杉浦家住宅旧医院とは

杉浦家住宅旧医院(すぎうらけじゅうたくきゅういいん)は、山梨県中巨摩郡昭和町西条新田にある昭和4年(1929年)建築の医院で、平成24年(2012年)8月13日に登録有形文化財となった。地方病と呼ばれた日本住血吸虫症の診療と研究を、杉浦健造・三郎の父子が続けた建物である。

敷地の東側に建ち、西の主屋とは廊下でつながる。木造で一部が2階建て、建築面積は145平方メートル。文化庁の解説は、内部に調剤室などを配した「医院建築」と位置づけている。

年代について補足しておく。文化庁のデータベースは昭和4年としているが、町の公式サイトは医院の棟を「大正から昭和にかけて建てられた」と紹介している。本記事の年代は文化庁のデータベースに従った。

登録の理由と価値

杉浦家住宅旧医院の登録基準は「国土の歴史的景観に寄与しているもの」である。甲府盆地の農村に建つ屋敷のなかで、この棟だけが外壁を赤みのある漆喰で仕上げ、縦に長い窓を連ねている。明治中期の瓦屋根の主屋や蔵と並んだとき、昭和初めの医院だとひと目で分かる外観そのものが、景観への寄与として評価された。

もう1つの価値は、建物が医院として使われた姿のまま残っていることにある。町が平成22年(2010年)に土地と建物を買い取った際、杉浦家は医療器具や薬瓶を含む収蔵品をすべて寄贈した。受付・診察室・調剤室が当時の配置で見られるため、杉浦家住宅旧医院は建築であると同時に、地方病との闘いを示す一次資料にもなっている。

見どころ

赤みを帯びた漆喰と縦長の窓

まず外壁の色を見たい。漆喰は白ではなく、わずかに赤みを帯びている。腰まわりはモルタルを刷毛で引いて粗く仕上げ、その上に縦長の窓が等間隔で続く。和風の入母屋屋根を載せながら、壁と窓は洋風の医院の文法でまとめられている。

2つの入母屋を組み合わせた構成

杉浦家住宅旧医院は、東西に棟を通した2階建ての入母屋造と、南北に棟を通した平屋の入母屋造を組み合わせてできている。南側には入母屋造の玄関が張り出す。庭の南側から見ると、高さの違う2つの屋根と玄関の屋根が重なり、瓦屋根の段差がよく分かる。

玄関の英字看板と表札

玄関の左右には、「Dr. Sugiura's Office Physician」と書かれた英字の看板と、「杉浦醫院」の表札が掛かっている。どちらも医院が開いていたころのものとされる。漢字の表札と英語の看板が玄関の左右で向き合う構えは、立ち止まって見比べておきたい。

診察室と調剤室

内部では、患者が治療を受けた診察室と、薬瓶が棚に並ぶ調剤室が見どころになる。調剤室には、日本住血吸虫症の治療薬として使われたスチブナールも残る。診察室にはグランドピアノが置かれており、館の説明では昭和8年(1933年)に皇太子の誕生を祝って作られた国産の限定品の1台とされる。

見学方法

杉浦家住宅旧医院は、5件のなかで内部をじっくり見られる中心の棟である。受付から診察室・調剤室までを順に歩くことができ、職員によるガイド付き見学会(事前申込制)も主にこの棟を案内する。

2階の座学スペースでは、地方病に関する記録映像を見られる。館の紹介映像「ようこそ杉浦醫院」は約16分で、杉浦父子の業績と感染の経路を短くまとめている。館内を見たあとに見ると、診察室や調剤室の意味がつかみやすい。

外観は玄関の張り出す南側から眺めるのがよく、英字看板もこの位置で読める。内部の撮影について公式の案内は見当たらなかったため、受付で確認してほしい(2026年9月27日確認)。

Q&A

Q杉浦家住宅旧医院はいつ建てられましたか。
A文化庁のデータベースでは昭和4年(1929年)の建築です。町の公式サイトは「大正から昭和にかけて建てられた」と紹介しています。
Q杉浦家住宅旧医院の内部は見学できますか。
A見学できます。昭和町風土伝承館杉浦醫院の中心の展示棟で、受付・診察室・調剤室を見られます。事前に申し込めばガイド付きで案内を受けられます。
Q杉浦家住宅旧医院の外観の特徴は何ですか。
A赤みを帯びた漆喰の外壁に、モルタル刷毛引きの腰と縦長の窓を連ねています。屋根は2階建てと平屋の入母屋造を組み合わせ、南に入母屋造の玄関が張り出します。
Q杉浦家住宅旧医院ではどんな医療が行われていましたか。
A杉浦健造・三郎の父子が、山梨県で地方病と呼ばれた日本住血吸虫症の治療と研究を続けました。調剤室には治療薬スチブナールが残っています。
Q杉浦家住宅旧医院の玄関にある英語の看板には何と書かれていますか。
A「Dr. Sugiura's Office Physician」と書かれています。反対側には「杉浦醫院」の表札が掛かっています。

基本データ

名称杉浦家住宅旧医院(すぎうらけじゅうたくきゅういいん)
所在地山梨県中巨摩郡昭和町西条新田字村北850
指定区分登録有形文化財(建造物) 登録番号 19-0069
指定年平成24年(2012年)8月13日登録
員数1棟
寸法木造平屋一部2階建、瓦葺、建築面積145平方メートル
所有者昭和町
公開状況公開(内部見学可。ガイド付き見学は事前申込制)

参考文献

国指定文化財等データベース 杉浦家住宅旧医院(文化庁)
https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00009271
文化遺産オンライン 杉浦家住宅旧医院
https://online.bunka.go.jp/heritages/detail/205954
昭和町風土伝承館杉浦醫院について(公式サイト)
https://www.sugiura-iin.com/sugiura_iin.html
利用案内(昭和町風土伝承館杉浦醫院)
https://www.sugiura-iin.com/guide.html
映像資料のご案内(昭和町風土伝承館杉浦醫院)
https://www.sugiura-iin.com/dvd.html
「昭和町 風土伝承館 杉浦醫院」地方病の研究と治療に生涯をかけた医師 杉浦健造、三郎父子(富士の国やまなし観光ネット)
https://www.yamanashi-kankou.jp/special/lg/sugiuraiin.html

最終更新日: 2026.09.26