史跡とは

史跡は、記念物のうち重要なものとして文部科学大臣が指定した文化財の一区分である。文化財保護法第109条第1項が根拠にあたる。

対象になる記念物は、同法第2条第1項第4号が定める。貝づか、古墳、都城跡、城跡、旧宅その他の遺跡で歴史上または学術上価値の高いものがこれにあたり、庭園や峡谷などの名勝、動植物や地質鉱物の天然記念物と並ぶ三つの柱のひとつを構成する。

令和8年8月1日現在、史跡は1,923件である。種類別の内訳を見ると、貝塚・集落跡・古墳等が732件と最も多く、都城跡・国郡庁跡・城跡・官公庁・戦跡その他政治に関する遺跡が449件、社寺跡または旧境内その他祭祀信仰に関する遺跡が306件と続く。交通施設・生産施設などの経済・生産活動に関する遺跡が224件あり、近代の遺跡も対象になる。

史跡のうち特に重要なものは特別史跡に指定される。同法第2条第3項により、条文中の「史跡名勝天然記念物」には特別史跡名勝天然記念物が含まれるため、1,923件という数字には特別史跡66件が含まれている。

土地を対象にする制度であること

史跡は建物や器物ではなく、原則として土地を対象とする。このため保護の仕組みも土地の利用に関わるものになる。現状を変更し、または保存に影響を及ぼす行為をしようとするときは文化庁長官の許可が必要で、許可を受けずに変更した者には原状回復が命じられることがある。指定によって財産権に一定限度を超える損失が生じた場合には補償を要するが、通例は地方公共団体が国庫補助を受けて土地を買い取ることで実質的な補償に配慮している。

指定前に緊急の必要があるときは、都道府県の教育委員会が仮指定を行える。仮指定は、国の指定があったとき、または仮指定の日から2年以内に指定がなかったときに効力を失う。開発が迫る遺跡を一時的に守るための仕組みである。

同じ土地が複数の区分で指定されることもある。名勝と天然記念物の両方に指定される例などがあり、区分ごとに1件と数えるため、合計件数は実際の物件数より多くなる。史跡名勝天然記念物の合計3,398件に対し、重複を1件と数えた実指定件数は3,283件である。

参考文献

e-Gov法令検索 文化財保護法(昭和二十五年法律第二百十四号)
https://laws.e-gov.go.jp/law/325AC0100000214
文化庁 文化財の紹介 記念物
https://www.bunka.go.jp/seisaku/bunkazai/shokai/kinenbutsu/
文化庁 文化財指定等の件数(令和8年8月1日現在)
https://www.bunka.go.jp/seisaku/bunkazai/shokai/shitei.html

最終更新: 2026.08.30