万内川一号堰堤とは
万内川一号堰堤は、新潟県妙高市大字西野谷の万内川に大正10年(1921年)頃築かれた粗石コンクリート造の砂防堰堤で、平成15年(2003年)3月18日に登録有形文化財に登録された。読みは「ばんないがわいちごうえんてい」である。
文化財に登録された万内川の堰堤のなかで最も下流に位置し、規模は堤長43メートル、堤高5.0メートル。重力式コンクリート造の本体に、下流側の両岸を守る護岸と、本体の前で落ちてくる水を受け止める副堰堤が付いている。昭和8年(1933年)頃に改造を受けた。
新潟県は万内川一号堰堤の工期を大正10年から12年(1921年から1923年)と紹介しており、県の探検マップも、付近の大きな石を割り、地元の人々が3年をかけて造り上げた県内最初の砂防堰堤だと説明している。
登録の理由と価値
登録には「国土の歴史的景観に寄与しているもの」という基準が適用された。文化庁の解説は、万内川一号堰堤の下流側の法勾配を3分(高さ1に対して水平0.3)とし、同じ時期に造られた万内川の他の砂防施設より勾配を緩く、天端の幅を厚くとって全体を堅固に造っている点を挙げる。そのうえで、粗石コンクリート造の砂防堰堤として国内で初期の事例であることを評価している。
粗石コンクリートは、大きな石をコンクリートの中に詰め込んで堤体をつくる方法である。県の探検マップによれば、当時は高価だったセメントを一号と二号の堰堤に使い、それより上流の堰堤は石だけを積む空積とした。万内川一号堰堤は、上流に続く石積みの堰堤群とは造りの異なる一基ということになる。
万内川一号堰堤の見どころ
正面に立つと、本体の水通しから落ちた水がすぐ前の副堰堤でいったん受け止められ、両岸の護岸に沿って下流へ流れていく様子が分かる。本体・副堰堤・護岸の三つがそろって残っている点は、文化庁の解説も良好な残存状態として特に記している。
天端にも目を向けたい。上流の石積堰堤と比べると、万内川一号堰堤の天端は幅が広く、下流側の面もやや寝ている。集落に最も近い最後の守りの位置にあることを考えると、この堅固なつくりの意味が見えてくる。
堰堤のそばの見晴台1は、かつて背河原(せがわら)耕地と呼ばれた田畑があった場所で、明治35年の土石流では30メートル近い土砂が積もったと県の探検マップは記す。マップには完成直後の大正期の写真と、見晴台から見た現在の写真が並べて載っている。荒れた河原に堰堤だけが立つ古い写真と、緑に囲まれたいまの姿を、マップを手に見比べてみるとよい。
見学方法とアクセス
万内川一号堰堤は、公園側から歩き始めて最初に出会う登録堰堤で、上流の三号・四号へ向かう散策の起点になる。県の「万内川登録文化財(一号~四号)探検マップ」は県のサイトから入手できる。
万内川一号堰堤は屋外にあり、散策路から自由に眺められる。撮影について県と市の案内に制限は示されていない。現役の砂防施設なので、堤体の上や水通しには立ち入らず、雨のあとの増水時は川べりに近づかないこと。万内川砂防公園の利用期間や行き方は、万内川砂防施設のページにまとめてある。
Q&A
- 万内川一号堰堤はいつ、何のために造られたのですか?
- 明治35年(1902年)の粟立山の大崩壊と土石流を受け、新潟県が県内初の砂防事業として大正10年(1921年)頃に築きました。上流から流れ出る土砂を食い止め、下流の西野谷集落と田畑を守るための砂防堰堤です。
- 万内川一号堰堤はなぜ登録有形文化財になったのですか?
- 国土の歴史的景観に寄与しているものとして、平成15年(2003年)3月18日に登録されました。緩い勾配と厚い天端による堅固なつくりに加え、粗石コンクリート造の砂防堰堤として国内の初期の事例であることが評価されています。
- 万内川一号堰堤は見学できますか?料金や時期は?
- 屋外にあり、万内川砂防公園や散策路から自由に見学できます。公園の利用期間は4月から11月で、使用料は無料です。
- 万内川一号堰堤はどこにありますか?
- 万内川一号堰堤は、公園側から歩き始めて最初に出会う登録堰堤で、上流の三号・四号へ向かう散策の起点になります。万内川砂防公園までの行き方は、万内川砂防施設のページにまとめています。
- 万内川の二号堰堤も文化財ですか?
- 新潟県によると万内川の砂防堰堤18基のうち登録されたのは11基で、一号・三号・四号・六号・七号・八号・十号から十四号がその対象です。二号堰堤は登録の対象に含まれていません。
基本情報
| 名称 | 万内川一号堰堤(ばんないがわいちごうえんてい) |
|---|---|
| 所在地 | 新潟県妙高市大字西野谷 |
| 指定区分 | 登録有形文化財(建造物)、登録番号15-0145 |
| 指定年 | 平成15年(2003年)3月18日登録 |
| 員数 | 1基 |
| 寸法 | 堤長43メートル、堤高5.0メートル |
| 所有者 | 新潟県 |
| 公開状況 | 屋外にあり自由に見学できる(万内川砂防公園の利用期間は4月から11月、無料) |
参考文献
- 文化庁 国指定文化財等データベース 万内川一号堰堤
- https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00003212
- 文化遺産オンライン 万内川一号堰堤
- https://online.bunka.go.jp/heritages/detail/168522
- 新潟県 登録有形文化財 万内川 石積堰堤群について
- https://www.pref.niigata.lg.jp/sec/jouetsu_sabou/bunkazai-bannai.html
- 新潟県 万内川登録文化財(一号~四号)探検マップ(PDF)
- https://www.pref.niigata.lg.jp/uploaded/attachment/48362.pdf
- 新潟県 万内川 砂防公園
- https://www.pref.niigata.lg.jp/sec/jouetsu_sabou/bannai-park.html
- 土木学会関東支部 土木遺産 万内川砂防堰堤群・日影沢床固工群
- https://www.jsce.or.jp/branch/kanto/04_isan/h29/h29_8.html
最終更新日: 2026.09.24