台所棟に寄り添う小屋

近江日野商人館(旧山中兵右衛門家住宅)井戸屋形は、滋賀県蒲生郡日野町大窪にある近江日野商人・山中兵右衛門家の本宅に付属する井戸まわりの建物で、昭和18年(1943年)頃に建てられ、平成10年(1998年)1月16日に国の登録有形文化財に登録された。

井戸屋形とは、井戸の上や周りに屋根を架けた建物をいう。文化庁の記録では木造平屋建、瓦葺で、建築面積は11平方メートル。切妻造桟瓦葺の小さな建物で、主屋主体部の西に付く釜屋(台所棟)のさらに西に、釜屋と平行に軒を接して建つ。北側には物置が続いている。

主屋や表門、東西の蔵が昭和11年(1936年)頃の建築とされるのに対し、旧山中兵右衛門家住宅の井戸屋形は物置とともに昭和18年頃と、屋敷のなかではもっとも新しい。

ボイラーが語る昭和の暮らし

旧山中兵右衛門家住宅の井戸屋形は、「国土の歴史的景観に寄与しているもの」として登録された。文化庁の解説が注目するのは、建物の中の区分けと設備である。

建物は北と南で性格が分かれる。北側は壁を設けない吹き放ちとし、南側には部屋を区切って、昭和18年製のボイラーを据えている。井戸という古くからの水まわりの場に、近代の機械設備が組み込まれていることになる。

解説は、この建物を商人の暮らしの近代化を知ることができる施設として評価している。太平洋戦争のさなかに製造されたボイラーが、台所棟のすぐ脇に据えられていたことは、昭和の本宅の生活がどのような設備に支えられていたかを具体的に示している。

井戸屋形で見ておきたいところ

近江日野商人館の井戸屋形は、台所棟との関係に注目して見たい。釜屋と平行に軒を接して建つ配置からは、水を汲み、湯を使い、煮炊きをする作業が、この一角でひと続きに行われていたことがうかがえる。

建物そのものでは、吹き放ちの北側と部屋を設けた南側の対比が見どころになる。北側から物置、南側へとたどると、11平方メートルほどの小屋の中で、開いた作業の場と閉じた機械の部屋が分けられていることが分かる。

井戸屋形の見学方法

旧山中兵右衛門家住宅の井戸屋形は近江日野商人館の敷地の奥、主屋の台所棟の西側にある。館の公式の案内には井戸屋形やボイラーの公開についての記載がないため、近くで見られるか、撮影してよいかは受付で確かめたい。開館時間・入館料・行き方は、近江日野商人館のページにまとめてある。

Q&A

Q近江日野商人館の井戸屋形とはどんな建物ですか?
A井戸まわりに屋根を架けた木造平屋建の小さな建物で、建築面積は11平方メートルです。切妻造、桟瓦葺で、主屋の釜屋(台所棟)の西に軒を接して建っています。
Q旧山中兵右衛門家住宅の井戸屋形はいつ建てられましたか?
A文化庁のデータベースでは昭和18年(1943年)頃の建築です。主屋などより新しく、北隣の物置と同じ時期とされます。
Q近江日野商人館の井戸屋形にはボイラーがあるのですか?
Aはい。文化庁の解説によれば、南側に部屋を設けて昭和18年製のボイラーを置いています。北側は壁のない吹き放ちです。
Q近江日野商人館の井戸屋形はなぜ登録有形文化財になったのですか?
A商人の暮らしの近代化を知ることができる施設として評価され、「国土の歴史的景観に寄与しているもの」として平成10年(1998年)1月16日に登録されました。
Q近江日野商人館の井戸屋形は見学できますか?
A公式の案内には公開についての記載がありません。近くまで行けるか、撮影してよいかは受付で確かめるのが確実です。

基本情報

名称近江日野商人館(旧山中兵右衛門家住宅)井戸屋形
所在地滋賀県蒲生郡日野町大字大窪1011
指定区分登録有形文化財(建造物)
指定年平成10年(1998年)1月16日登録
員数1棟
寸法木造平屋建、瓦葺、建築面積11平方メートル
所有者日野町
公開状況近江日野商人館の敷地内。内部公開についての案内はない

参考文献

国指定文化財等データベース(文化庁):近江日野商人館(旧山中兵右衛門家住宅)井戸屋形
https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00000441
文化遺産オンライン:近江日野商人館(旧山中兵右衛門家住宅)井戸屋形
https://online.bunka.go.jp/heritages/detail/137711

最終更新日: 2026.09.24