蚊屋島神社とは

蚊屋島神社は、鳥取県西伯郡日吉津村の箕蚊屋平野中央部に鎮座する神社で、創立年代は不詳ながら社領証文により天文14年(1545年)以前にさかのぼると伝えられ、境内の建造物8棟が平成30年(2018年)11月2日に登録有形文化財となった。読みは「かやしまじんじゃ」、地元では通称「大神宮さん」で通る。

社名の「島」は、周囲よりわずかに高い微高地を指す。日野川は流路を何度も変えながら下流の平野を洗ってきた川で、蚊屋島神社もその被害を繰り返し受けている。それでも社地が動かなかったのは、この微高地を選んで社殿を構えたからだと日吉津村教育委員会は説明している。

近世の呼称は一定しない。日吉津大神宮、伊勢宮、天照皇太神宮などと呼ばれ、棟札には天照皇太神宮と記された。現在の社名に改まったのは明治初年で、『和名抄』に見える蚊屋郷の地名にちなむ。祭神は天照大御神と高比賣命の二柱、伊勢の神と出雲系の神が並んで祀られている。

蚊屋庄29か村の産土神として広く崇敬を集め、鳥取縣神社廳の伝えるところでは、天文14年(1545年)に尼子氏が社領を寄せて社殿を造営した。以後も天正19年(1591年)の吉川氏、寛永10年(1633年)の鳥取藩池田氏と社領の寄進が続く。明治初年には境内の摂末社と日吉津の恵美須を合祀し、大正5年(1916年)に今村神社と今吉神社、翌年に秀阪神社を合併している。

境内の配置

境内面積はおよそ7,980平方メートル。建物はすべて南を向いて建つ。参道を北へ進むと、まず随神門が正面をふさぐように立ち、その先の広場で参道の東に神楽殿、西に宝庫(仮殿)が向かい合う。さらに奥に拝殿、その背後に幣殿、いちばん奥に本殿が一直線に連なる。

拝殿の東面からは渡廊が伸び、その先に神饌所がつながる。本殿の左右後方にはごく小さな社殿が二つ、西に豊受社、東に天神社が置かれ、同じ寸法・同じ形式で対をなしている。8棟がこの順に並ぶので、随神門をくぐってから本殿の裏手まで、五分も歩けば全棟を見て回れる。

社叢にはセンダンの大木をはじめ高木が多い。参道の銀杏並木は晩秋に色づき、初秋には境内の縁で彼岸花が咲く。

登録された8棟

平成30年(2018年)7月20日の国の文化審議会の答申を受け、同年11月2日付の官報告示で8件が登録された。日吉津村にとっては、国・県の指定を含めて初めての国の文化財である。登録基準は8件とも「国土の歴史的景観に寄与しているもの」。登録番号は31-0258から31-0265まで連番になっている。

  • 本殿 … 明治元年(1868年)/建築面積39平方メートル
  • 幣殿及び拝殿 … 天保4年(1833年)/建築面積73平方メートル
  • 神饌所及び渡廊 … 明治33年(1900年)/建築面積33平方メートル
  • 神楽殿 … 明治33年(1900年)/建築面積63平方メートル
  • 宝庫(仮殿) … 明治33年(1900年)/建築面積29平方メートル
  • 随神門 … 明治33年(1900年)/建築面積12平方メートル
  • 豊受社 … 明治元年(1868年)頃/建築面積5.4平方メートル
  • 天神社 … 明治元年(1868年)頃/建築面積5.4平方メートル

登録の理由として日吉津村教育委員会が挙げるのは二点である。明治元年(1868年)に建てられた本殿が規模・構造・装飾の面で独自性を持つこと、そして境内全体が明治33年(1900年)の整備によって機能的にまとめられ、神社の近代化の一端を示していることだ。江戸時代の拝殿に明治の社殿群が加わり、そのまま今日まで残った境内である。

祭礼

蚊屋島神社の例祭は10月11日、春祭は4月11日に行われる。神楽殿はこうした祭礼の日に舞台として使われる建物で、普段は無人だが、祭りの日には参道側の縁から舞を見る位置関係になる。

祭礼の日程は変わることがあるので、参列を目的に訪れるなら事前に社務所(電話 0859-27-2518)で確かめておきたい。

拝観とアクセス

境内は自由に参拝でき、拝観料も受付時間の定めもない。ただし鳥取県の文化財データベースは公開状況を「内部非公開」としており、蚊屋島神社の8棟はいずれも建物の中に入ることができない。見学は外観と、開放された随神門の中央間、拝殿正面までとなる。

撮影は境内の外観については通常問題にならないが、社殿の内部や祭祀中の様子を撮る場合は社務所に一言断るのが無難である。三脚を立てての撮影も同様に確認したい。

最寄り駅はJR山陰本線・伯備線の伯耆大山駅で、北へおよそ1.5キロ、徒歩20分ほど。米子駅からは車で15分前後の距離にある。イオンモール日吉津の南東すぐの一帯が神社の鎮座地で、モールから歩いても10分かからない。村内は平坦で、田の中に社叢が浮かぶように見えるため、近づけば方向を見失うことはない。

駐車の可否や社務所の在否は日によって異なる。車で訪れる場合や御朱印を希望する場合は、あらかじめ電話で問い合わせておくとよい。

参考文献

国指定文化財等データベース(文化庁) 蚊屋島神社本殿
https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00012624
国指定文化財等データベース(文化庁) 蚊屋島神社幣殿及び拝殿
https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00012625
日吉津村 国登録有形文化財 蚊屋島神社
https://www.hiezu.jp/list/kyouiku/e123/y114/
日吉津村 蚊屋島神社について
https://www.hiezu.jp/list/kyouiku/e123/y114/a171/
とっとり文化財ナビ(鳥取県) 蚊屋島神社 本殿ほか
https://db.pref.tottori.jp/bunkazainavi.nsf/bunkazai_web_view/BB16958A323A90D94925837F002C3D1C
鳥取縣神社廳 蚊屋島神社
https://tottori-jinjacho.jp/pages/292/

最終更新日: 2026.09.17

基本情報

名称蚊屋島神社
所在地鳥取県西伯郡日吉津村大字日吉津354
所有者宗教法人蚊屋島神社
指定登録有形文化財 8件
座標35.43794, 133.37747