安曇野に残る県下最古級の民家

曾根原家住宅は、長野県安曇野市穂高有明にある江戸時代中期の民家で、昭和48年(1973年)6月2日に国の重要文化財に指定された。指定番号01901、員数は1棟。安曇野市の文書では「曽根原家住宅」と表記される。

文化庁の国指定文化財等データベースは、指定当時の地名にもとづき「曾根原家住宅(長野県南安雲郡穂高町)」として登録している。構造及び形式等は「桁行19.6m、梁間15.9m、切妻造、南面・東面及び北面庇付、板葺」。年代欄は17世紀中頃、時代欄は江戸中期。地元の調査では慶安年間前後、1650年頃の建立と推定されている。

曾根原家は松本藩松川組新屋村の庄屋を代々務めた家である。したがってこの建物は住居であると同時に、年貢の取りまとめと村政の実務が行われる場でもあった。長野県の文化施設情報は県内で最も古い民家と位置づけ、文化庁の解説文は「県下屈指の古い家」と記す。いずれも建立年の推定に立脚した評価である。

平入であること

中信地方には本棟造という民家形式がある。緩勾配の大きな切妻屋根を板で葺き、妻側に入口を設ける。この妻入という点が形式を決定づける特徴であり、松本平から安曇野一帯にかけて建つ本棟造の民家は、いずれもこの原則を守っている。

曾根原家住宅も本棟造に属する。ただし入口は妻側にない。

開口は桁行方向の長い側、すなわち平側に設けられている。平入である。屋根の架構も葺材も本棟造の枠内にありながら、正面の取り方だけが後の定型から外れる。文化庁の解説文はこの差異を価値の中心に据え、間取り・構造ともに古く、本棟造が完成へ向かう過程が示されている点が貴重だとする。

指定理由としては特異な部類に入る。重要文化財に指定される民家の多くは、完成した形式の優れた作例として選ばれる。この住宅が保護されるのは、形式が定まりきる前の段階で止まっているからである。後代の定型を知ったうえで眺めなければ、この建物の位置づけは見えてこない。安曇野市が「本棟造の原形」と表現するのは、同じ事柄を平明に言い換えたものである。

見学は予約制、ただし無料公開日がある

常設の受付を備えた施設ではない。見学の道筋は二通りあり、いずれも訪問前の確認を要する。

通常の見学は事前予約制である。安曇野市教育委員会が公開している連絡先へ、一週間前までに申し込む。見学料は1人300円、開館時間は午前8時から午後2時まで。管理は個人の世帯が担っているため、希望に添えない場合もあると市は案内している。

無料公開日は予約不要である。安曇野市は月に1回程度、水曜日に無料公開日を設定しており、年度内のおおむね各月と翌年3月に日程が組まれる。開館時間は予約見学と同じ。日程は年度ごとに更新されるため、前年の一覧を頼りにせず市のページで現行の日程を確かめたい。

内部で見るべきは間取りと軸部である。部屋の配置は江戸後期に定型化する田の字型より前の段階にあり、それに応じて骨組みも簡素にとどまる。建物とともに残された生活用具や農具が現地に置かれている点も見逃せない。指定を受ける前に什器が失われた民家は少なくないため、道具と建物が同じ場所に揃っている状態は貴重である。

JR大糸線有明駅から徒歩約30分、長野自動車道安曇野インターチェンジから車で約15分。令和4年(2022年)3月からは「あづみのミュージアムカード」の配布場所のひとつにもなっている。

Q&A

Q曾根原家住宅は見学できますか。申し込み方法と見学料は。
A見学できますが、通常は事前予約が必要です。安曇野市教育委員会のページに掲載された連絡先へ、一週間前までに申し込みます。見学料は1人300円、開館時間は午前8時から午後2時まで。個人の世帯が管理しているため、希望に添えない場合もあります。
Q曾根原家住宅を予約なしで見学できる日はありますか。
Aあります。安曇野市は月1回程度、水曜日に無料公開日を設けており、この日は予約不要・見学料無料です。開館時間は予約見学と同じ午前8時から午後2時まで。日程は年度ごとに更新されるため、訪問前に市のページで現行の日程を確認してください。
Q曾根原家住宅は建築的に何が重要なのですか。
A中信地方特有の本棟造に属しながら、入口が妻側ではなく平側に開く点が後の定型と異なります。文化庁は、間取りと構造がともに古式であり、本棟造という形式が完成へ向かう過程を示している点を評価して指定しました。完成形の優品としてではなく、形成途上の姿として価値づけられた民家です。
Q曾根原家住宅はいつ建てられ、いつ指定されましたか。
A文化庁は17世紀中頃、江戸時代中期の建立とし、地元の調査では1650年頃と推定されています。重要文化財の指定は昭和48年(1973年)6月2日、指定番号01901です。長野県の文化施設情報は県内で最も古い民家と位置づけています。
Q曾根原家住宅へはどのように行きますか。
AJR大糸線有明駅から徒歩約30分です。車の場合は長野自動車道安曇野インターチェンジから約15分。穂高有明は北アルプスを間近に望む一帯にあり、晴れた日には歩いて向かう道のりそのものが見どころになります。

基本情報

名称曾根原家住宅(そねはらけじゅうたく)/登録名称「曾根原家住宅(長野県南安雲郡穂高町)」
所在地長野県安曇野市穂高有明1632番地
指定区分重要文化財(指定番号01901)
指定年昭和48年(1973年)6月2日
員数1棟
時代江戸時代中期(17世紀中頃)
寸法桁行19.6m、梁間15.9m
構造及び形式等切妻造、南面・東面及び北面庇付、板葺
公開状況予約見学(一週間前までに申込・1人300円)および無料公開日。開館時間 午前8時〜午後2時

参考文献

文化庁 国指定文化財等データベース — 曾根原家住宅(長野県南安雲郡穂高町)
https://kunishitei.bunka.go.jp/heritage/detail/102/1017
文化遺産オンライン — 曾根原家住宅(長野県南安雲郡穂高町)
https://online.bunka.go.jp/heritages/detail/122027
安曇野市教育委員会 — 重要文化財「曽根原家住宅」の公開について
https://www.city.azumino.nagano.jp/site/kyoiku/2556.html
カルチャー・ドット・ナガノ(長野県) — 国指定重要文化財 曽根原家住宅
https://www.culture.nagano.jp/facilities/485/

最終更新日: 2026.08.20