構内で最も小さく、最も古い一棟

倉庫の南に、西を向いて赤煉瓦の小屋が建つ。平面はわずか9.9平方メートル。明治43年(1910年)の築で、二本木駅でも古い部類に入る。その役目は明確だった。かつて鉄道車両の照明に使われたランプの燃料油を収める油庫である。

電灯以前の時代、どの駅にもランプ小屋があった。引火しやすい油は木造の建物から離して置く必要があり、だからこそこの小屋は木造ではなく煉瓦造でつくられた。日々の危険物のための、小さな金庫のような建物である。

洋風意匠をまとった防火の小屋

小さな建物ながら細部は入念だ。軒下には軒蛇腹を廻し、両妻は洋風建築に倣ったペディメント状につくる。両側面の窓は石製の窓台を持ち、正面中央に出入口を一つ開く。

内部は土間で壁は漆喰塗、和小屋で組む。令和元年(2019年)9月の登録では「造形の規範となっているもの」の基準で評価された。二本木駅の他の物件が持たない、この小屋だけの位置づけである。

町が迎え入れた赤レンガ小屋

地元では赤レンガ小屋と呼ばれ、ささやかな人気を集めている。鉄道会社はスイッチバック展望デッキとあわせて季節公開しており、駅で最も古い種類の鉄道建築を間近に見ることができる。

煉瓦の温かみは、隣り合う木造や鉄骨のなかで際立つ。その傍らをスイッチバックで折り返す列車が近く通り過ぎる。ランプの油を収めるために建った小屋は、いまや構内で最も絵になる一角として静かに働いている。

Q&A

Qランプ小屋は何に使われましたか。
Aかつて鉄道車両を照らしたランプの燃料油を収めるためのものです。防火のため木造の建物から離して建てた、煉瓦造の油庫です。
Qなぜ他の建物は木造なのに煉瓦造なのですか。
A引火しやすいランプの油を収めたためです。煉瓦造に漆喰塗の内部という造りで火気に備えた、危険物のための入念な設計です。
Q大きさと古さは。
A明治43年(1910年)の築で、面積はわずか9.9平方メートル。駅の登録物件のなかで最も小さく、最も古い部類に入ります。
Q間近で見られますか。
A季節限定で見られます。地元では赤レンガ小屋と呼ばれ、スイッチバック展望デッキとあわせて、天候が許せば公開されています。

基本情報

名称えちごトキめき鉄道二本木駅ランプ小屋
所在地新潟県上越市中郷区板橋字西浦543-2
指定区分登録有形文化財(令和元年9月10日登録/登録番号 15-502)
時代・年代明治43年(1910年)
構造・形式煉瓦造平屋建、瓦葺、建築面積9.9平方メートル/軒蛇腹・両妻ペディメント
員数1棟
所有者えちごトキめき鉄道株式会社
アクセス・公開妙高はねうまライン二本木駅/赤レンガ小屋として季節公開

参考文献

文化庁 国指定文化財等データベース — えちごトキめき鉄道二本木駅ランプ小屋
https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00012887
文化遺産オンライン — えちごトキめき鉄道二本木駅ランプ小屋
https://online.bunka.go.jp/heritages/detail/413615
えちごトキめき鉄道 — 赤レンガ小屋(ランプ小屋)の公開
https://www.echigo-tokimeki.co.jp/information/detail?id=596
新潟県観光協会 — 二本木駅
https://niigata-kankou.or.jp/spot/44197

最終更新日: 2026.07.08