40冊の写本 ― 1954年に重要文化財

続日本紀(金沢文庫本)は、愛知県名古屋市東区徳川町1001の名古屋市蓬左文庫が所蔵する写本で、1954年(昭和29年)3月20日に重要文化財に指定された。員数は40冊、分類は文書・書籍である。

蓬左文庫の記録によれば、時代は鎌倉時代および慶長年間、13・14世紀および1596年から1615年。寸法は縦30センチメートル、横528.8センチメートルから1768.2センチメートル。冊によって長さが3倍以上違う。旧蔵は金沢文庫、伝来は駿河御譲本である。

指定の対象は写本40冊であって、続日本紀という書物そのものではない。本文は延暦16年(797年)に成立したが、この40冊が書写されたのはそれより後である。

巻によって書写の年代が違う

この写本の要点は、40冊が同じ時期に書かれたものではないことにある。

蓬左文庫の解説はこう記す。本書のうち、巻11から巻40は、現存最古の写本で、13世紀後半の写しと推定されている。

40冊のうち30冊が13世紀後半、残りが慶長年間(1596年から1615年)にあたる。時代欄が「鎌倉時代および慶長年間」と二つ並ぶのはこのためである。欠けた巻を後世に補ったものが一具として伝えられている。

寸法の幅(528.8センチメートルから1768.2センチメートル)も、巻ごとの分量の違いを示している。一様な40冊ではない。

続日本紀という書物

蓬左文庫の解説は、書物そのものについても記す。「日本書紀」に続いて延暦16年(797年)に成立した官撰の正史。奈良時代を中心とする約1世紀の編年記録で、この時代の根本史料である。

官撰の正史は、国が編ませた公式の歴史書をいう。編年記録は、出来事を年月日の順に並べる形式である。約1世紀分の出来事が日付順に並ぶ。

「根本史料」という語が評価の中心にある。奈良時代を調べる際に、まずこの書に当たることになる。他の資料はこれを補うか、これと突き合わせて読まれる。

そのなかで巻11から巻40が現存最古の写本であることは、本文の伝わり方を検証する基準になることを意味する。

金沢文庫から尾張へ

蓬左文庫は伝来を二つ記す。金沢文庫旧蔵、駿河御譲本。

金沢文庫は鎌倉時代に武蔵国六浦荘金沢(現在の横浜市金沢区)に設けられた書庫である。巻11から巻40が13世紀後半の写しとされることは、金沢文庫の時代と重なる。

駿河御譲本は、徳川家康が駿府に集めた蔵書のうち、その死後に尾張・紀伊・水戸の三家へ分けられたものをいう。尾張徳川家に渡った分が、現在の蓬左文庫の基礎になっている。

鎌倉の書庫から駿府へ、駿府から尾張へと移り、名古屋に伝わった。書写された地と、現在ある地は離れている。

閲覧

名古屋市蓬左文庫が所蔵する。常設展示とは限らず、展示の有無と時期は文庫の予定による。

開館時間と観覧料は変更されることがあるため、訪問前に蓬左文庫の案内で確認したい。40冊すべてが同時に展示されることは想定しにくい。

続日本紀の本文は活字化されており、読むこと自体は難しくない。本文を読むことと、写本の実物を見ることは別である。

蓬左文庫は徳川園に隣接する。交通は名古屋市営地下鉄名城線の大曽根駅から徒歩約10分である。

Q&A

Q続日本紀(金沢文庫本)はいつ指定されましたか。
A1954年(昭和29年)3月20日に重要文化財に指定されました。員数は40冊、分類は文書・書籍です。名古屋市蓬左文庫が所蔵し、時代は鎌倉時代および慶長年間とされます。
Qなぜ時代が二つ記されているのですか。
A40冊が同じ時期に書かれたものではないためです。蓬左文庫は、巻11から巻40が現存最古の写本で13世紀後半の写しと推定されるとします。残りは慶長年間(1596年から1615年)にあたり、欠けた巻を後世に補ったものが一具として伝えられています。
Q続日本紀とはどのような書物ですか。
A蓬左文庫は「『日本書紀』に続いて延暦16年(797年)に成立した官撰の正史。奈良時代を中心とする約1世紀の編年記録で、この時代の根本史料である」と記します。国が編ませた公式の歴史書で、出来事を年月日の順に並べる形式です。
Qどのような経緯で名古屋にあるのですか。
A蓬左文庫は伝来を「金沢文庫旧蔵」「駿河御譲本」と記します。金沢文庫は鎌倉時代に現在の横浜市金沢区に設けられた書庫です。駿河御譲本は徳川家康が駿府に集めた蔵書のうち、その死後に尾張・紀伊・水戸の三家へ分けられたものをいいます。
Q実物は見られますか。
A名古屋市蓬左文庫が所蔵しますが常設展示とは限らず、展示の有無と時期は文庫の予定によります。40冊すべてが同時に展示されることは想定しにくいでしょう。本文は活字化されており、本文を読むことと写本の実物を見ることは別です。

基本情報

名称続日本紀(金沢文庫本)(しょくにほんぎ かなざわぶんこぼん)
所在地愛知県名古屋市東区徳川町1001 名古屋市蓬左文庫
指定区分重要文化財(文書・書籍)
指定年1954年(昭和29年)3月20日 重要文化財
員数40冊
寸法縦30センチメートル、横528.8センチメートルから1768.2センチメートル。巻11から巻40は現存最古の写本で、13世紀の後半の写しと推定される。金沢文庫旧蔵、駿河御譲本。鎌倉時代および慶長年間
所有者名古屋市蓬左文庫
公開状況常設展示とは限らず、展示の有無と時期は文庫の予定による

参考文献

文化遺産オンライン 続日本紀(名古屋市蓬左文庫)
https://bunka.nii.ac.jp/heritages/detail/56895
名古屋市蓬左文庫 公式サイト
https://housa.city.nagoya.jp/
文化庁 国指定文化財等データベース
https://kunishitei.bunka.go.jp/
文化庁 文化財の紹介
https://www.bunka.go.jp/seisaku/bunkazai/shokai/

最終更新日: 2026.09.04