境内の中央に南面する楼門
普門寺の境内中央、本坊の前に南を向いて建つのが鐘楼門である。宝永4年(1707年)の建立で、上層に鐘を吊る一間一戸の楼門。鐘撞堂を別に設けず、楼門の内部に鐘を収める形式は東三河では珍しく、豊橋市内でも最古の鐘楼門とされる。
建築面積は15平方メートルほどと小さいが、軒の出が大きく、境内の主要な構えをつくっている。参道の下手から上方の堂宇へと視線を導く要の位置にある。
出組と二軒繁垂木の上層
上層は桁行3間・梁間3間、入母屋造で銅板葺。組物は出組とし、絵様肘木を用いる。軒は二軒繁垂木で、深い軒の出が雄大な姿を生む。
内部は一室の板敷で竿縁天井を張り、中央に鐘を吊る。木造2階建の楼門としては簡潔な構成だが、軒まわりの見せ方に造形の工夫があり、その大きな軒の出が門全体の格を決めている。
造形の規範として登録された鐘楼門
令和7年(2025年)8月6日、普門寺の建造物6件が国の登録有形文化財となった。鐘楼門はそのうちの一棟で、「造形の規範となっているもの」として登録された。鐘を楼門内に収める形式が地域に例が少ない点が、まず評価の対象となっている。
境内の中軸に据えられ、下手の参道と上方の堂宇をつなぐ位置にある点も認められた。宝永4年の建立は、奈良時代の開山と伝わる古刹のなかでも古い遺構にあたる。
昼に撞くおおみそかの鐘
鐘は今も撞かれている。境内は山あいにあって街灯がないため、参拝者の安全に配慮して、普門寺は平成28年(2016年)から除夜の鐘を昼間に移した。12月31日の日中、親子連れが上って鐘を撞く。
令和7年には「もみじテラス」が設けられ、青もみじや紅葉に縁取られた鐘楼門を新たな視点から望めるようになった。もみじ祭りの期間には鐘楼門から本堂までが有料拝観エリアとなる。それ以外の時期も、境内は8時から16時まで開かれている。
Q&A
- 鐘楼門とはどのような建物か。
- 上層に鐘を吊り、門と鐘楼を兼ねた楼門を指す。鐘撞堂を別に設けず楼門内に鐘を収める形式は東三河では珍しい。
- いつ建てられたか。
- 宝永4年(1707年)の建立で、江戸時代にあたる。昭和28年と平成11年に改修されている。
- 鐘は今も撞かれるのか。
- 撞かれる。街灯のない山あいの境内で参拝者の安全に配慮し、平成28年から除夜の鐘を12月31日の昼間に行っている。
- 門まで近づけるか。
- 鐘楼門は境内の中央にあり、本堂へ向かう途中で通る。もみじ祭りの期間は鐘楼門から上が有料拝観エリアとなる。
- 屋根の銅板について教えてほしい。
- 上層は銅板葺で、年を経ると柔らかな緑青色に変わる。20世紀の改修で屋根が葺き替えられ、宝永4年の木部の骨格は保たれている。
基本情報
| 名称 | 普門寺鐘楼門(ふもんじしょうろうもん) |
|---|---|
| 所在地 | 愛知県豊橋市雲谷町字ナベ山下7 |
| 指定区分 | 登録有形文化財(建造物) |
| 登録年月日 | 令和7年(2025年)8月6日/登録番号 23-0614 |
| 登録基準 | 造形の規範となっているもの |
| 年代 | 宝永4年(1707年)/昭和28年・平成11年改修 |
| 構造 | 木造2階建、銅板葺、建築面積15平方メートル |
| 所有者 | 宗教法人普門寺 |
| 公開状況 | 境内は8:00〜16:00に開門。もみじ祭り期間は鐘楼門〜本堂が有料拝観エリア |
参考文献
- 国指定文化財等データベース ― 普門寺鐘楼門(文化庁)
- https://kunishitei.bunka.go.jp/heritage/detail/101/00015462
- 普門寺 公式サイト ― 参拝案内
- https://fumonji727.com/sanpai.php
- 日本建築家協会 東海支部 ― 保存情報「普門寺本堂ほか6件」
- https://jia-tokai.org/保存研究会-保存情報「普門寺本堂ほか6件」(登/
- 豊橋観光コンベンション協会 ― 普門寺
- https://www.honokuni.or.jp/toyohashi/spot/000046.html
最終更新日: 2026.07.10