「両関」の銘柄で知られる湯沢の蔵元

両関酒造は、秋田県湯沢市前森にある明治7年(1874年)創業の酒造場で、敷地に建つ本館と1号蔵から4号蔵までの5棟が、平成8年(1996年)12月20日に国の登録有形文化財に登録された。

読みは「りょうぜきしゅぞう」。湯沢市によれば、両関酒造は明治末から大正にかけて全国清酒品評会で1等賞を重ね、「両関」の銘柄とともに秋田の酒の名を全国に広めた。銘柄の由来について蔵元は、東の名刀正宗と西の名刀宗近になぞらえ、東西の大関を兼ねるように、との願いを込めて名付けたと伝えている。

湯沢は県内でも指折りの豪雪地帯である。両関酒造の建物を見るときは、この雪の多さを頭に置いておくと、蔵の造りの理由がいくつも読めてくる。

登録制度の最初の日に登録された5棟

登録有形文化財の制度は平成8年(1996年)に始まった。両関酒造の5棟は、その最初の登録(第1回)で登録された建物である。登録番号は本館が05-0001、1号蔵が05-0002、2号蔵が05-0003、3号蔵が05-0004、4号蔵が05-0005と続く。先頭の「05」は秋田県を表し、両関酒造の本館は秋田県で登録番号1番の登録有形文化財ということになる。湯沢市は、両関酒造の5棟を全国で最初に登録された建物の一つとして紹介している。

5棟とも登録基準は「国土の歴史的景観に寄与しているもの」で、所有者は両関酒造株式会社である。

明治25年から大正12年まで、30年あまりの普請

両関酒造の5棟は、一度に建てられたものではない。文化庁の記録と湯沢市の解説から年代を並べると次のようになる。

  • 1号蔵:明治25年(1892年)。棟札で年代がわかる、両関酒造でいちばん古い建物
  • 2号蔵:明治41年(1908年)。桁行56メートルを超える最大の蔵
  • 3号蔵:棟札がなく年代は確定していない。文化庁は大正初期、湯沢市は明治末から大正としている
  • 4号蔵:大正5年(1916年)。はじめから貯蔵用として建てられた蔵
  • 本館:大正12年(1923年)。事務所と住まいを兼ねる木造2階建

湯沢市によれば、4棟の蔵は八代伊藤仁右衛門(いとうにえもん)の代に建てられ、棟梁は高久三太郎(たかくさんたろう)であった。本館は、文化庁の解説が「全盛期」と記す時期に建てられている。

4棟の蔵はいずれも土蔵造の2階建で、屋根も壁も漆喰で仕上げ、その全体を大屋根で覆っている。文化庁の解説は、大屋根で覆うのは保温と除雪に有利だからだと説明する。雪国の酒蔵が冬の寒さと屋根の雪にどう備えたかが、建物の形にそのまま表れている。

両関酒造の建物が評価される理由

湯沢市は、両関酒造の蔵の小屋組がいずれも和小屋であることに注目している。明治後期から大正にかけては、倉庫や工場に洋小屋を採る例が多かった。そのなかで両関酒造は、外から新しい技術を持ち込むのではなく、在来の技法のまま大規模な蔵を建て続けた。湯沢市はこれを、自らの力で近代化をとげた例として高く評価している。

本館については、文化庁の解説が老舗の風格を示す意匠を挙げ、酒どころ湯沢の象徴として親しまれていると記している。

なお、蔵を覆う大屋根の構法について、文化庁の3号蔵の解説は「洋小屋」と書いている。湯沢市と文化庁の4号蔵の解説が和小屋と説明しているのは土蔵そのものの小屋組とみられ、両者は別の部分を指していると読める。ただし、この点を明示した資料は見当たらない。

両関酒造の見学とアクセス

両関酒造は現在も酒を造っている蔵元で、登録された建物はすべて現役である。湯沢市は4棟の蔵を、現在はすべて貯蔵庫として使っていると説明している。一方、湯沢市観光物産協会は、仕込みと貯蔵に使っていると紹介している。

ふだん一般に開かれているのは、蔵元の建物内にある売店である。蔵元の案内では、営業は平日の午前9時から午前11時30分までと午後1時30分から午後4時までで、土曜・日曜・祝日、お盆、年末年始は休む。団体で立ち寄る場合は事前に電話で連絡するよう求めている。

建物の中を見られる蔵見学は、2026年9月28日の時点で休止している。蔵元が案内している通常の条件は、平日の午前9時から午前11時までと午後1時30分から午後3時30分までの受付、3日前までの完全予約制、所要約30分、無料、最大20名で、酒造りの時期にあたる毎年11月から4月は受け付けない。衛生面への配慮から仕込蔵には案内せず、設備と建物の一部を簡単に回る内容である。再開の時期は蔵元に問い合わせたい。

JR奥羽本線の湯沢駅から歩いて約20分。車では湯沢インターチェンジから約3分で、大型車も停められる駐車場がある。

参考文献

国指定文化財等データベース(文化庁):両関酒造本館
https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00000011
国指定文化財等データベース(文化庁):両関酒造1号蔵
https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00000012
国指定文化財等データベース(文化庁):両関酒造2号蔵
https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00000013
国指定文化財等データベース(文化庁):両関酒造3号蔵
https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00000014
国指定文化財等データベース(文化庁):両関酒造4号蔵
https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00000015
湯沢市:両関酒造本館ほか4棟
https://www.city-yuzawa.jp/site/bunkazai/2212.html
両関酒造株式会社 公式サイト
https://www.ryozeki.co.jp/
湯沢市観光物産協会:両関酒造株式会社 酒蔵見学
https://akitayuzawa.jp/activity-02-03.html
湯沢市観光物産協会:両関酒造(酒蔵見学)
https://akitayuzawa.jp/midokoro0106.html

最終更新日: 2026.09.27

基本情報

名称両関酒造
所在地秋田県湯沢市前森4-3-18
所有者両関酒造株式会社
指定登録有形文化財 5件
座標39.17089, 140.49350