旅客を線路から遠ざける通路

二本木駅で島式ホームへ向かうには、階段を下り、線路の下をくぐって反対側の光の中へ上がっていく。通路は延長約28メートルの鉄筋コンクリート造の地下道で、駅舎とホーム北端をコ字形に結んでいる。

この構成は単なる便利さのためではない。二本木駅はスイッチバック駅で、到着する列車は上り勾配の本線から水平なホーム線へ入り、発車後は本線を横切って引上線へ進む。列車が本線をまたぐ以上、平面の踏切は危険であり、旅客は地下道で安全に往来する。

戦前のコンクリート構造物

地下道の建設は昭和17年(1942年)。地方駅のこうした工事に鉄筋コンクリートを用いる例がまだ多くなかった時期にあたる。旧信越本線における戦前の地下道の希少な遺例とされ、その稀少さが令和元年の登録有形文化財登録を支えている。

駅舎側の階段には木造の上屋がかかる。南北を棟とする切妻造の鉄板葺で、東西の二面に腰高の窓を並べ、和小屋で組む。土木構造物の地下道と木造の上屋が組み合わさる点に、この物件の特徴がある。

歩いて読み解く

スイッチバック駅がどう旅客を守るのかは、この通路を歩くのが一番わかりやすい。コンクリートの壁も摺り減った段も、装飾ではなく目的のための土木の手触りを持つ。

上屋のかかる階段では、下のコンクリートと上の簡素な木造が同じ課題を別の素材で解いている様子を確かめられる。ホームに上がれば、列車が向きを変える一連の動きも追いやすい。

Q&A

Qなぜ踏切ではなく地下道なのですか。
A二本木駅は列車が本線を横切って向きを変えるスイッチバック駅です。平面の踏切では旅客がその動きと交差してしまうため、地下道で安全に往来できるようにしています。
Q地下道はいつ造られましたか。
A昭和17年(1942年)で、のちに昭和50年代に改修されています。旧信越本線に残る戦前の地下道の希少な例です。
Q寸法や構造は。
A地下道は鉄筋コンクリート造で延長約28メートル。駅舎側の階段には約21平方メートルの木造の上屋がかかります。
Q今も使われていますか。
A使われています。駅舎と島式ホームを結ぶ日常の通路で、列車を利用する人は必ず通ります。

基本情報

名称えちごトキめき鉄道二本木駅地下道及び上屋
所在地新潟県上越市中郷区板橋字西浦545-1
指定区分登録有形文化財(令和元年9月10日登録/登録番号 15-500)
時代・年代昭和17年(1942年)/昭和50年代改修
構造・形式地下道:鉄筋コンクリート造、延長約28メートル/上屋:木造平屋建、金属板葺、約21平方メートル
員数1基
所有者えちごトキめき鉄道株式会社
アクセス・公開妙高はねうまライン二本木駅/ホームへの通路として日常的に使用

参考文献

文化庁 国指定文化財等データベース — えちごトキめき鉄道二本木駅地下道及び上屋
https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00012885
文化遺産オンライン — えちごトキめき鉄道二本木駅地下道及び上屋
https://online.bunka.go.jp/heritages/detail/446913
えちごトキめき鉄道 — 二本木駅の国登録有形文化財について
https://www.echigo-tokimeki.co.jp/information/detail?id=807
新潟県観光協会 — 二本木駅
https://niigata-kankou.or.jp/spot/44197

最終更新日: 2026.07.08