森九商店とは
森九商店は、秋田県秋田市新屋表町にある醸造元の建物群で、大正2年(1913年)から大正3年(1914年)にかけて建てられた主屋・工場・仕込蔵の3件が、平成18年(2006年)8月3日に国の登録有形文化財(建造物)となった(文化庁)。読みは「もりきゅうしょうてん」。
3件は同じ第51回の登録で、登録番号は05-0143から05-0145まで続き、いずれも「国土の歴史的景観に寄与しているもの」として登録されている(文化庁)。秋田県は森九商店を、伝統的な町家が点在して歴史的な町並みを色濃く残す新屋表町の、重要な構成要素と位置づけている。
醸造の町、新屋表町
森九商店が建つのは、江戸時代以来醸造業が盛んな新屋表町の、旧羽州浜街道(北国街道)沿いである(秋田県)。文化庁も主屋の解説で、表町を醸造業の多い旧街道筋と記している。
秋田市の景観まちづくりガイドラインによれば、新屋は雄物川の河口左岸にあり、秋田から酒田へ向かう羽州浜街道の最初の宿駅が置かれた宿場町だった。海沿いの新屋砂丘に降った雨や雪が地下水となって湧き出し、昭和初期までは湧き水や井戸が500か所以上あったという。この水と雄物川流域から運ばれる米を使って酒造りが栄え、最盛期には12軒の造り酒屋があった。表町通りには今も酒蔵や、豆腐・味噌・醤油などの醸造所と蔵が並ぶ。
秋田市教育委員会の文化財イラストマップも、森九商店をこの通りに位置する醸造元として紹介している。
通りから奥へ続く3棟
森九商店の3棟は、通りから敷地の奥へ一列に連なる。旧街道に西面して建つのが妻入の主屋で、その東に工場が主屋に連続して建ち、さらに東に仕込蔵が工場に連続して建つ(文化庁)。表の町家から作業場、仕込みの蔵へと、醸造元の仕事の流れがそのまま建物の並びになっている。

建築年は、工場と仕込蔵が大正2年(1913年)、主屋が大正3年(1914年)である(文化庁)。屋根はいずれも切妻造の鋼板葺で、主屋と工場は木造、仕込蔵は土蔵造。文化庁は工場と仕込蔵について、醸造所の景観を形成していると評価する。各棟の構造と見どころは、それぞれのページで扱っている。
見学について
最寄りはJR羽越本線の新屋駅で、秋田市の文化財イラストマップでは駅から森九商店まで徒歩約9分としている。同じマップは表町通りを歩くまち歩きコースの立ち寄り先に森九商店を入れ、店の表にある郵便ポストを目印のように紹介している。
森九商店の内部公開や見学の受け入れ、撮影について、公的な案内は確認できなかった。秋田市のマップは個人の住宅や敷地に立ち入らないよう呼びかけているので、通りから外観を眺める形になる。
参考文献
- 森九商店主屋(国指定文化財等データベース)
- https://kunishitei.bunka.go.jp/heritage/detail/101/00005536
- 森九商店工場(国指定文化財等データベース)
- https://kunishitei.bunka.go.jp/heritage/detail/101/00005537
- 森九商店仕込蔵(国指定文化財等データベース)
- https://kunishitei.bunka.go.jp/heritage/detail/101/00005538
- 平成18年度国登録 森九商店(秋田県 美の国あきたネット)
- https://www.pref.akita.lg.jp/pages/archive/1989
- 文化財イラストマップ 秋田市新屋地区編(秋田市教育委員会)
- https://www.city.akita.lg.jp/_res/projects/default_project/_page_/001/002/202/araya.pdf
- 新屋表町通り 景観まちづくりガイドライン(秋田市)
- https://www.city.akita.lg.jp/_res/projects/default_project/_page_/001/007/919/guideline_a3.pdf
最終更新日: 2026.10.28
基本情報
| 名称 | 森九商店 |
|---|---|
| 所在地 | 秋田県秋田市新屋表町9-40 |
| 指定 | 登録有形文化財 3件 |
| 座標 | 39.68080, 140.08286 |