古レールで組んだ屋根

二本木駅のホーム上屋は、駅舎の西にある島式ホームを覆う。その柱には小さな驚きが隠れている。新しい形鋼ではなく、使い古したレールを転用しているのだ。用いられたのは大正12年(1923年)の米国製レールと、昭和4年(1929年)の八幡製鉄所製レールである。

柱は古レール2本を頭合わせに溶接して立てる。頂部を内外へ方杖状に曲げ、屋根を支える梁を受ける。一見ふつうの駅の鉄骨に見えて、その実は入念な再利用の仕事である。

倹約が構造になる

建設は昭和12年(1937年)。鉄骨造で面積はおよそ262平方メートルに及ぶ。摩耗したレールを柱に転用するのは戦前の日本の鉄道でよく行われた実際的な工夫で、良質の鋼を第二の役目で使い続けたものだった。

この上屋は令和元年(2019年)9月、歴史的な鉄道景観に寄与するものとして登録有形文化財となった。種別は建築物ではなく「その他工作物」で、ホームの屋根が建築であると同時に土木・構造の産物であることを示す。

ホームで見たいところ

屋根の下に立ち、柱を眺めてほしい。古レールには圧延の刻印や断面の形が残ることがあり、頭合わせの溶接部を見れば2本のレールが1本の柱になった箇所がはっきりわかる。

柱を目で追い上げると、湾曲した方杖に分かれて梁を受ける部分に行き着く。まっすぐなレールを屋根の支えに変える、手際のよい解き方である。ここからはスイッチバックで折り返す列車が、80年を超える屋根に縁取られてよく見える。

Q&A

Qホームの柱は何でできていますか。
A新しい鋼材ではなく古レールです。大正12年の米国製レールと昭和4年の八幡製鉄所製レールを用い、2本を頭合わせに溶接して柱にしています。
Qホーム上屋はいつ建てられましたか。
A昭和12年(1937年)で、のちに昭和50年代に改修されています。面積は約262平方メートルです。
Qなぜ古レールを再利用したのですか。
A戦前の日本の鉄道では古レールの転用がよく行われました。走行用として使えなくなった良質の鋼を、柱や梁として使い続けたのです。
Qレールの刻印は自分で見られますか。
A見られることが多いです。柱はホーム上に露出しており、間近で圧延の刻印やレール断面を確かめられる場合があります。ホーム端や線路には近づかないでください。

基本情報

名称えちごトキめき鉄道二本木駅ホーム上屋
所在地新潟県上越市中郷区板橋字西浦543-2他
指定区分登録有形文化財(令和元年9月10日登録/登録番号 15-498)
時代・年代昭和12年(1937年)/昭和50年代改修
構造・形式鉄骨造、金属板葺、面積約262平方メートル/柱は大正12年米国製・昭和4年八幡製鉄所製の古レール転用
員数1棟
所有者えちごトキめき鉄道株式会社
アクセス・公開妙高はねうまライン二本木駅/島式ホーム上にあり、利用時に見学可

参考文献

文化庁 国指定文化財等データベース — えちごトキめき鉄道二本木駅ホーム上屋
https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00012883
文化遺産オンライン — えちごトキめき鉄道二本木駅ホーム上屋
https://online.bunka.go.jp/heritages/detail/404271
えちごトキめき鉄道 — 二本木駅の国登録有形文化財について
https://www.echigo-tokimeki.co.jp/information/detail?id=807
新潟県観光協会 — 二本木駅
https://niigata-kankou.or.jp/spot/44197

最終更新日: 2026.07.08