ヤマモトロックマシン(旧山本鉄工所)青年学校―養成工が学んだ2階の教室
ヤマモトロックマシン(旧山本鉄工所)青年学校は、広島県庄原市東城町にある削岩機メーカーが、昭和13年(1938年)ころに社内の若い働き手の教育のために建てた木造2階建の校舎で、平成28年(2016年)2月25日に国の登録有形文化財に登録された。瓦葺で建築面積は309平方メートル。屋根は寮の建物と同じ半切妻である。
1階と2階で用途がまったく違う。1階はひと続きの倉庫で、2階が学校だった。2階には中廊下を通して左右に3室ずつを並べ、そのうちに4学年分の教室を設けている。工場の倉庫の上に教室を載せた、ものづくりの会社らしい割り切った建物である。
青年学校の登録の理由と価値
登録基準は「国土の歴史的景観に寄与しているもの」。文化庁はこの建物を、製造の現場で中心的な役割を果たした養成工に教育を行っていたことを示す遺構と評価している。養成工とは、会社が若いうちから採用し、仕事と並行して技能と知識を身につけさせた工員のことである。
青年学校は、昭和10年(1935年)の青年学校令によって制度化された、働く青年のための学校である。企業が自ら青年学校を設けて従業員を教育する例もあり、この建物は名称のとおり、会社がその役割を担った校舎の具体的な姿を伝える。建てられたのは、会社が削岩機の国産化で業績を伸ばし、昭和14年(1939年)の株式会社化を迎えるころで、熟練した工員を社内で育てることが生産の要になっていた時期にあたる。
庄原市によれば、この建物での養成工の教育は昭和50年代の中ごろ(1980年前後)まで続いた。制度としての青年学校は戦後まもなく廃止されたが、校舎は社内教育の場として使われ続けたことになる。40年あまりにわたって技能者を育てた教室が、工場や寮とともに残っている点に、この一棟の価値がある。
青年学校の見どころ ― 中廊下の教室と倉庫の1階
外観では、1階と2階の窓を見比べたい。1階の倉庫と2階の教室とで窓の大きさや並び方に違いがあるかを確かめると、上下で用途を分けた建物であることを外から読み解く手がかりになる。
屋根の半切妻は、道の南の寮の3棟と共通する形である。工場の建屋が鉄板葺で越屋根を載せるのに対し、学校と寮は瓦葺の半切妻でまとめられている。働く場と、学び暮らす場とで屋根の表情を分けた構成は、敷地全体を歩くと見えてくる。
内部に入る機会があれば、2階の中廊下に立ち、左右に並ぶ教室の入口を見通したい。4学年分の教室があったことは、養成工の教育が数年にわたる課程として組まれていたことを示している。
青年学校を見学するには
ヤマモトロックマシン青年学校は同社の所有地にあり、常時の公開はしていない。所在地の地番は旧自治寮と同じ川西字新丁の区画に属し、外観は周囲の公道から見ることができる。
内部に入れるのは、会社や保存活動の団体が開く見学会などの機会に限られ、公開の対象となるかどうかはその都度異なる。敷地には許可なく立ち入らず、撮影は公道から行うこと。
Q&A
- ヤマモトロックマシン(旧山本鉄工所)青年学校はいつ建てられ、いつ登録されましたか?
- 昭和13年(1938年)ころの建築とされます。平成28年(2016年)2月25日の第83回登録で登録有形文化財となり、登録番号は34-0159です。
- ヤマモトロックマシン青年学校では誰が学んでいたのですか?
- 製造現場で中心的な役割を果たした養成工です。会社が若いうちから採用し、仕事と並行して技能と知識を身につけさせた工員で、この建物での教育は昭和50年代の中ごろまで続きました。
- ヤマモトロックマシン青年学校の建物はどんな間取りですか?
- 1階がひと続きの倉庫、2階が学校です。2階は中廊下の左右に3室ずつを並べ、4学年分の教室を設けています。
- ヤマモトロックマシン青年学校の中は見学できますか?
- 通常はできません。会社や保存活動の団体が開く見学会などの機会に限られます。外観は周囲の公道から見られます。
- ヤマモトロックマシン青年学校の「青年学校」とは何ですか?
- 昭和10年(1935年)の青年学校令で制度化された、働く青年のための学校です。企業が自ら設けて従業員を教育する例もあり、この建物は名称のとおり会社がその役割を担った校舎です。
基本情報
| 名称 | ヤマモトロックマシン(旧山本鉄工所)青年学校 |
|---|---|
| 所在地 | 広島県庄原市東城町川西字新丁426-4他 |
| 指定区分 | 登録有形文化財(建造物) |
| 指定年 | 平成28年(2016年)2月25日登録 |
| 員数 | 1棟 |
| 寸法 | 木造2階建、瓦葺、建築面積309平方メートル |
| 所有者 | ヤマモトロックマシン株式会社 |
| 公開状況 | 非公開。外観は公道から見学可、内部は見学会などの機会のみ |
参考文献
- 文化庁 国指定文化財等データベース「ヤマモトロックマシン(旧山本鉄工所)青年学校」
- https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00010995
- 文化遺産オンライン「ヤマモトロックマシン(旧山本鉄工所)青年学校」
- https://online.bunka.go.jp/heritages/detail/254585
- 庄原市「登録文化財」
- https://www.city.shobara.hiroshima.jp/main/education/shogaigakushu/cat02/02/post_192.html
- ヤマモトロックマシン株式会社「会社案内・沿革」
- https://yrm.co.jp/company-info/
最終更新日: 2026.09.24