天然記念物とは
天然記念物は、記念物のうち重要なものとして文部科学大臣が指定した文化財の一区分で、史跡、名勝と並ぶ三つの柱のひとつである。文化財保護法第109条第1項に根拠がある。
対象は同法第2条第1項第4号に定められている。動物、植物及び地質鉱物で我が国にとって学術上価値の高いものであり、動物については生息地、繁殖地及び渡来地を、植物については自生地を、地質鉱物については特異な自然の現象の生じている土地を、それぞれ含む。個体だけでなく、それが生きている場所ごと対象にできる点がこの区分の特徴である。
令和8年8月1日現在、天然記念物は1,042件である。分類別では植物が560件と最も多く、地質鉱物263件、動物196件、天然保護区域23件と続く。天然保護区域は、まとまった自然の環境そのものを対象とする区分にあたる。
天然記念物のうち特に重要なものは特別天然記念物に指定される。特別天然記念物は75件で、この数字は1,042件に含まれる。
文化財として自然を守るということ
天然記念物は文化財保護法に基づく制度であり、自然保護の法令とは系統が違う。それでも対象が重なるため、文部科学大臣は天然記念物の指定にあたり、自然環境の保護の見地から価値が高いものであるときは環境大臣と協議しなければならない。環境大臣の側からも、文部科学大臣に対して意見を述べることができる。
保護の内容は史跡や名勝と共通する。現状を変更し、または保存に影響を及ぼす行為をしようとするときは文化庁長官の許可が必要で、許可を受けずに行った者には原状回復が命じられることがある。生きているものを対象とするため、衰亡した場合の復旧という考え方も条文に置かれている。
動物や植物の天然記念物では、指定名称が種そのものを指す場合と、特定の場所の個体群や一本の樹を指す場合がある。記事で扱うときは、指定の対象が種なのか、生息地なのか、個体なのかを名称と記録から確かめる必要がある。
参考文献
- e-Gov法令検索 文化財保護法(昭和二十五年法律第二百十四号)
- https://laws.e-gov.go.jp/law/325AC0100000214
- 文化庁 文化財の紹介 記念物
- https://www.bunka.go.jp/seisaku/bunkazai/shokai/kinenbutsu/
- 文化庁 文化財指定等の件数(令和8年8月1日現在)
- https://www.bunka.go.jp/seisaku/bunkazai/shokai/shitei.html
最終更新: 2026.08.30