多良岳ツクシシャクナゲ群叢とは:金泉寺の南斜面に咲く九州の名花
多良岳ツクシシャクナゲ群叢は、長崎県諫早市高来町の多良岳にあるツクシシャクナゲの群落で、昭和26年(1951年)に国の天然記念物に指定された。
文化庁の解説によると、ツクシシャクナゲは葉の裏に褐色の密な毛があり、7弁の大きな花をつける北九州特産のシャクナゲで、日本産のシャクナゲの中で最も園芸的価値が高いものとして知られる。長崎県は、江戸時代にシーボルトが日本特産の名花として『日本植物誌』に原色図を載せて世界に紹介したとしている。
指定の経緯:指定地の移り変わり
昭和26年(1951年)の当初の指定地は、俗にシャクナゲ平と呼ばれる常緑樹林で、6月の満開期には全山が花の山になるといわれた。しかし戦後まもなく薪炭用の伐採でツクシシャクナゲの生育に適さない環境に変わり、自生がほとんど見られなくなった。
そこで文化庁は昭和48年(1973年)、多良岳の山頂西南部、金泉寺の中腹の標高約600メートルの急斜面にある町有林約5ヘクタールを追加指定し、シャクナゲ平の指定を解除した。追加地はアカマツ、ツガ、イヌグス、スダジイなどの自然林で、ツクシシャクナゲが広い範囲に分布し、多良岳地域を代表する群落と認められた。
長崎県によると、指定地は多良岳県立公園の中心にあり、金泉寺から1キロメートルほど南に下った小松尾公園という場所である。ツクシシャクナゲの群生地で国の指定を受けているのは、犬ヶ岳(福岡・大分の県境)と多良岳の2か所である。
見どころ:高木の下に群れ咲くシャクナゲ
長崎県によると、多良岳ツクシシャクナゲ群叢の急傾斜地では、アカマツやツガなどの高木の下に、カシ類やカエデ類、シダ類に混じってツクシシャクナゲが群生している。花の時期には、林の中に淡い紅色の大きな花が浮かび上がる。
江戸時代の修験道にかかわる植生もあるといわれ、山岳信仰の山としての多良岳の歴史とも重なる。
多良岳ツクシシャクナゲ群叢の見学方法
多良岳ツクシシャクナゲ群叢は山中にあり、見学には登山が必要である。指定地は金泉寺から約1キロメートル南で、料金や時間の定めはない。天然記念物なので、植物の採取は禁じられている。
佐賀県側の太良町によると、中山キャンプ場の登山口から稜線まで約1時間、稜線を西へ5分進むと金泉寺に着く。金泉寺には県営の山小屋がある。登山道には急坂や鎖場もあるので、登山の装備で訪ねたい。
Q&A
- 多良岳ツクシシャクナゲ群叢とは何ですか?
- 長崎県諫早市高来町の多良岳にあるツクシシャクナゲの群落で、昭和26年(1951年)に国の天然記念物に指定されました。
- ツクシシャクナゲとはどんな植物ですか?
- 葉の裏に褐色の密な毛があり、7弁の大きな花をつける北九州特産のシャクナゲです。シーボルトが日本特産の名花として紹介しています。
- 指定地はどこですか?
- 金泉寺の中腹、標高約600メートルの急斜面にある約5ヘクタールで、長崎県は金泉寺から1キロメートルほど南の小松尾公園としています。
- 当初の指定地はどうなりましたか?
- シャクナゲ平と呼ばれた当初の指定地は、伐採で生育環境が変わり自生がほとんど見られなくなったため、昭和48年(1973年)に指定が解除されました。
- 多良岳ツクシシャクナゲ群叢を見に行くには?
- 登山が必要です。太良町によると、中山キャンプ場の登山口から稜線まで約1時間、そこから西へ5分で金泉寺に着きます。
基本情報
| 名称 | 多良岳ツクシシャクナゲ群叢(たらだけつくししゃくなげぐんそう) |
|---|---|
| 所在地 | 長崎県諫早市高来町(多良岳) |
| 指定区分 | 天然記念物 |
| 指定年 | 昭和26年(1951年)6月9日指定(1973年に追加指定・一部解除) |
| 員数 | 1件 |
| 寸法 | 約5ヘクタール(標高約600メートル) |
| 所有者 | 文化庁データベースに記載なし |
| 公開状況 | 山中。見学は登山による |
参考文献
- 文化庁 国指定文化財等データベース「多良岳ツクシシャクナゲ群叢」
- https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/401/2758
- 文化遺産オンライン「多良岳ツクシシャクナゲ群叢」
- https://online.bunka.go.jp/heritages/detail/217739
- 長崎県文化財データベース「多良岳ツクシシャクナゲ群叢」
- https://www.pref.nagasaki.jp/bunkadb/index.php/view/78
- 太良町「多良岳ハイキングコース」
- https://www.town.tara.lg.jp/kanko/_1069/_1324.html
最終更新日: 2026.09.27