二つの名をもつ蔵
屋敷正面の西端、門長屋の脇から北西へ、低い蔵が延びる。内部は東を籾蔵、西を瓦蔵に分け、建物はこの二つの名を併せもつ。建立は大正14年(1925年)で、登録五棟のなかでは最も新しい。
東に続く蔵が厚い土壁の土蔵であるのに対し、この蔵はより簡素なつくりとする。
葺き分けと真壁
平成17年、正面景観の一部として登録された。壁は柱を塗り込めない真壁造とする。切妻造の屋根は葺き分けで、参道側の南面を本瓦、北面を桟瓦で葺く。
基礎は玉石積に切石を据え、南外壁は上部を漆喰塗、下部を縦板張とする。隣の門長屋とともに、屋敷外構の西側をかたちづくる。
籾と瓦を納める
細部に二つの見どころがある。屋根の葺き分けは実用の節約がそのまま形になったもので、良い瓦を表に、素朴な瓦を裏に向ける。瓦蔵と籾蔵を一棟にまとめた点は、この家が手もとに置くべきものを示す。暮らしのための籾と、屋根を直すための予備の瓦である。
蔵は登録された正面景観の一部として、館の敷地から見ることができる。古い建物と並べて見れば、二十世紀に入っても屋敷が造り継がれていたことがわかる。保存された作り物ではなく、生きた住まいである。
Q&A
- 何を納めた蔵で、なぜ二つの名があるのですか。
- 内部を東の籾蔵、西の瓦蔵に分けるため、瓦蔵・籾蔵の二つの名を併せもつ。
- ほかの蔵とどう違いますか。
- 柱を見せる真壁造である点が異なる。二番蔵やその奥の土蔵は、柱を塗り込めた厚い土壁の土蔵造とする。
- なぜ瓦が二種類あるのですか。
- 参道側の南面は重い本瓦、北面は軽い桟瓦で葺き分ける。見える面に良い瓦を用いる実用の工夫である。
- いつ建てられましたか。
- 大正14年(1925年)で、登録五棟のうち最も新しい。登録は平成17年である。
基本情報
| 名称 | 小谷城郷土館瓦蔵・籾蔵 |
|---|---|
| 所在地 | 大阪府堺市南区豊田1602-1 |
| 登録区分 | 登録有形文化財(平成17年〈2005年〉7月12日登録、第46回登録) |
| 登録基準 | 国土の歴史的景観に寄与しているもの |
| 員数・構造 | 1棟/木造平屋建、瓦葺、建築面積21㎡ |
| 年代 | 大正14年(1925年) |
| 所有者 | 一般財団法人小谷城郷土館 |
| アクセス | 泉北高速鉄道・泉ケ丘駅から徒歩約20分、または南海バス・豊田南バス停から徒歩約5分 |
| 公開 | 開館10:00〜16:00、月曜休館(祝日の場合は翌日)、夏期・冬期に休館あり。入館料200円(大学生以上)/100円(小・中・高校生)。館内は撮影禁止。 |
参考文献
- 国指定文化財等データベース(文化庁) — 小谷城郷土館瓦蔵・籾蔵
- https://kunishitei.bunka.go.jp/heritage/detail/101/00004781
- 文化遺産オンライン — 小谷城郷土館瓦蔵・籾蔵
- https://bunka.nii.ac.jp/heritages/detail/142051
最終更新日: 2026.07.09