日本聖公会浅草聖ヨハネ教会の礼拝堂

日本聖公会浅草聖ヨハネ教会は、東京都台東区蔵前にある聖公会の教会堂で、昭和4年(1929年)に聖別され、平成20年(2008年)に国の登録有形文化財に登録された。隅田川の右岸、玩具や文具の問屋が並ぶ街区の中に建ち、都営地下鉄の蔵前駅から歩いて数分の距離にある。

日本聖公会は英国国教会の流れをくむ教派で、浅草聖ヨハネ教会はその東京教区に属する。宣教の始まりは明治9年(1876年)、江戸監督ウィリアムズ主教のもとでクーパー宣教師が浅草で伝道を始めたことにさかのぼる。明治24年(1891年)に黒船町で最初の礼拝堂が建てられ、続いて栄久町に建てた煉瓦造の礼拝堂は大正12年(1923年)の関東大震災で失われた。現在の礼拝堂ができるまで、信徒は仮の礼拝堂で礼拝を守った。

文化庁の国指定文化財等データベースは、構造を鉄筋コンクリート造2階一部3階建、建築面積271平方メートルと記録する。敷地の北側に間口9.1メートル、奥行22メートルの2階建の礼拝堂を置き、南側に3階建の談話室を設け、両者を階段室でつなぐ。正面は西を向く。登録上の所在地は蔵前2-22-2ほかで、教会の住所表示は蔵前2-7-6である。

ゴシック風意匠の鉄筋コンクリート造という登録の理由

日本聖公会浅草聖ヨハネ教会は平成20年(2008年)7月8日に登録された。登録番号は13-0232、登録基準は「造形の規範となっているもの」である。文化庁の解説は、礼拝堂に控え壁(バットレス)を付け、尖頭アーチの窓を開けた点を挙げ、ゴシック風の意匠をまとった鉄筋コンクリート造教会の一例と位置づけている。

見どころは、その組み合わせにある。煉瓦と石の礼拝堂を震災で失った教会は、再建にあたって鉄筋コンクリートを選んだ。通りから見て聖公会の教会と分かる控え壁や尖頭窓、縦に伸びる線はそのまま残しつつ、それらを組積ではなく近代の躯体に打ち出している。

宇都宮美術館が2023年の教会建築展にあわせて公開した調査によれば、基本設計は米国人建築家ジョン・ヴァン・ウィー・バーガミニ、実施設計は上林敬吉(かんばやし・けいきち)で、施工は隅田組である。角地に教会・会館棟と牧師館をまとめた複合施設として当初から計画されたという。なお、教会自身の沿革は建物の建設年を1928年としており、文化庁と美術館は聖別の年である1929年を年代としている。

昭和20年(1945年)3月10日の東京大空襲で、礼拝堂は大きな被害を受けた。美術館の記述では、設計者の上林敬吉がみずから修復にあたり、昭和30年(1955年)に元の姿を取り戻した。文化庁の記録も1955年を改修の年としている。

日本聖公会浅草聖ヨハネ教会の見どころ

まず通りの向かいから正面を眺めたい。北西の正面では、扁平な四心尖頭アーチ(チューダー・アーチ)が、縦長の5つの尖頭窓をひとまとめに包んでいる。その左右には縦長の直方体が立ち上がり、塔の足もとのような量感を見せる。

直方体の上部に目を移すと、葡萄をかたどったレリーフが2か所にある。北西の角の頂には同じ柄の、洗礼盤を思わせる立体が載り、その下に円筒形の付け柱が壁に埋め込まれている。美術館はこの装飾を「象徴的で抑制されている」と評しており、平らなコンクリートの壁に小さな彫りがいくつか添えられただけの構成は、現地で見てもその通りに映る。

教会は角地に建つので、長い側面も脇の道から全体を見渡せる。美術館の記述によれば、控え壁の間に高窓、尖頭窓、矩形の窓が順に連なり、その律動が、低いL字形の建物を普通の事務所建築とは違うものに見せている。内部では、階高をとった主階に礼拝堂があり、内陣は南東の端に置かれる。その下の半地下には集会室など教会活動のための部屋が並ぶ。

日本聖公会浅草聖ヨハネ教会の見学方法とアクセス

日本聖公会浅草聖ヨハネ教会は現役の教会で、拝観料や観光向けの公開時間はない。教会は、礼拝の時間以外にも平日の日中などに静かに祈る場として聖堂を使ってほしいと案内しており、扉が開いているときは自由に入ってよいとしている。

主日礼拝は毎週日曜日の午前10時30分から行われ、予約は要らない。礼拝で使う書籍は教会に備え付けがある。月に数回は聖餐式として行われ、信徒でない人も列席でき、希望すれば祝福を受けられる。2026年9月26日には、宣教開始150年を記念する感謝礼拝がささげられた。

撮影について教会の案内はない。外観は公道から撮り、内部を撮りたいときは教会の人に声をかけて了承を得たい。礼拝中の撮影は控える。

最寄りは都営浅草線の蔵前駅で徒歩約2分、都営大江戸線の蔵前駅からは徒歩約4分である。駐車場はなく、教会は周辺のコインパーキングの利用を勧めている。

Q&A

Q日本聖公会浅草聖ヨハネ教会の礼拝堂はいつ建てられましたか?
A関東大震災で失った礼拝堂に代わり、昭和4年(1929年)に聖別されました。昭和20年(1945年)3月10日の空襲で大破し、昭和30年(1955年)に元の姿へ修復されています。
Q浅草聖ヨハネ教会の設計者は誰ですか?
A宇都宮美術館の調査では、基本設計がジョン・ヴァン・ウィー・バーガミニ、実施設計が上林敬吉です。戦後の修復も上林敬吉が手がけました。
Q浅草聖ヨハネ教会はなぜ登録有形文化財なのですか?
A平成20年(2008年)7月8日に「造形の規範となっているもの」として登録されました。控え壁と尖頭アーチ窓を備えた、ゴシック風意匠の鉄筋コンクリート造教会です。
Q日本聖公会浅草聖ヨハネ教会の中には入れますか?
A入れます。教会は、扉が開いているときは祈りの場として自由に入ってよいと案内しており、日曜日午前10時30分の主日礼拝にも誰でも出席できます。料金はかかりません。
Q浅草聖ヨハネ教会への行き方は?
A都営浅草線の蔵前駅から徒歩約2分、都営大江戸線の蔵前駅から徒歩約4分です。駐車場はありません。

基本情報

名称日本聖公会浅草聖ヨハネ教会
所在地東京都台東区蔵前2-22-2ほか
指定区分登録有形文化財(建造物)
指定年平成20年(2008年)7月8日登録
員数1棟
寸法建築面積271㎡(鉄筋コンクリート造2階一部3階建)
所有者宗教法人日本聖公会東京教区
公開状況外観は公道から見学可。扉が開いているときと日曜午前10時30分の礼拝時に聖堂へ入れる

参考文献

国指定文化財等データベース(文化庁)日本聖公会浅草聖ヨハネ教会
https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00007191
文化遺産オンライン 日本聖公会浅草聖ヨハネ教会
https://online.bunka.go.jp/heritages/detail/187093
浅草聖ヨハネ教会(日本聖公会東京教区)
https://www.nskk.org/tokyo/churchs/asakusa
浅草聖ヨハネ教会 ホーム
https://stjohn-asakusa.tokyo/
浅草聖ヨハネ教会 プロフィール
https://stjohn-asakusa.tokyo/profile.html
浅草聖ヨハネ教会 教会紹介(成り立ち)
https://stjohn-asakusa.tokyo/cont1/main.html
浅草聖ヨハネ教会 地図・アクセス
https://stjohn-asakusa.tokyo/map.html
宇都宮美術館「二つの教会をめぐる石の物語」建造物めぐり⑦浅草聖ヨハネ教会初代・二代・三代礼拝堂
https://u-moa.jp/event/church2023/1618/index.html

最終更新日: 2026.10.04