トチセン(旧足利織物)とは

トチセン(旧足利織物)は、栃木県足利市福居町にある織物工場で、大正2年から8年(1913年~1919年)に建てられた赤レンガの工場建築のうち、赤レンガ捺染工場と赤レンガサラン工場の2棟が平成11年(1999年)11月18日に、汽罐室が平成20年(2008年)3月7日に、国の登録有形文化財(建造物)に登録されている(文化庁)。

足利市によれば、工場は大正時代の初めに設立された足利織物会社が、輸出向けの綿織物をつくるために建てたもので、足利で最初の近代工業にあたる。市は、大規模な赤レンガの工場建築群として現存するのはここだけだとしている。現在の所有者は株式会社トチセンである(文化庁)。

3件の構成と配置

登録されている3件はいずれも煉瓦造の平屋で、3件とも登録の基準は「国土の歴史的景観に寄与しているもの」である(文化庁)。登録番号は捺染工場が09-0021、サラン工場が09-0022、汽罐室が09-0170。

  • 赤レンガ捺染工場:建築面積1,587平方メートル。煉瓦の外壁の内側を木造の軸組で支え、6連の鋸屋根を架ける。3件のうち最大の棟(文化庁)
  • 赤レンガサラン工場:建築面積357平方メートル。東西に長い切妻造の工場で、北面に大きな石を窓枠とした窓が密に並ぶ(文化庁)
  • 汽罐室:建築面積239平方メートル。工場敷地の南西隅、捺染工場の奥に建つボイラー室で、昭和16年(1941年)に増築され、ランカシャーボイラー2基が建物とともに登録されている(文化庁、足利市)

捺染は布に染料で柄を刷り込む工程で、汽罐室は蒸気をつくるボイラーの建屋である。足利市は汽罐室を織物工場に欠かせない施設とし、先に登録された捺染工場・サラン工場とあわせて貴重な建築遺構としている。生産の棟と、それを支えた設備の棟がそろって残っている点に、3件をまとめて見る意味がある。各棟の構造や見どころは、それぞれのページで扱っている。

見学について

足利市は、捺染工場・サラン工場・汽罐室のいずれも通常は非公開としている。市が令和8年(2026年)11月21日と22日に開く「足利の文化財特別公開2026」は市中央部と北部の寺社などが対象で、トチセンは公開先に入っていない。

工場は株式会社トチセンの敷地内にある。市は文化財の見学にあたって、公開されていない場所や個人の敷地に立ち入らないよう呼びかけている。見学の機会があるかどうかは、足利市教育委員会文化課の告知で確かめたい。

名称と読み

文化庁の登録名は「トチセン(旧足利織物)」を冠し、読みは「とちせん(きゅうあしかがおりもの)」である。括弧内の足利織物は工場を建てた会社の名で、現在の所有者がトチセンであることから、新旧の社名を併記した形になっている。

参考文献

トチセン(旧足利織物)赤レンガ捺染工場(国指定文化財等データベース)
https://kunishitei.bunka.go.jp/heritage/detail/101/00001406
トチセン(旧足利織物)赤レンガサラン工場(国指定文化財等データベース)
https://kunishitei.bunka.go.jp/heritage/detail/101/00001407
トチセン(旧足利織物)汽罐室(国指定文化財等データベース)
https://kunishitei.bunka.go.jp/heritage/detail/101/00006782
トチセン(旧足利織物)赤レンガ捺染工場・赤レンガサラン工場(足利市)
https://www.city.ashikaga.tochigi.jp/education/000029/000169/000627/p000942.html
トチセン(旧足利織物)汽罐室(足利市)
https://www.city.ashikaga.tochigi.jp/education/000029/000169/000627/p000935.html
「足利の文化財特別公開2026」を開催します(足利市)
https://www.city.ashikaga.tochigi.jp/education/000029/000169/000628/p007154.html
公開文化財を紹介します!(足利市)
https://www.city.ashikaga.tochigi.jp/education/000029/000169/000628/p008809.html

最終更新日: 2026.10.20

基本情報

名称トチセン(旧足利織物)
所在地栃木県足利市福居町1151-1他
所有者株式会社トチセン
指定登録有形文化財 3件
座標36.30623, 139.45729