昭和6年の木造庫裏

清水寺庫裏は、静岡県静岡市葵区音羽町にある高野山真言宗音羽山清水寺の庫裏で、昭和6年(1931年)の建築、平成13年(2001年)11月20日に国の登録有形文化財(建造物)に登録された。庫裏は住職とその家族の生活の場であり、台所や寺務所、応接の座敷を含む。境内でもっとも儀礼性の低い建物でありながら、日常的にはもっとも動いている建物でもある。

鉄筋コンクリート造本堂の南東方に位置する。木造平屋一部2階建、瓦葺、建築面積249平方メートル。

設計は古宇田実。同じ年に竣工した鉄筋コンクリート造の本堂も同じ設計者の手になる。この組み合わせは興味深い。数歩の距離を置いて、一方には型枠で打たれたコンクリートの仏堂が、他方には全き木造の住まいが建てられたことになる。文化庁はこの庫裏を近代和風建築と位置づけている。伝統的な木造の技法を保ちながら、近代の生活と接客の要求に応えた建物を指す呼び方である。

平面と構成

文化庁の解説は、この建物を二つの部分の複合として記述する。庫裏本体は入母屋造の玄関をもつ木造平屋建で、屋根は入母屋造、妻入とする。棟の妻側を正面に向ける構えである。その背後に木造2階建、寄棟造の奥書院が続く。

庫裏の北側には、西から順に8畳規模の応接室、8畳、10畳の表書院が並ぶ。訪れる者は一本の動線に沿って進み、奥へ行くほど部屋は広く、格式も上がる。寺院の接客空間として理にかなった配置といえる。

登録番号は22-0077、第31回の登録で、告示は平成13年(2001年)12月4日。登録基準は本堂と同じく「造形の規範となっているもの」である。登録有形文化財の制度は、建物を使いながら守ることを前提とする。住職の家族が現に暮らす庫裏にとって、この点は小さくない意味を持つ。

参拝者との接点として

庫裏は寺務所を兼ねており、参拝者が最初に声をかける場所でもある。清水寺は駿河三十三観音霊場第19番札所で、御朱印の受付もここで行われる。住職が不在のこともあるため、054-246-9333へ事前に確認してから訪ねるよう寺は案内している。

内部は生活の場であり、一般の見学には供されていない。境内から眺められるのは外観である。奥の2階建から手前の平屋へと段を下げる瓦屋根の連なり、参道に向けられた妻面、簡素だが均整のとれた玄関。外観の撮影に制限は設けられていないが、窓の向こうは住まいであるから、相応の配慮をもって向き合いたい。

静岡鉄道音羽町駅から徒歩約2分。県内の登録有形文化財のなかでも、これほど駅に近い例は多くない。駐車場は2台分のみ。年間行事のうち、1月1日の修正会、2月3日の節分会、7月9日の清水寺観音大祭、大晦日の除夜の鐘が一般開放にあたり、この日は境内も寺務所も人で埋まる。庫裏という建物が本来果たしている役割を見るには、むしろこうした日が向いている。

近隣には大正8年(1919年)建立の鐘楼が建ち、こちらも登録有形文化財。静岡県指定有形文化財の観音堂には、徳川家康の念持仏と伝わる千手観音が祀られる。清水寺は家康から三つ葉葵の紋の使用を許されており、境内のあちこちにその紋を見つけることができる。

Q&A

Q清水寺庫裏とはどのような建物ですか。内部を見学できますか。
A庫裏は住職と家族が暮らし、台所や寺務所、接客の座敷を備えた建物です。清水寺庫裏は昭和6年(1931年)建築の現役の住まいであり、内部の一般見学は行われていません。外観は境内から自由にご覧いただけます。
Q清水寺(静岡市)の御朱印はどこで受けられますか。
A庫裏の寺務所で受け付けています。清水寺は駿河三十三観音霊場第19番札所です。住職不在の場合があるため、054-246-9333へ事前にご連絡のうえお越しください。
Q清水寺庫裏はいつ、どのような理由で登録されましたか。
A平成13年(2001年)11月20日に登録有形文化財(建造物)となり、告示は同年12月4日、登録番号は22-0077です。登録基準は「造形の規範となっているもの」で、文化庁は本堂と同じ古宇田実の設計による近代和風建築と説明しています。
Q清水寺庫裏の間取りはどうなっていますか。
A入母屋造の玄関をもつ木造平屋建で、本体は入母屋造・妻入。背後に木造2階建、寄棟造の奥書院が続きます。北側には西から8畳規模の応接室、8畳、10畳の表書院が並びます。
Q清水寺庫裏への行き方と駐車場を教えてください。
A静岡鉄道音羽町駅から北へ徒歩約2分です。東名高速静岡インターチェンジからは約5キロメートルですが、駐車場は2台分のみのため、電車でのお越しをおすすめします。

基本情報

名称清水寺庫裏(きよみずでらくり)
所在地静岡県静岡市葵区音羽町27-8
指定区分登録有形文化財(建造物) 登録番号22-0077
指定年平成13年(2001年)11月20日登録、同年12月4日告示
員数1棟
寸法木造平屋一部2階建、瓦葺、建築面積249平方メートル(昭和6年建築)
所有者清水寺
公開状況外観は境内から自由。内部は生活の場のため非公開。御朱印受付は庫裏。問い合わせは054-246-9333

参考文献

国指定文化財等データベース(文化庁) 清水寺庫裏
https://kunishitei.bunka.go.jp/heritage/detail/101/00002546
国指定文化財等データベース(文化庁) 清水寺本堂
https://kunishitei.bunka.go.jp/heritage/detail/101/00001112
国指定文化財等データベース(文化庁) 清水寺鐘楼
https://kunishitei.bunka.go.jp/heritage/detail/101/00001710
しずおか文化財ナビ 清水寺観音堂(静岡県)
https://www.pref.shizuoka.jp/kankosports/bunkageijutsu/bunkazai/1002825/1041003/1041886/1004975/1021042.html

最終更新日: 2026.08.04