日本基督教団南大阪教会塔とは

日本基督教団南大阪教会塔は、大阪市阿倍野区阪南町にある昭和3年(1928年)建築の鉄筋コンクリート造の教会の塔で、令和7年(2025年)に国の登録有形文化財に登録された。設計は建築家の村野藤吾で、村野の実質的なデビュー作とされる建物の一部である。

南大阪教会は大正15年(1926年)2月7日に創立された。2年後の昭和3年(1928年)、村野の設計・監督で木造の礼拝堂と鉄筋コンクリート造の塔が完成した。当時の村野は渡辺節の建築事務所に勤めており、独立して自身の事務所を構える前の仕事にあたる。大阪市の解説によれば、施工は岡本工務店が担当した。

木造の旧礼拝堂は傷みが進み、手狭にもなったため、昭和56年(1981年)に建て替えられた。新しい礼拝堂の設計を手がけたのも村野で、亡くなる3年前の仕事である。このとき塔は取り壊されずに修復された。登録の対象はこの塔の1棟である。

日本基督教団南大阪教会塔が登録有形文化財となった理由

日本基督教団南大阪教会塔は、令和7年(2025年)3月21日の文化審議会の答申を経て、同年8月6日に登録有形文化財(建造物)として登録された。登録番号は27-0948、登録基準は「造形の規範となっているもの」である。

文化庁の解説は、この塔を村野の処女作の一部とし、鉄筋コンクリートによる造形への志向を示す貴重な塔と評価している。構造は鉄筋コンクリート造3階建てで塔屋が付き、外壁はモルタル塗り、建築面積は11平方メートル。大阪文化財ナビによれば、平面は約3メートル四方の方形である。

大阪市は、この教会を「生きた建築ミュージアム・大阪セレクション」に令和5年(2023年)に選定している。教会の紹介によれば、平成28年(2016年)には阿倍野区の都市景観資源にも選ばれた。

村野の最初期と最晩年の作品が同じ敷地に並ぶことも、この塔の価値を高めている。教会は、村野がこの教会を「私の長男」と呼び、強い愛着を示していたと伝えている。

日本基督教団南大阪教会塔の見どころ

日本基督教団南大阪教会塔でまず見たいのは南面である。中央部を前へ迫り出させ、そこに円と十字を組み合わせた模様を帯状に連ねた透彫を施している。簡素な箱形の塔身が、この繰り返し模様によって引き締まって見える。頂部には十字架が立つ。

大阪市の解説は、この幾何学的な構成に、オーギュスト・ペレが設計したフランスのル・ランシーの教会堂の影響がうかがえると述べている。鉄筋コンクリートを生かした造形を、若い村野が小さな塔で試みたことが見て取れる。

塔と、その奥の昭和56年(1981年)の礼拝堂との対比にも目を向けたい。幾何学的な模様でまとめた若い村野の塔に対し、晩年の礼拝堂は大らかな曲面で構成されている。53年を隔てた同じ建築家の2つの仕事を、1か所で見比べられる。

教会は庚申街道に面している。大阪文化財ナビは、完成当時の周囲には良質な長屋や田畑が多く残り、その中で教会がひときわ目立っていたと記している。

日本基督教団南大阪教会塔の見学方法とアクセス

日本基督教団南大阪教会塔の内部は公開されておらず、大阪文化財ナビでも「非公開」とされている。塔の外観は教会前の道路から見ることができる。

南大阪教会では毎週日曜日の午前10時30分から主日礼拝が行われ、教会は初めての人の来訪も歓迎している。礼拝の機会には、晩年の村野が設計した礼拝堂に入ることができる。敷地には教会付属の南大阪幼稚園があるので、平日に訪れる場合は園の活動の妨げにならないよう、道路からの見学にとどめたい。

撮影は公道から塔の外観を写す範囲にとどめ、敷地内や礼拝堂内での撮影は教会に確認する。

最寄り駅は大阪メトロ御堂筋線の昭和町駅(2番出口)と谷町線の文の里駅(6番出口)で、いずれも徒歩約5分。日曜日の主日礼拝の際は幼稚園の園庭に無料で駐車でき(台数に限りあり)、平日と土曜日は近くのコインパーキングを使うよう案内されている。住所は教会の案内では阪南町1-30-5、文化庁のデータベースでは阪南町一丁目30-2と記載されている。

Q&A

Q日本基督教団南大阪教会塔は誰が設計したのですか?
A建築家の村野藤吾です。昭和3年(1928年)の完成で、渡辺節の事務所から独立する前に手がけた実質的なデビュー作の一部とされています。
Q日本基督教団南大阪教会塔はいつ登録有形文化財になりましたか?
A令和7年(2025年)3月21日の文化審議会の答申を経て、同年8月6日に登録されました。登録基準は「造形の規範となっているもの」です。
Q日本基督教団南大阪教会塔の中に入れますか?
A塔の内部は非公開です。外観は道路から見られます。日曜日午前10時30分からの主日礼拝では、昭和56年(1981年)に村野が設計した礼拝堂に入ることができます。
Q日本基督教団南大阪教会塔への行き方は?
A大阪メトロ御堂筋線昭和町駅の2番出口、または谷町線文の里駅の6番出口から、いずれも徒歩約5分です。
Q日本基督教団南大阪教会塔の見どころはどこですか?
A南面の迫り出し部分に連なる円と十字の透彫と、頂部の十字架です。奥に建つ村野晩年の曲面の礼拝堂との対比も見逃せません。

基本情報

名称日本基督教団南大阪教会塔
所在地大阪府大阪市阿倍野区阪南町一丁目30-2(教会の住所表記は阪南町1-30-5)
指定区分登録有形文化財(建造物)
指定年令和7年(2025年)8月6日登録
員数1棟
寸法建築面積11㎡(鉄筋コンクリート造3階建、塔屋付)
所有者宗教法人日本基督教団南大阪教会
公開状況塔の内部は非公開。外観は道路から見学可

参考文献

国指定文化財等データベース(文化庁)日本基督教団南大阪教会塔
https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00015490
文化審議会の答申(登録有形文化財(建造物)の登録)令和7年3月21日|文化庁
https://www.bunka.go.jp/koho_hodo_oshirase/hodohappyo/94187801.html
答申の概要(PDF)|文化庁
https://www.bunka.go.jp/koho_hodo_oshirase/hodohappyo/pdf/94187801_01.pdf
生きた建築ミュージアム・大阪セレクション 日本基督教団南大阪教会|大阪市
https://www.city.osaka.lg.jp/toshiseibi/page/0000649958.html
日本基督教団南大阪教会(公式サイト)
https://www.mochurch.net/
教会の歩み|南大阪教会
https://www.mochurch.net/%E6%95%99%E4%BC%9A%E3%81%AE%E6%AD%A9%E3%81%BF
アクセス|南大阪教会
https://www.mochurch.net/%E3%82%A2%E3%82%AF%E3%82%BB%E3%82%B9
日本基督教団 南大阪教会|大阪文化財ナビ
https://osaka-bunkazainavi.org/bunkazai/%E6%97%A5%E6%9C%AC%E5%9F%BA%E7%9D%A3%E6%95%99%E5%9B%A3-%E5%8D%97%E5%A4%A7%E9%98%AA%E6%95%99%E4%BC%9A

最終更新日: 2026.09.16