棟札のない、年代の定まらない一棟

両関酒造3号蔵は、秋田県湯沢市前森の両関酒造にある大正初期(文化庁の記録では1912年〜1925年)の土蔵造2階建の酒蔵で、平成8年(1996年)12月20日に国の登録有形文化財に登録された。登録番号は05-0004。

建築面積は224平方メートル。屋根と壁はほかの蔵と同じく漆喰で仕上げている。

年代が確定していない理由

両関酒造の蔵4棟のうち、棟札が見つかっていないのは3号蔵だけである。そのため建てた年がわからず、文化庁は構造や形式を手がかりに、2号蔵とほぼ同じ時期の建物と推定している。

資料によって年代の書き方は分かれる。文化庁のデータベースは「大正初期」とし、湯沢市は「明治末~大正」としている。比べる相手の2号蔵は明治41年(1908年)の建築なので、「2号蔵とほぼ同時期」という推定と「大正初期」という記載のあいだには数年の開きがある。ここでは文化庁の記載に従い、年代は大正初期としておく。

蔵をまるごと覆う大屋根

文化庁は両関酒造3号蔵の解説のなかで、酒蔵がすべて大屋根で覆われていることを取り上げ、その理由を保温と除雪に有利だからと説明している。湯沢は県内でも雪の多い土地である。土蔵の上にもう一枚屋根を架ければ、屋根の雪を扱いやすくなり、蔵の中の温度も保ちやすくなる。

同じ解説は、この大屋根を洋小屋と書く。一方、湯沢市は両関酒造の土蔵がいずれも和小屋だとし、文化庁も4号蔵の解説で和小屋と記している。覆いの大屋根は洋小屋、土蔵そのものの小屋組は和小屋と読めば二つの記述は矛盾しないが、そう明記した資料は見当たらない。

3号蔵も他の4棟と同じく、国土の歴史的景観に寄与するものとして登録された。

両関酒造3号蔵を見るときの手がかり

中に入る機会があれば、2号蔵と見比べたい。文化庁が年代推定の根拠にした構造や形式の共通点は、並べて見てこそわかる。

もう一つは、覆いの大屋根と土蔵の関係である。上の屋根の架構と、その下にある漆喰塗の土蔵の屋根がどう重なっているかを見れば、洋小屋と和小屋をめぐる二つの記述がそれぞれどこを指しているのかを確かめる手がかりになる。

両関酒造3号蔵の見学方法

両関酒造3号蔵の内部は一般公開されていない。蔵元の蔵見学が唯一の機会だが、2026年9月28日の時点では受け付けを止めている。

再開したとしても、年代推定の根拠になった構造を見比べられるほど中を回れるとは限らない。3号蔵に入れるか、2号蔵と続けて見られるかは事前に問い合わせたい。写真撮影についての決まりは公表されていない。受付の条件と交通は両関酒造のページを参照のこと。

Q&A

Q両関酒造3号蔵はいつ建てられましたか?
A棟札がないため年代は確定していません。文化庁は大正初期(1912年〜1925年)、湯沢市は明治末から大正としています。
Q両関酒造3号蔵だけ年代がわからないのはなぜですか?
A両関酒造の蔵のうち、3号蔵だけ棟札が見つかっていないためです。文化庁は構造や形式から、2号蔵とほぼ同じ時期の建築と推定しています。
Q両関酒造3号蔵の大屋根は何のためにあるのですか?
A文化庁の解説によれば、蔵を大屋根で覆うのは保温と除雪に有利なためです。
Q両関酒造3号蔵の小屋組は洋小屋ですか、和小屋ですか?
A文化庁の3号蔵の解説は大屋根を洋小屋としています。一方、湯沢市と文化庁の4号蔵の解説は土蔵を和小屋としています。覆いの屋根と土蔵本体とで構法が異なると読めますが、明記した資料はありません。
Q両関酒造3号蔵の中は見学できますか?
A内部は公開されていません。蔵元の蔵見学は2026年9月28日の時点で休止しています。

基本データ

名称両関酒造3号蔵(りょうぜきしゅぞうさんごうぐら)
所在地秋田県湯沢市前森4-3-18
指定区分登録有形文化財(建造物)登録番号05-0004
指定年平成8年(1996年)12月20日登録
員数1棟
寸法土蔵造2階建、屋根漆喰塗、建築面積224平方メートル
所有者両関酒造株式会社
公開状況内部非公開(蔵元の蔵見学は休止中)

参考文献

国指定文化財等データベース(文化庁):両関酒造3号蔵
https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00000014
文化遺産オンライン:両関酒造3号蔵
https://online.bunka.go.jp/heritages/detail/112894
国指定文化財等データベース(文化庁):両関酒造4号蔵
https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00000015
湯沢市:両関酒造本館ほか4棟
https://www.city-yuzawa.jp/site/bunkazai/2212.html
両関酒造株式会社 公式サイト
https://www.ryozeki.co.jp/

最終更新日: 2026.09.27