慶長2年創業、上杉家御用の造り酒屋

小嶋総本店は、山形県米沢市本町2丁目にある慶長2年(1597年)創業の造り酒屋で、敷地に建つ店舗兼主屋や5棟の蔵など12件の建造物が令和6年(2024年)3月6日に国の登録有形文化財となった。日本酒「東光」の醸造元である。

会社の沿革によれば、初代小嶋彌左衛門がこの地で小嶋酒屋を開いたとき、米沢はまだ蒲生家の領地で、店は酒造と質を兼ねていた。江戸時代に米沢が上杉家の城下町になると、小嶋酒屋は上杉家の御用酒屋を務める。飢饉で禁酒令が出た年にも酒造りを許された、数少ない蔵の一つだったとされる。

宝暦7年(1757年)、当主の彌左衛門は藩や町への功労によって町年寄に就き、苗字帯刀を許される士分に取り立てられた。寛政3年(1791年)の記録では酒造石数が490石あり、近隣の南組・北組あわせて10蔵のうち最も多い。当時の東町の水帳にも彌左衛門の名が見え、いまと同じ場所で商っていたことが確かめられるという。東町は参勤交代の行列が通る道筋だった。

昭和27年(1952年)に個人経営から株式会社小嶋総本店となった。「総本店」の名は、米沢で「小嶋」「小島」を名乗る酒類業者の多くが親類だったことから、本家の意味を込めて付けたと伝わる。銘柄の「東光」は、米沢城の東、朝日の昇る方角にある蔵の酒という意味を持つ。当主は代々彌左衛門の名を襲い、現在の蔵元は第24代にあたる。

12件の建物と屋敷の配置

令和5年(2023年)11月24日の文化審議会答申を経て登録された12件は、登録番号06-0210から06-0221まで連番で並ぶ。店舗兼主屋、一号蔵から五号蔵、作業場、倉庫、土蔵、三日月稲生社本殿、門及び板塀、北板塀である。三日月稲生社本殿の1件が「造形の規範となっているもの」、残る11件が「国土の歴史的景観に寄与しているもの」の基準による登録になる。

答申の解説は、小嶋総本店を「米沢旧城下の南東口に位置する造り酒屋」と位置づける。主屋は敷地の北東隅で通りに面して建ち、その南に醸造と商品出荷のための一号蔵から五号蔵、作業場、倉庫が三列に配される。主屋の西には文庫蔵である土蔵と、屋敷神をまつる三日月稲生社本殿がある。主屋の東の前庭は門と板塀で閉じられ、北庭は北板塀が囲む。

建築年代には半世紀を超える幅がある。最も古いのは江戸末期の三号蔵で、明治前期の一号蔵と土蔵、明治中期の四号蔵、明治後期の二号蔵が続く。店舗兼主屋と門及び板塀、北板塀は大正8年(1919年)の米沢大火の直後に建てられた。作業場と倉庫は大正後期、五号蔵は大正11年(1922年)、三日月稲生社本殿は昭和4年(1929年)の建築で、土蔵と三日月稲生社本殿は昭和49年(1974年)に今の位置へ移されている。

蔵を並べて見ると、つくりの違いが分かる。外壁はどれも白い漆喰塗だが、一号蔵・二号蔵・土蔵は腰に赤瓦の海鼠壁を張る。小屋組は、三号蔵と一号蔵が合掌の中ほどを束で受ける形、四号蔵・二号蔵・五号蔵と作業場・倉庫がキングポストトラスである。答申は、これらが主屋と同時期の門や板塀とともに一体となり、米沢旧城下の歴史的な景観をつくっている点を評価している。

敷地の外から見る順序

小嶋総本店の建物は、敷地の外周の道から眺めることになる。起点は北東隅の店舗兼主屋がよい。間口の長い主屋の正面と、その脇で前庭を閉ざす門と板塀、北へ回れば高さ2.2メートルの北板塀が、大正8年の建築からそろって残る。北の道を西へ進むと、敷地北辺の中央に文庫蔵の土蔵が建ち、白壁と赤瓦の海鼠壁の腰を道に向けている。

そこから東の通りを南へ歩くと、主屋に接続する一号蔵、通路をはさんで二号蔵、南端の倉庫と、白壁の蔵が一列に続く。一号蔵と二号蔵の腰の赤い海鼠壁は、通りに沿って揃えられた意匠である。南の道路に出ると、窓を開いた五号蔵の妻面が見える。

三号蔵・四号蔵・作業場と三日月稲生社本殿は敷地の内側にあり、通りからは屋根や壁の一部がうかがえる程度である。これらをまとまって見られるのは、後述する年1回の特別公開の機会に限られる。

見学とアクセス

本町の小嶋総本店は、いまも酒造りを続ける醸造場であり、会社の事務所でもある。敷地と建物は通常公開されておらず、会社は酒蔵見学や買い物を望む一般の来訪者に、酒造資料館「東光の酒蔵」へ来るよう案内している。本町の事務所は企業間の取引や商談の窓口で、営業時間は午前9時から午後5時まで。

本町の酒蔵に入れるのは、米沢のものづくりの現場を公開する年1回の催し「360°よねざわオープンファクトリー」のときである。2026年は9月11日と12日に、各日午前10時・午前11時・午後1時30分の3回、定員各回10名、所要約40分、参加無料の事前予約制で行われた。翌年以降の日程は会社のお知らせで確認したい。

酒造資料館「東光の酒蔵」は米沢市大町2丁目3-22(柳町上通り)にあり、本町から歩いて数分の距離にある。昭和59年(1984年)に、前年まで酒造りをしていた蔵を改修して開いた施設で、12件の登録には含まれていない。開館は午前9時から午後4時30分まで、休館は12月31日から1月2日と、1月から3月の毎週火曜日。入館料は一般350円、中学・高校生250円、小学生150円で、20名以上の団体はそれぞれ50円引きになる。館内では日本語・英語・繁体字中国語の音声ガイドが使える。

米沢駅(山形新幹線)から本町・大町一帯までは車で約6分。駅からは米沢市の循環バスが出ており、東光の酒蔵へは右回り路線で「米沢駅前」から約10分の「大町一丁目」で降りると徒歩1分である。駅から歩けば25分ほど。米坂線の南米沢駅からは車で約5分。資料館には大型バス5台、乗用車30台の駐車場があり、上杉神社からは徒歩約8分で着く。

2024年2月からは、夜間に店舗や土蔵を照らすライトアップが始まったと地元で伝えられた。当初は日没から午後10時までの点灯とされていたが、現在の実施状況は訪問前に確かめたい。建物の撮影は、敷地に立ち入らず公道から外観を写す形になる。

参考文献

国指定文化財等データベース(文化庁)— 小嶋総本店店舗兼主屋
https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00014716
国指定文化財等データベース(文化庁)— 小嶋総本店三号蔵
https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00014719
国指定文化財等データベース(文化庁)— 小嶋総本店三日月稲生社本殿
https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00014725
文化庁 報道発表 — 文化審議会の答申(登録有形文化財(建造物)の登録)令和5年11月24日
https://www.bunka.go.jp/koho_hodo_oshirase/hodohappyo/93969901.html
文化庁 — 答申物件一覧(令和5年11月24日)
https://www.bunka.go.jp/koho_hodo_oshirase/hodohappyo/pdf/93969901_03.pdf
東光 小嶋総本店 — 東光について(沿革)
https://www.sake-toko.co.jp/about/
東光 小嶋総本店 — アクセスマップ
https://www.sake-toko.co.jp/access/
東光 小嶋総本店 — 酒造資料館 東光の酒蔵
https://www.sake-toko.co.jp/sakagura/
東光 小嶋総本店 — 弊社店舗兼主屋など12件、文化財へ(2023年11月29日)
https://www.sake-toko.co.jp/news/2586/
東光 小嶋総本店 — 「360°よねざわオープンファクトリー」開催のお知らせ
https://www.sake-toko.co.jp/news/4592/
米沢興譲館同窓会 — 土蔵を包む柔らかな光・小嶋総本店・ライトアップ
https://yonezawakojokan.info/2024/02/24/h11kojima-11/

最終更新日: 2026.09.25

基本情報

名称小嶋総本店
所在地山形県米沢市本町二丁目752他
所有者株式会社小嶋総本店
指定登録有形文化財 12件
座標37.90117, 140.11078