旧福元家住宅とは

旧福元家住宅は、山口県大島郡周防大島町西屋代にある大正15年(1926年)頃の近代和風の屋敷で、主屋・土蔵・井戸及び給水塔・石塀及び煉瓦塀の4件が令和4年(2022年)2月17日に登録有形文化財に登録された。

建て主は福元長右衛門。アメリカへ渡り、貿易商として財を成してから郷里の屋代地区へ戻った人物である。日本ハワイ移民資料館の解説によれば、明治14年(1881年)に屋代村で生まれ、16歳で単身渡米し、大正13年(1924年)に帰郷した。山口県の文化財解説は渡航先をサンフランシスコとしている。建設費は当時の金額で約3万円かかったと伝わる。

周防大島町の資料館紹介ページでは「福元長右衛門邸」とも呼ばれる。町の文化財一覧や資料館の案内には「旧福本家住宅」「旧福本邸」「福本長右衛門」と書かれた箇所もあるが、文化庁の登録名称は「福元」であり、本サイトもこちらに合わせる。

移民資料館になった屋敷

旧福元家住宅は平成10年(1998年)に改修され、翌平成11年(1999年)2月8日に日本ハワイ移民資料館として開館した。所有者は周防大島町で、運営は指定管理者の大島国際交流協会が担う。

資料館が開かれた背景には島の移民史がある。明治18年(1885年)から明治27年(1894年)までの官約移民の時代に、周防大島からは3,913人がハワイへ渡った。資料館によれば、これは全国から送り出された約29,000人の13.5%ほどにあたる。展示品の多くはハワイから帰った町民やその家族が寄せたもので、渡航記録を検索できるコーナーもある。

海を渡った人の暮らしを伝える資料が、同じくアメリカ帰りの人が建てた家の座敷に並ぶ。建物と展示が同じ話をしている点が、旧福元家住宅を訪ねる理由のひとつになっている。

建築年についての注記

旧福元家住宅の建築年は資料によって違う。文化庁の国指定文化財等データベースは主屋と土蔵を大正15年(1926年)、井戸及び給水塔と石塀及び煉瓦塀を大正15年頃とし、本サイトはこれに従っている。

一方、日本ハワイ移民資料館と周防大島観光協会の案内は、帰国を大正13年(1924年)、建設を昭和3年(1928年)と記す。山口県の文化財解説には「大正15年(1923)」という和暦と西暦の合わない表記も見られる。現地の解説板や展示で異なる年を目にしても、登録の根拠は文化庁の記載である。

屋敷の配置と見て回る順序

旧福元家住宅の敷地は、中心に主屋が建ち、そのまわりに3件の登録物件が寄り添う形になっている。

主屋は二階建の南北棟を芯にして中庭を囲み、角座敷を延ばした平面で、玄関は南側に開く。土蔵は主屋の北側に接続し、集落を見下ろす北面に窓を並べる。井戸及び給水塔は主屋の南東に立つ。石塀及び煉瓦塀は延長45mで、敷地の外まわりを囲み、表側を石塀、裏手を煉瓦塀とする。

見て回るなら、南の玄関から入館して主屋の内部を見学し、出てから南東の給水塔へ寄り、最後に敷地の外まわりを歩いて塀と土蔵の北面を確かめる順が無理がない。敷地の北辺には石段があり、土蔵の戸口のひとつはこの石段の側に開いている。

登録された4件

旧福元家住宅の4件は同じ日に登録され、登録番号は35-0108から35-0111まで連続している。登録基準は主屋だけが「造形の規範となっているもの」で、ほかの3件は「国土の歴史的景観に寄与しているもの」である。

  • 主屋(35-0108):木造2階建、瓦葺、建築面積294㎡。和風の住まいに、アメリカから持ち帰った台所設備や水道を組み込んだ
  • 土蔵(35-0109):土蔵造2階建、瓦葺、建築面積23㎡。主屋の北に接続する道具蔵
  • 井戸及び給水塔(35-0111):煉瓦造、高さ2.8m。屋敷内の水道の水源
  • 石塀及び煉瓦塀(35-0110):石造及び煉瓦造、延長45m、門柱付

開館時間・入館料・アクセス

旧福元家住宅の内部は、日本ハワイ移民資料館の開館日に見学できる。開館時間は午前9時30分から午後4時30分までで、受付は午後4時に締め切られる。休館日は月曜日(祝日の場合は翌日)と12月29日から1月3日まで。入館料は大人400円、小・中学生200円で、20名以上の団体は大人320円、小人160円になる。

館内での写真撮影は禁止されている。報道目的の撮影は事前の問い合わせが必要とされる。車いすでの見学は可能で、あらかじめ連絡すれば駐車する場所を案内してもらえる。

公共交通機関の場合、最寄りはJR大畠駅である。駅の②のりばから防長バスの橘医院行きに乗り、大島庁舎前で降りて徒歩約15分。駅から乗合タクシーの奥畑線を使うと、約18分で屋代橋バス停に着き、そこから徒歩3分ほどで旧福元家住宅に着く。乗合タクシーは予約制で、問い合わせ先は周防大島町の地域交通課。一般のタクシーなら駅から約10分、距離にして7kmほどである。

車の場合は、大島大橋の南詰から県道4号を屋代ダム方面へ進んで約10分、山陽自動車道の玖珂インターチェンジからは国道437号経由で約25分。駐車場は2か所あり、川沿いの1か所はマイクロバス専用となっている。

参考文献

国指定文化財等データベース(文化庁)旧福元家住宅主屋
https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00014206
国指定文化財等データベース(文化庁)旧福元家住宅土蔵
https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00014207
国指定文化財等データベース(文化庁)旧福元家住宅石塀及び煉瓦塀
https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00014208
国指定文化財等データベース(文化庁)旧福元家住宅井戸及び給水塔
https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00014209
文化遺産オンライン 旧福元家住宅主屋
https://online.bunka.go.jp/heritages/detail/584066
山口県の文化財 旧福元家住宅主屋
https://bunkazai.pref.yamaguchi.lg.jp/sp/bunkazai/summary.asp?mid=110224
周防大島町 日本ハワイ移民資料館
https://www.town.suo-oshima.lg.jp/soshiki/27/1740.html
周防大島町 町内の文化財
https://www.town.suo-oshima.lg.jp/soshiki/27/2023.html
日本ハワイ移民資料館 資料館について
https://suooshima-hawaii-imin.com/ja/about/
日本ハワイ移民資料館 利用案内
https://suooshima-hawaii-imin.com/ja/userguide/
日本ハワイ移民資料館 よくある質問
https://suooshima-hawaii-imin.com/ja/faq/
周防大島観光協会 日本ハワイ移民資料館
https://suo-oshima-kanko.net/spot/nihon-hawaii-imin

最終更新日: 2026.09.24

基本情報

名称旧福元家住宅
所在地山口県大島郡周防大島町大字西屋代字下里2144
所有者大島郡周防大島町
指定登録有形文化財 4件
座標33.92143, 132.20033