石垣やいま村旧喜舎場家住宅主屋とは
石垣やいま村旧喜舎場家住宅主屋は、沖縄県石垣市名蔵の石垣やいま村にある大正12年(1923年)建築の琉球民家の主屋で、平成27年(2015年)11月17日に国の登録有形文化財(建造物)に登録された。
石垣市の中心部に建っていた住宅を、平成20年(2008年)に現在地へ移築した。木造平屋建の瓦葺で、建築面積は118㎡。登録番号は47-0085で、旧大浜家住宅主屋(47-0084)と同じ日に、同じ「造形の規範となっているもの」の基準で登録された。石垣やいま村では「喜舎場邸」と呼ばれている。
石垣市などがつくった文化財の多言語解説によると、旧喜舎場家住宅主屋は八重山の歴史と文化の研究に大きな足跡を残した喜舎場永珣(きしゃばえいじゅん)の住まいだった。喜舎場は民謡「安里屋ユンタ」を掘り起こして全国に広めた人物で、石垣市の名誉市民でもある。解説は、建物が平成19年(2007年)に寄贈され、翌年に移築されたとしている。
石垣やいま村旧喜舎場家住宅主屋が登録された理由
文化庁は旧喜舎場家住宅主屋を、市街地で琉球民家がどう近代的に変わっていったかを示す建物と評価している。根拠に挙げられているのは間取りと屋根の二つだ。
一つ目は間取りである。この家は玄関を表ではなく背面の側に設けた。そのため、客を迎える一番座の床の間は、座敷の側面に寄せて構えられている。表に座敷を並べて正面から出入りする伝統的な形を、敷地や暮らしの都合に合わせて組み替えた結果と読める。文化庁はこれを変則的な平面と表現している。
二つ目は屋根である。背面の玄関側には入母屋造の破風を見せ、隣り合う台所と三番座にはそれぞれ別の屋根を架ける。一つの大屋根で全体を覆うのではなく、部屋ごとに屋根を分けたため、屋根の形は込み入ったものになった。同じ石垣やいま村に移された明治の旧森田家住宅主屋が寄棟造の大屋根にまとまっているのと比べると、大正の町家の自由さがよく分かる。
石垣やいま村旧喜舎場家住宅主屋の見どころ
旧喜舎場家住宅主屋は、表から見るだけでは特徴の半分しか分からない。建物の裏手に回り、玄関の上に立ち上がる入母屋の破風を確かめたい。そこから側面へ歩くと、台所の屋根と三番座の屋根が別々に架かり、軒の線が段違いに重なっている様子が見える。
多言語解説によると、建てられた当時の玄関は北を向いていたが、移築後の現在は西を向いている。いま目にしている向きは、もとの町なかでの姿とは違うことになる。
座敷に上がったら、一番座の床の位置を確かめてほしい。玄関との関係で側面に寄せられた床が、この家の変則的な間取りをいちばん端的に示している。欄間も見逃せない。多言語解説は、フナクイムシが食べて穴だらけになった木材を生かした欄間があると紹介している。海の生き物が残した不規則な穴を、そのまま意匠に変えた八重山らしい工夫である。造作材にはキャーンギ(イヌマキ)やフクン(フクギ)といった島の木が使われている。
石垣やいま村旧喜舎場家住宅主屋の見学
旧喜舎場家住宅主屋は石垣やいま村の開村時間内であれば外観を見られ、座敷に上がることもできる。見学には石垣やいま村の入村料が必要である。開村時間・料金・行き方は石垣やいま村のページにまとめてある。
屋根の重なりと背面の破風を見るには、建物のまわりを一周するのが近道だ。ただし石垣に登ることは禁止されているので、通路から眺めてほしい。
個人で楽しむ範囲の撮影は自由で、ほかの来村者を写り込ませないこと、ドローンを使わないことが求められている。各棟では石垣島の文化を紹介する音声ガイダンスも聞ける。
Q&A
- 石垣やいま村旧喜舎場家住宅主屋はいつ建てられたのですか?
- 文化庁のデータベースによると、石垣やいま村旧喜舎場家住宅主屋は大正12年(1923年)に石垣市の中心部で建てられ、平成20年(2008年)に石垣やいま村へ移築されました。
- 石垣やいま村旧喜舎場家住宅主屋はなぜ登録有形文化財になったのですか?
- 背面に玄関を設けたための変則的な間取りと、部屋ごとに屋根を分けた複雑な屋根の形が、市街地の琉球民家の近代的な変化を示すとされ、平成27年(2015年)11月17日に登録されました。
- 石垣やいま村旧喜舎場家住宅主屋には誰が住んでいたのですか?
- 石垣市などの多言語解説によると、「安里屋ユンタ」を全国に広めた郷土史家、喜舎場永珣の住まいでした。
- 石垣やいま村旧喜舎場家住宅主屋の中に入れますか?
- 入れます。石垣やいま村の古民家は座敷に上がって見学できます。石垣やいま村の入村料(大人1,200円、子ども600円)が必要です。
- 石垣やいま村旧喜舎場家住宅主屋の写真は撮れますか?
- 個人で楽しむ範囲なら申し込みなしで撮影できます。ほかの来村者を写さないこと、石垣に登らないこと、ドローンを使わないことが決まりです。
基本情報
| 名称 | 石垣やいま村旧喜舎場家住宅主屋 |
|---|---|
| 所在地 | 沖縄県石垣市字名蔵967-1(石垣やいま村内) |
| 指定区分 | 登録有形文化財(建造物) |
| 指定年 | 平成27年(2015年)11月17日登録 |
| 員数 | 1棟 |
| 寸法 | 木造平屋建、瓦葺、建築面積118㎡ |
| 所有者 | あやぱに株式会社 |
| 公開状況 | 石垣やいま村の開村時間内に見学可(入村料が必要) |
参考文献
- 国指定文化財等データベース(文化庁):石垣やいま村旧喜舎場家住宅主屋
- https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00010906
- 国指定文化財等データベース(文化庁):八重山民俗園旧森田家住宅主屋
- https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00006671
- 文化遺産オンライン:石垣やいま村旧喜舎場家住宅主屋
- https://online.bunka.go.jp/heritages/detail/238021
- 石垣市:石垣市内にある指定・登録文化財
- https://www.city.ishigaki.okinawa.jp/soshiki/bunkazaisisihennsyuka/bunakazaikinanbutu1/1_1/573.html
- 日本文化財情報サイト(石垣島八重山文化多言語解説整備事業):旧喜舎場家住宅主屋
- https://ishigaki.hiddenheritage.jp/3
- 石垣やいま村:みる(琉球古民家)
- https://www.yaimamura.com/look/
- 石垣やいま村:撮影・取材に関しまして
- https://www.yaimamura.com/appointment/
最終更新日: 2026.10.05