明治村聖ザビエル天主堂とは

明治村聖ザビエル天主堂は、愛知県犬山市の博物館明治村にある明治23年(1890年)建築のカトリック教会堂で、平成16年(2004年)2月17日に登録有形文化財(建造物)として登録された。

旧所在地は京都市中京区の河原町三条。16世紀に来日した宣教師フランシスコ・ザビエルの来京を記念して献堂された聖堂である。近代の京都におけるカトリックの布教は、明治12年(1879年)にパリ外国宣教会のヴィリオン神父が入洛したことに始まるとされる。建設資金はフランスの篤志家から募った寄付でまかない、河原町三条にあった旧大名の蔵屋敷を購入して敷地とした。

設計は、東京にいた宣教師パピノ神父が担った。図面はフランスから取り寄せたとも伝わる。施工は、信者で大阪の大工棟梁だった横田彦左衛門が手がけたと伝えられている。西洋の設計者と日本の棟梁が組んだ結果、ヨーロッパのゴシック聖堂の骨格が、日本の木工技術で立ち上がることになった。

昭和42年(1967年)に解体され、昭和48年(1973年)に村内5丁目51番地へ移築された。建築面積は575平方メートル。文化庁の記録は現況の構造を鉄筋コンクリート造平屋建、瓦葺とする一方、解説では「もと外周壁を煉瓦造とする木造会堂」と記している。明治村の解説も、小屋組と身廊の側壁は木造だが、そのほかの壁はもとは煉瓦造だったとしており、移築の過程で外周壁の構法が変わったことがうかがえる。

登録有形文化財としての価値

明治村聖ザビエル天主堂の登録基準は「造形の規範となっているもの」で、登録番号は23-0104、員数は1棟である。

評価の中心はゴシック様式の再現度にある。平面は身廊と両側の側廊からなる三廊式。身廊の壁面は下から大アーケード、トリフォリウム、丸窓を並べたクリアストーリーの3層で構成される。この三層構成は中世ヨーロッパの大聖堂が確立した形式で、明治の日本でここまで忠実に組んだ例は多くない。

ただし、材料はヨーロッパとまったく違う。石を積む代わりに木を使い、束ね柱もヴォールトのリブもケヤキで刻んでいる。天井は交差リブ・ヴォールトで、4本の柱で囲まれた一区画をリブが四分割する四分ヴォールトとする。石造建築の力学をそのまま木に置き換えたのではなく、木で石造の見えかたを組み立て直した仕事である。

外まわりも様式に沿う。外壁にはバットレスを付け、正面に薔薇窓、開口部は尖頭アーチ、頂部には小尖塔を置く。外壁の白漆喰には目地が刻まれ、石積みに見えるよう仕上げられている。京都に建てられた当時、この白い聖堂が街並みのなかでどう見えたかは想像に難くない。

見どころ

明治村聖ザビエル天主堂は内部に入れる。外観と内部で見るものがはっきり分かれるので、両方に時間を取りたい。

正面の薔薇窓

入口の上に据えられた薔薇窓は直径が3.6メートルを超える。近づくと想像より大きい。切妻の頂点には十字架が掲げられている。外から見るときは逆光になりやすいので、堂内に入って内側から見上げると色がよく出る。

ステンドグラスの作り

薔薇窓と、内陣や側廊のステンドグラスは、色ガラスに白いペンキで草花の模様を描いている。ガラスを組み合わせて絵にする本来の技法とは違う方法である。しかも外側にもう一枚透明ガラスを入れた二重構造になっており、内側の彩色ガラスを守っている。

ケヤキの束ね柱とヴォールト

堂内を歩くと、柱が細い材を束ねた形をしていることに気づく。石造のゴシックでは何本もの円柱を寄せて彫り出す部分だが、ここではケヤキを刻んで同じ効果を出している。見上げれば、リブが天井を四つに割りながら次の区画へ連なっていく。漆喰を塗った白い内壁と、飴色のケヤキの対比がこの空間の性格を決めている。

内陣に並ぶ7体の聖像

祭壇の奥には7体の聖像が置かれている。右から順に、最初の殉教者とされる聖ステファノ、十二使徒の筆頭である聖ペテロ、聖母マリアの配偶者である聖ヨセフ、堂の名の由来である聖フランシスコ・ザビエル、大天使ミカエル、キリストに洗礼を授けた洗礼者聖ヨハネ、フランシスコ会を創設したアッシジの聖フランチェスコが並ぶ。

見学方法とアクセス

明治村聖ザビエル天主堂の見学には、博物館明治村の入村料が必要になる。大人2,500円、高校生1,500円、中学生と小学生は700円、未就学児は無料。堂内の見学に別料金や予約はない。

内部は開放されており、椅子に腰かけて天井を眺めることもできる。現役の教会ではないため通常のミサは行われていないが、静かに過ごす場所として使われている。見学が制限される箇所や、修理で見られない時期が生じることがある。

開村時間は季節によって変わる。おおむね午前9時30分から午後5時までで、時期により午前10時開村、午後4時閉村となることがある。入村は閉村の30分前まで。休村日が設定される週があるので、公式サイトの開村カレンダーを確かめてから出かけたい。

撮影はできる。ただし建物内での三脚使用は禁じられているため、堂内は手持ちで撮ることになる。窓から入る光が強い時間帯は、露出を絞ると薔薇窓の色が残りやすい。

名鉄犬山駅東口から岐阜バス明治村線で約20分、終点「明治村」下車。車では中央自動車道小牧東インターチェンジから約3キロで、駐車場は普通車1,000円、予約不可の現地精算となる。5丁目は北口に近い区画にあたる。

Q&A

Q明治村聖ザビエル天主堂はどこにありますか?
A愛知県犬山市内山1の博物館明治村内、村内5丁目51番地にあります。名鉄犬山駅東口から岐阜バス明治村線で約20分、終点下車です。
Q明治村聖ザビエル天主堂の内部は見学できますか?
A見学できます。堂内に入って薔薇窓やケヤキの束ね柱、リブ・ヴォールトの天井を間近に見られます。修理や催しにより一部を見られない時期が生じることがあります。
Q明治村聖ザビエル天主堂はもともとどこにあった教会ですか?
A京都市中京区の河原町三条に明治23年(1890年)に献堂されたカトリック教会堂です。昭和42年(1967年)に解体され、昭和48年(1973年)に博物館明治村へ移築されました。
Q明治村聖ザビエル天主堂の見学に料金はかかりますか?開村時間は?
A博物館明治村の入村料が必要です。大人2,500円、高校生1,500円、中学生と小学生は700円。開村時間はおおむね午前9時30分から午後5時までで、時期により午前10時開村、午後4時閉村となる場合があります。
Q明治村聖ザビエル天主堂の写真撮影はできますか?
A撮影できます。ただし建物内での三脚使用は禁じられているため、堂内では手持ちでの撮影となります。

基本データ

名称明治村聖ザビエル天主堂
所在地愛知県犬山市内山1 博物館明治村内(村内5丁目51番地)
指定区分登録有形文化財(建造物)
指定年平成16年(2004年)2月17日 登録
員数1棟
寸法建築面積575平方メートル、薔薇窓の直径3.6メートル
所有者公益財団法人明治村
公開状況公開(博物館明治村の入村料が必要。堂内も見学可)

参考文献

文化庁 国指定文化財等データベース「明治村聖ザビエル天主堂」
https://kunishitei.bunka.go.jp/heritage/detail/101/00003870
文化遺産オンライン「明治村聖ザビエル天主堂」
https://online.bunka.go.jp/heritages/detail/188600
博物館明治村「聖ザビエル天主堂」
https://www.meijimura.com/sight/%E8%81%96%E3%82%B6%E3%83%93%E3%82%A8%E3%83%AB%E5%A4%A9%E4%B8%BB%E5%A0%82/
博物館明治村「各種料金」
https://www.meijimura.com/guide/price/
博物館明治村「開村スケジュール」
https://www.meijimura.com/guide/open/
博物館明治村「アクセス」
https://www.meijimura.com/guide/access/

最終更新日: 2026.09.03