黒壁ガラス館本館(旧第百三十銀行長浜支店)——明治の銀行建築が紡ぐガラスアートの世界
滋賀県長浜市、旧北国街道と大手門通りが交わる「札の辻」に建つ黒壁ガラス館は、明治33年(1900年)に第百三十国立銀行長浜支店として建てられた歴史的建造物です。黒漆喰塗りの外壁から「黒壁銀行」の愛称で地域の人々に親しまれてきたこの建物は、平成8年(1996年)に国の登録有形文化財に登録されました。現在は世界各国のガラス工芸品を展示・販売するギャラリーとして、黒壁スクエアの象徴的存在となっています。
歴史的背景
黒壁ガラス館の建物は、明治33年(1900年)に第百三十国立銀行長浜支店として竣工しました。明治時代後期、鉄道の開通とともに商業都市として発展した長浜の経済を支える金融拠点として重要な役割を果たしました。黒漆喰で仕上げられた外壁は当時としても異彩を放ち、地元では「黒壁銀行」「くろかべさん」と呼ばれ広く親しまれました。
その後、明治39年(1906年)に明治銀行長浜支店となり、昭和中期には長浜カトリック教会として使用されるなど、時代とともにその役割を変えてきました。昭和の終わりには老朽化による取り壊しの危機に直面しましたが、昭和63年(1988年)に長浜市と地元民間企業8社が出資して第三セクター「黒壁」を設立。建物を取得・保存し、平成元年(1989年)にガラスをテーマとした「黒壁ガラス館」として新たな歴史を歩み始めました。
文化財としての価値
平成8年(1996年)12月20日、「国土の歴史的景観に寄与しているもの」として国の登録有形文化財に登録されました。建築的な特徴として、伝統的な土蔵造を基調としながら、軒蛇腹・上下窓・天井飾りなど要所に洋風の意匠を取り入れた和洋折衷のデザインが評価されています。明治期に多く建てられた土蔵造の銀行建築の中でも、滋賀県下における初期の事例のひとつとして貴重な存在です。
建築の見どころ
外観は黒漆喰塗りの重厚な壁面と瓦屋根が特徴的で、周囲の伝統的な町並みの中でもひときわ存在感を放っています。令和2年(2020年)から翌年にかけて耐震補強・長寿命化工事が実施され、建築当初の黒色の外壁が美しく復元されました。
館内に足を踏み入れると、旧銀行時代の面影を色濃く残す空間が広がります。1階天井にはイタリアから取り寄せたガラス製のシャンデリアが輝き、亀甲模様の精緻な天井装飾や赤いカーペットが敷かれた重厚な階段など、明治の洋風建築ならではの意匠を随所に楽しむことができます。1階では普段使いのグラスや花器、アクセサリーなど、2階ではイタリア・ドイツ・オーストリアなどヨーロッパのガラス工芸品を展示・販売しています。
黒壁スクエアとガラス文化
黒壁ガラス館を中心に、北国街道沿いには約30棟の歴史的建造物を活用したショップ・工房・ギャラリー・カフェ・レストランが集まる「黒壁スクエア」が形成されています。年間約200万人の観光客が訪れる滋賀県有数の人気観光スポットです。
ガラス館の裏手にある黒壁十三號館「アトリエ ルディーク」では、吹きガラス・カットグラス・ステンドグラス・フュージング・サンドブラストなど多彩なガラス制作体験が楽しめます。カットグラス体験は所要約30分で、完成品をその場で持ち帰ることができます。
アクセス・周辺情報
JR北陸本線「長浜駅」東口から徒歩約5分。東海道新幹線「米原駅」からJR北陸本線で約10分と、京都・大阪・名古屋方面からのアクセスも良好です。車の場合は北陸自動車道「長浜IC」から約10分です。
周辺には琵琶湖畔に復元された長浜城(長浜城歴史博物館)があり、最上階からは琵琶湖の雄大な眺望を楽しめます。北国街道沿いの歴史ある町並みには、名物「のっぺいうどん」の茂美志屋、竹炭の真っ黒なソフトクリームで人気の96CAFEなど、長浜ならではのグルメスポットも充実しています。琵琶湖に浮かぶ竹生島への観光船も長浜港から発着しています。
Q&A
- 黒壁ガラス館の営業時間は?
- 4月〜10月は10:00〜18:00、11月〜3月は10:00〜17:00です。年末に休業する場合がありますので、訪問前に公式サイトでご確認ください。
- 入館料はかかりますか?
- 入館は無料です。ガラス製品の閲覧・購入を自由にお楽しみいただけます。ガラス制作体験は隣接のアトリエ ルディークにて別途有料で参加できます。
- なぜ「黒壁」と呼ばれているのですか?
- 建物の外壁が黒漆喰(くろしっくい)で塗られていたことから、地元の人々が「黒壁銀行」と呼び親しんだことに由来します。現在もその愛称が地区全体の名称として受け継がれています。
- ガラス制作の体験はできますか?
- 黒壁十三號館「アトリエ ルディーク」で、吹きガラス・カットグラス・ステンドグラス・サンドブラスト・フュージングなど約10種類の制作体験が可能です。カットグラス体験は約30分で完成品をその場でお持ち帰りいただけます。
- 主要都市からのアクセス方法は?
- 東海道新幹線で米原駅まで行き、JR北陸本線に乗り換えて約10分で長浜駅に到着します。長浜駅東口から徒歩約5分です。車の場合は北陸自動車道・長浜ICから約10分です。
基本情報
| 名称 | 黒壁ガラス館本館(旧第百三十銀行長浜支店) |
|---|---|
| 文化財指定 | 国登録有形文化財(平成8年12月20日登録) |
| 建築年 | 明治33年(1900年) |
| 構造 | 木造、土蔵造を基調とした和洋折衷建築(擬洋風) |
| 所有者 | 株式会社黒壁 |
| 所在地 | 〒526-0059 滋賀県長浜市元浜町12-38 |
| 電話番号 | 0749-65-2330 |
| 営業時間 | 10:00〜18:00(4月〜10月)/10:00〜17:00(11月〜3月) |
| 入館料 | 無料 |
| アクセス | JR北陸本線「長浜駅」東口より徒歩約5分/北陸自動車道「長浜IC」より車で約10分 |
参考文献
- 黒壁ガラス館本館(旧第百三十銀行長浜支店) — 文化遺産オンライン
- https://online.bunka.go.jp/heritages/detail/191059
- 黒壁ガラス館 — Wikipedia
- https://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%BB%92%E5%A3%81%E3%82%AC%E3%83%A9%E3%82%B9%E9%A4%A8
- 黒壁ガラス館 — 日本遺産ポータルサイト(文化庁)
- https://japan-heritage.bunka.go.jp/ja/culturalproperties/result/4990/
- 黒壁一號館 黒壁ガラス館 — どこいこ長浜
- https://www.dokoiko-nagahama.jp/ja/spot/detail/39
- 黒壁ガラス館 — 黒壁スクエア公式サイト
- https://kurokabe-square.com/category/BUY/post.php
- 黒壁スクエア — Wikipedia
- https://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%BB%92%E5%A3%81%E3%82%B9%E3%82%AF%E3%82%A8%E3%82%A2
最終更新日: 2026.04.09