一対をなす蔵の片われ

横手市増田町の日の丸醸造の敷地奥に、二棟の蔵が並んで建ち、あわせて「夫婦蔵(めおとぐら)」と呼ばれている。東前蔵はそのうちの古いほうである。桁行約22メートルの切妻造・鉄板葺の蔵で、外壁は漆喰塗、妻面は雨除けの板で覆う。元禄2年(1689年)にこの地で創業して以来、酒はこうした蔵に納められてきた。

登録の理由

平成14年(2002年)に登録有形文化財となった東前蔵は、明治初期の小屋組をよく保っている。屋根は豪放な重ね梁式で、太い垂木を棟木から側桁へ掛け渡す。この重厚で直截な構法こそが、この建物を古い時期のものと示すしるしであり、すぐ東に並ぶ大正期の蔵に対しては、より素朴で年長の兄のように見える。

二棟は桁行の規模を同じくしており、それゆえ夫婦蔵と名づけられた。並べて眺めると、明治の手組から、のちの軽やかで理にかなった小屋組への移り変わりがたどれる。

一対を見る

東前蔵は醸造元の酒造建物のひとつで、公開されていない。増田の蔵の内部を見るには、醸造元の内蔵である文庫蔵へ向かうとよい。要予約・有料で公開されている。直売所では「まんさくの花」が並び、旧街道沿いの保存地区には内部を見られる家が数多くある。

Q&A

Qなぜ「夫婦蔵」と呼ばれるのですか。
A東前蔵と隣の東後蔵が桁行の規模を同じくして並んで建つため、二棟あわせて夫婦蔵と称されます。
Q中に入れますか。
Aいいえ。酒造りに使う蔵で、非公開です。見学できるのは文庫蔵です。
Q隣の蔵との見分け方は。
A東前蔵のほうが古く、太い重ね梁で小屋を組みます。大正期の東後蔵は、より軽いトラス組の屋根です。
Qいつの建築ですか。
A明治初期です。登録有形文化財への登録は平成14年(2002年)です。

基本情報

名称日の丸醸造本社東前蔵
所在地秋田県横手市増田町七日町114-2
指定区分登録有形文化財(建造物)
登録年月日2002年(平成14年)2月14日
構造土蔵造平屋一部2階建、鉄板葺、建築面積151平方メートル
建築年代明治初期
所有者日の丸醸造株式会社
公開状況非公開(酒造建物)

参考文献

国指定文化財等データベース — 日の丸醸造本社東前蔵
https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00002595
増田町観光協会 — まちなみと内蔵
https://masudakanko.com/uchigura/
日の丸醸造株式会社 — 公式サイト
https://hinomaru-sake.com/

最終更新日: 2026.07.03