。
文場と武場、そして地震
崇広堂の敷地は二つに分かれていた。東側は講堂を中心とする文場、西側は武技場や馬場を備えた武場である。伊賀市の説明によれば、藩校に広く置かれた孔子廟がなかったことがこの藩校の特徴にあたる。学問の場と武芸の場を並べ、祭祀の施設を持たない構成だった。
嘉永7年(1854年)の安政伊賀地震で建物は大きな被害を受けた。復興は文場を中心に進められ、講堂、講師控室、有恒寮、門、塀などが当時の姿を伝えている。近代に入ると武場は学校用地となり、現在は崇広中学校の敷地になっている。文場は図書館として使われたのち保存整備事業が行われ、現在は一般に公開されている。
旧崇広堂という指定名称が「旧」を冠するのは、藩校としての役目を終えた後も建物が使われ続け、用途を変えながら今日まで残ってきたためである。
見学方法
旧崇広堂は一般公開されており、内部を見学できる。管理と運営は公益財団法人伊賀市文化都市協会が担う。開館時間は午前9時から午後4時30分まで。休館日は毎週火曜日(祝日を除く)と年末年始(12月29日から1月3日まで)である。
入館は有料で、伊賀上野観光協会の案内では大人300円、小学生以上高校生以下100円、障がいのある方は無料とされている。料金は変わることがあるため、訪問前に施設へ確認するのが確実である。問い合わせ先は史跡旧崇広堂(電話0595-24-6090)。
専用の駐車場はない。上野公園の有料駐車場などを利用することになる。所在地は伊賀市上野丸之内78番地の1で、旧上野城の外堀の内側にあたる。展示のほか文化啓発の催しにも使われているため、催事の日程は事前に確認しておきたい。
Q&A
- 旧崇広堂はいつ建てられましたか。
- 文政4年(1821年)です。伊勢津藩の第10代藩主藤堂高兌が、津の藩校有造館の支校として建てました。
- 講堂の扁額は誰が書いたものですか。
- 米沢藩主の上杉鷹山(治憲)の筆によるものです。「崇広」の名は中国の古典『書経』から採られています。
- 旧崇広堂は見学できますか。開館時間と休館日は。
- 一般公開されています。開館は午前9時から午後4時30分まで、休館日は毎週火曜日(祝日を除く)と年末年始(12月29日から1月3日まで)です。
- この藩校にはどのような特徴がありますか。
- 東側が講堂を中心とする文場、西側が武技場や馬場を持つ武場という構成で、藩校に広く置かれた孔子廟がなかった点が特徴とされます。
- 建物は創建当時のままですか。
- 嘉永7年(1854年)の安政伊賀地震で大きな被害を受け、文場を中心に復興されました。講堂、講師控室、有恒寮、門、塀などが当時の姿を伝えています。
基本情報
| 名称 | 旧崇広堂 |
|---|---|
| 所在地 | 三重県伊賀市上野丸之内78番地の1 |
| 指定区分 | 史跡 |
| 指定年 | 昭和5年(1930年)11月19日指定 |
| 員数 | 1件(史跡指定地) |
| 寸法 | 文化庁の記録に記載なし |
| 所有者 | 伊賀市(管理団体) |
| 公開状況 | 一般公開。午前9時から午後4時30分まで |
参考文献
- 文化庁 国指定文化財等データベース 旧崇広堂
- https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/401/1504
- 文化遺産オンライン 旧崇広堂
- https://online.bunka.go.jp/heritages/detail/162951
- 伊賀市 デジタルミュージアム 秘蔵の国 伊賀 旧崇広堂
- https://adeac.jp/iga-city/catalog/mp403640-100040
- 公益財団法人伊賀市文化都市協会 施設案内 史跡旧崇広堂
- https://www.bunto.com/shisetsu/?p=411
- 伊賀上野観光協会 史跡旧崇広堂
- https://www.igaueno.net/?p=102
最終更新日: 2026.09.19