大正9年、庭に向けて開いた木造の主屋

がんこ六三園の主屋は、棟札によって大正9年(1920年)の上棟が確かめられている。木造平屋一部2階建で、屋根は瓦葺、一部に銅板葺を交える。建築面積は約357平方メートル。和歌山市堀止の約6600平方メートルの敷地の中央に置かれ、橋本出身の相場師で「北浜の今太閤」と称された松井伊助(1865〜1931)の別邸として建てられた。

平面は三つの棟が連なる構成である。式台玄関を持つ玄関棟、その南に座敷棟、西奥に二階棟が接続する。建物は東を正面とし、南面を大きく開く。庭園はその南側に広がり、南面を中心に縁を廻らせ、窓を広くとるため、主要な座敷の多くが池や植栽を眺めの一部として取り込んでいる。

登録の理由と価値

平成24年(2012年)、主屋は国の登録有形文化財となった。敷地内の建造物10件が同じ日に一括して登録されており、主屋はその中心である。登録基準は「国土の歴史的景観に寄与しているもの」。評価の要点は、規模の大きな住宅をひとつの落ち着いた意匠でまとめ、当初の形式をよく残している点にある。装飾を多用せず、寸法・木材・庭の眺めの切り取りで空間を成り立たせている。

室内の見どころ

見どころは玄関から始まる。頭上には屋久島産の屋久杉を用いた舟底天井が架かり、足元には地元の青石による大きな靴脱ぎ石が据えられる。奥には和風から離れた一室がある。大理石の暖炉、銅製の鏡、布張りの壁を備えた和洋折衷の応接間である。座敷にはそれぞれ加太、勝浦など和歌山の地名が付けられている。

廊下を歩くと、外回りの建具に残る手漉きガラスが、晴れた日には床の上に淡く揺れる光を落とす。南側の二間続きの座敷はこの屋敷で最も格が高いとされる。主屋は現在料亭として営業しているため、これらの部屋は柵の外からではなく、食事の席として内側から見ることになる。

よくある質問

Q主屋はいつ建てられましたか。
A棟札により大正9年(1920年)の上棟が確認されています。平成24年(2012年)に国の登録有形文化財となりました。
Q中に入れますか。
A入れます。主屋は料亭として営業しており、主要な座敷が食事の席として使われています。予約をおすすめします。営業時間は運営者の公式サイトでご確認ください。
Q舟底天井は何でできていますか。
A玄関の舟底天井には屋久島産の屋久杉が用いられています。手の込んだ材選びで、屋敷への気の配りようがうかがえます。
Q松井伊助とはどんな人物ですか。
A1865年に橋本で生まれ、大阪の相場で名を成した人物です。この別邸を造営し、1931年に没しました。
Q行き方を教えてください。
A和歌山市堀止西1-3-22にあります。和歌山駅から和歌浦方面行きの和歌山バスで堀止下車、徒歩約3分です。

基本情報

名称旧松井家別邸(がんこ六三園)主屋
所在地和歌山県和歌山市堀止西1-3-22
指定区分登録有形文化財(登録番号 30-0160)
登録年月日平成24年(2012年)8月13日
年代大正9年(1920年)
構造木造平屋一部2階建、瓦葺一部銅板葺、建築面積約357平方メートル
員数1棟
公開状況料亭「がんこ六三園」として営業。座敷は食事利用で見学可。要予約、最新情報は公式サイトで確認

参考文献

国指定文化財等データベース(文化庁)
https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00009359
わかやまの文化財「旧松井家別邸(がんこ六三園)」
https://wakayama-bunkazai.jp/bunkazai/bunkazai_558/
六三園(ウィキペディア)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%85%AD%E4%B8%89%E5%9C%92

最終更新日: 2026.06.25