働く建物から展示室へ

長谷園の展示室二は、展示室一と短い距離を隔てて向き合い、東西棟で建つ。木造平屋建で、東面を切妻造、西面を入母屋造とし、桟瓦で葺き、外壁に竪板を張る。内部は土間の一室で、屋根は和小屋を組む。建築は明治期、1868年から1912年のあいだで、建築面積はおよそ59平方メートル。

簡素であることに意味がある。人を感嘆させるために建てられた部屋ではない。当初は馬小屋とされ、内部の一部には後の床板張の痕跡が残る。この建物は、窯元の格式ある表の顔ではなく、ありふれた働きの日常を担ってきた。

登録の理由

展示室二は、国土の歴史的景観に寄与するものとして平成27年(2015年)3月に登録有形文化財となった。長谷園敷地内の建物群の一つである。別荘や離れが客をもてなす空間を示すのに対し、この建物は働きを示す。群としての価値を記録する意味は、そこにもある。

窯元は窯と展示室だけで成り立つのではない。生産を回すための小屋、蔵、そして動物や材料のための空間を必要とした。馬小屋から展示室まで、生涯にいくつもの用途を担ってきた簡素な建物は、立派な建物が語り落とす屋敷の一面を示している。

見どころ

見上げてほしい。内部には和小屋の小屋組が現れ、簡素な木組みがこの部屋の性格になる。土間と外壁の竪板張は、これが働く建物であったことを告げ、残る床板の痕跡は用途の移り変わりを静かに記録している。

現在は展示室の一つとして使われ、丸柱の長谷園本店・散策エリアの一部として公開されている。近くの造作の整った建物と並べて読むと、実際に稼働してきた屋敷の幅が見えてくる。

Q&A

Q展示室二はもともと何でしたか。
A当初は馬小屋であったとされ、のちに転用され、現在は敷地内の展示室の一つとして使われています。
Q内部の見どころは何ですか。
A現された和小屋の小屋組、土間の一室、そして用途の変化を示す床板張の痕跡です。
Qいつ頃の建築ですか。
A明治期、1868年から1912年のあいだの建築です。昭和49年(1974年)と平成15年(2003年)ごろに改修されています。
Qなぜこの簡素な建物を登録するのですか。
A窯元の働きの側面を示し、格式ある建物との均衡をとって屋敷の全体像を完成させるためです。
Q見学はできますか。
Aできます。一般公開されている長谷園の散策エリアにある展示室の一つです。

基本情報

名称長谷園展示室二(ながたにえんてんじしつに)
所在地三重県伊賀市丸柱568-4
指定区分登録有形文化財(建造物/産業2次)
登録年月日平成27年(2015年)3月26日 登録番号 24-0196
員数1棟
時代明治期(1868~1912年)/昭和49・平成15改修
構造木造平屋建、東面切妻造・西面入母屋造、桟瓦葺、建築面積約59㎡
公開長谷園 本店・散策エリア内、見学可

参考文献

国指定文化財等データベース — Cultural Heritage Online (Agency for Cultural Affairs)
https://kunishitei.bunka.go.jp/heritage/detail/101/00010470
伊賀焼窯元 長谷園 公式サイト — 長谷園について
https://igamono.co.jp/at-first/
観光三重 — 伊賀焼窯元 長谷園
https://www.kankomie.or.jp/spot/33

最終更新日: 2026.07.11