宇倍神社とは
宇倍神社(うべじんじゃ)は、鳥取県鳥取市国府町宮ノ下にある因幡国一宮の神社で、大化4年(648年)の創建と伝わり、境内の本殿・拝殿・神門・透塀の4件が令和6年(2024年)3月6日に登録有形文化財となった。神社の案内では所在地を「国府町宮下」と書く。祭神は武内宿禰命(たけのうちのすくねのみこと)である。
稲葉山の南西のふもと、小高い丘の上に社殿が建つ。鳥取県神社庁によれば、鳥取駅の東南およそ4キロにあたり、丘の下にはかつての因幡国府や国分寺の跡が広がる。古代の因幡の中心に鎮まる神社である。
平安時代の『延喜式』神名帳では、因幡国でただ1社の名神大社に数えられた。明治4年(1871年)には国幣中社に列している。戦国時代の末、羽柴秀吉による鳥取城攻めの兵火で社殿は失われ、江戸時代に鳥取藩主池田家の寄進を受けて復興したと、神社庁の由緒は伝える。
登録された4件
宇倍神社の4件は、令和6年(2024年)3月6日の第106回登録でそろって登録有形文化財となった。登録番号は31-0283から31-0286まで続いている。文化庁のデータベースが示す年代と規模は次のとおり。
- 本殿:明治31年(1898年)建築、明治41年(1908年)改修。木造平屋建、檜皮葺、建築面積31平方メートル
- 拝殿:明治17年(1884年)建築、平成11年(1999年)改修。木造平屋建、檜皮葺、建築面積35平方メートル
- 神門:大正4年(1915年)建築、昭和前期に改修。木造、檜皮葺、間口3.0メートル
- 透塀:大正11年(1922年)建築、昭和前期と昭和48年(1973年)に改修。木造、銅板葺、延長61メートル
登録の基準は、本殿と拝殿が「造形の規範となっているもの」、神門と透塀が「国土の歴史的景観に寄与しているもの」である。本殿と拝殿は形の手本として、神門と透塀は社殿の景観をつくる要素として評価されたことになる。
神社の境内案内は登録を「令和5年(2023年)」とするが、これは文化審議会の答申の年にあたる。官報告示による登録日は文化庁データベースの令和6年(2024年)3月6日であり、ここではそちらに従った。
境内の配置と歩く順序
宇倍神社の社殿は、東から神門、拝殿、幣殿、本殿の順に一直線に並ぶ。文化庁の解説によれば本殿は東を向いて建ち、拝殿はその東に、神門はさらに拝殿の東に立つ。幣殿は登録の対象ではないが、拝殿と本殿をつなぐ建物で、その両脇から透塀が後方へ延びて本殿をぐるりと囲む。
参道は住宅地の中の鳥居から始まる。鳥取県神社庁は、社殿が130段の石段を上った丘の上にあると記す。上りきると手水舎があり、その先に神門が見えてくる。神門をくぐると正面に拝殿、その奥に透塀越しの本殿という順に、奥へ進むほど建物が少しずつ高くなる配置である。
社殿の左手には社務所や徴古館、境内社の国府神社が並ぶ。本殿の裏手は亀金岡(かめがねのおか)と呼ばれる丘で、祭神が履物を残して姿を隠したと伝わる双履石(そうりせき)がある。境内の広さは約2万5千平方メートルと、神社庁の資料にある。
紙幣に描かれた社殿
宇倍神社は、社殿が日本の紙幣の図柄になった神社として知られる。鳥取県神社庁によれば、明治32年(1899年)、大正5年(1916年)、昭和18年(1943年)に発行された五円券・一円券に、武内宿禰命の肖像とともに社殿が描かれた。神社は、明治32年の五円券が神社として初めての例であると案内している。
どの建物がどの券に描かれたかについては、資料によって書き方が異なる。鳥取県観光連盟は明治32年の券の図柄を拝殿と説明し、文化庁の解説は神門を「かつて紙幣の図柄となった門」と紹介する。神門の完成は大正4年(1915年)なので、神門が描かれたとすれば、それ以後に発行された券である。個々の券面については、発行元の資料で確かめてほしい。
参拝と見学
宇倍神社の境内は参拝者に開かれており、4件の登録有形文化財はいずれも境内から外観を見ることができる。公式サイトの案内に拝観料の記載はない。授与所と御朱印の受付は午前9時から午後5時まで、ご祈祷の受付は午後4時までである。
拝殿の中に入れるのは、ご祈祷や結婚式などで昇殿する場合に限られる。神社はご祈祷中のビデオや写真の撮影を断っているので、拝殿で神事が行われているときはカメラを下ろしたい。本殿は透塀の内側にあり、立ち入ることはできない。
毎年4月20日の宵宮と21日の例祭では、鳥取県の無形民俗文化財である麒麟獅子舞が奉納される。この時期は境内がにぎわうので、建物をゆっくり見たいなら日を外すとよい。
宇倍神社への行き方
鉄道の最寄りはJR鳥取駅である。駅前から日ノ丸自動車の路線バス(中河原方面)に乗り、「宮ノ下」で降りる。乗車時間は鳥取市観光サイトの案内で約15分、鳥取県観光連盟の案内で約20分とされ、バス停から宇倍神社までは歩いて数分である。タクシーなら駅から15分ほどになる。
車の場合、鳥取県観光連盟は鳥取自動車道の鳥取インターチェンジから約25分と案内している。鳥取市観光サイトによれば無料の駐車場があり、普通車117台、バス6台を止められる。団体のバスで訪れるときは、事前に神社へ連絡するよう求められている。
参考文献
- 国指定文化財等データベース 宇倍神社本殿(文化庁)
- https://kunishitei.bunka.go.jp/heritage/detail/101/00014924
- 国指定文化財等データベース 宇倍神社拝殿(文化庁)
- https://kunishitei.bunka.go.jp/heritage/detail/101/00014925
- 国指定文化財等データベース 宇倍神社透塀(文化庁)
- https://kunishitei.bunka.go.jp/heritage/detail/101/00014926
- 国指定文化財等データベース 宇倍神社神門(文化庁)
- https://kunishitei.bunka.go.jp/heritage/detail/101/00014927
- 宇倍神社について(宇倍神社公式サイト)
- https://www.ubejinja.or.jp/new-about/
- 境内マップ(宇倍神社公式サイト)
- https://www.ubejinja.or.jp/new-sampai/map/
- ご参拝の案内(宇倍神社公式サイト)
- https://www.ubejinja.or.jp/new-sampai/
- 交通アクセス(宇倍神社公式サイト)
- https://www.ubejinja.or.jp/new-access/
- よくある質問(宇倍神社公式サイト)
- https://www.ubejinja.or.jp/new-faq/
- 宇倍神社(鳥取県神社庁)
- https://tottori-jinjacho.jp/pages/469/
- 宇倍神社(鳥取市観光サイト)
- https://www.torican.jp/spot/detail_1031.html
- 宇倍神社(鳥取県観光連盟)
- https://www.tottori-guide.jp/tourism/tour/view/12
最終更新日: 2026.09.27
基本情報
| 名称 | 宇倍神社 |
|---|---|
| 所在地 | 鳥取県鳥取市国府町宮ノ下651 |
| 所有者 | 宗教法人宇倍神社 |
| 指定 | 登録有形文化財 4件 |
| 座標 | 35.48089, 134.26884 |