数寄屋の手法で造られた庭の便所
茶室の南東に、敷地で登録された建造物のうち最も小さい便所が建つ。建築面積は約7.6平方メートル。桁行2.6メートル、梁間2.8メートル、屋根は切妻造の桟瓦葺で、軒先を檜皮葺とする。北妻の出入口には杉皮葺の小さな庇を付ける。年代は大正後期、1919年から1926年の間。
実用本位の建物にしては、仕上げが丁寧である。外壁は黄大津、腰はモルタル仕上げとし、各面には下地窓を、しかもそれぞれ異なる形に開ける。これは数寄屋の手法、すなわち茶室の洗練された造りを便所に適用したもので、隠すものではなく庭の意図された一部として読み取れるようにしている。
登録の理由
便所は平成24年(2012年)、敷地内の他の建造物とともに国の登録有形文化財となった。基準は歴史的景観への寄与である。その価値は、ここに示された姿勢にある。庭の最も実用的な建物にまで、通常は茶室に向けられる注意が払われている。茶室の近くに置かれ、庭を一つの設計された空間として構成するのに役立っている。
見どころ
見どころは細部にある。各面の下地窓を見比べると、二つとして同じ形のものはない。北の戸口の杉皮葺の庇や、軒先の檜皮葺の縁取りにも注目したい。覆いとしてだけでなく、質感のために選ばれた材である。その大きさに対して、これは敷地で最も手の込んだ建物の一つで、どれほどの工夫が込められているかに気づかぬまま通り過ぎてしまいやすい。
よくある質問
- 便所が登録される点の何が特別なのですか。
- 数寄屋、すなわち洗練された茶室の手法で造られているからです。丁寧に形を変えた下地窓や樹皮葺の軒先など、実用本位の建物には珍しい配慮がなされています。
- どのくらい小さいのですか。
- 約7.6平方メートルで、ここで扱う敷地内9件の登録建造物のうち最も小さい建物です。
- 下地窓とは何ですか。
- 土壁に開けた小さな格子状の窓です。ここでは各面ごとに異なる形で開けられています。
- いつ建てられましたか。
- 大正後期、1919年から1926年の間です。平成24年(2012年)に登録有形文化財となりました。
- どこにありますか。
- 庭園内、茶室の南東です。敷地を歩きながら見るのに向いています。
基本情報
| 名称 | 旧松井家別邸(がんこ六三園)便所 |
|---|---|
| 所在地 | 和歌山県和歌山市堀止西1-3-22 |
| 指定区分 | 登録有形文化財(登録番号 30-0167) |
| 登録年月日 | 平成24年(2012年)8月13日 |
| 年代 | 大正後期(1919〜1926年) |
| 構造 | 木造平屋建、桟瓦葺一部檜皮葺、建築面積約7.6平方メートル |
| 員数 | 1棟 |
| 公開状況 | がんこ六三園の庭園内、茶室南東で見学可。要予約、最新情報は公式サイトで確認 |
参考文献
- 国指定文化財等データベース(文化庁)
- https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00009366
- わかやまの文化財「旧松井家別邸(がんこ六三園)」
- https://wakayama-bunkazai.jp/bunkazai/bunkazai_558/
- 六三園(ウィキペディア)
- https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%85%AD%E4%B8%89%E5%9C%92
最終更新日: 2026.06.25