千葉県でいちばん古い紀年銘の鐘
梵鐘(弘長四年在銘)は、千葉県長生郡長柄町長柄山の眼蔵寺に伝わる鎌倉時代の銅鐘で、弘長4年(1264年)の銘をもち、昭和51年(1976年)6月5日に国の重要文化財に指定された。高さ91センチ、口径62.1センチある。
千葉県によれば、紀年銘のある梵鐘としては県内で最も古い。作者は大工広階重永で、文化庁の解説によれば上総国刑部郡に住んだ地元の鋳物師である。
乳のない鐘
ふつうの梵鐘には、上部の乳の間に「乳」と呼ばれるいぼ状の突起が並ぶ。この鐘には乳がなく、代わりに乳の間の各区の中央に、蓮台に載る円相の中に胎蔵界四仏の種子(梵字)を鋳出している。上帯には雲の文様、下帯には唐草文を鋳出す。
千葉県は、乳のない梵鐘は全国的にもきわめて珍しいとし、山梨県塩山市(現在の甲州市)の向岳寺の在銘の鐘と、大正6年(1917年)に眼蔵寺の境内から見つかった鐘とあわせて3例しかないとしている。境内で見つかった鐘は、現在は東京国立博物館の所蔵である。
池の間の上部には型を継いだ跡があり、2段に分けて鋳上げられたことがわかる。文化庁は、竜頭の作りが鋭く力強く、鎌倉時代の特色が強いうえに、乳の間の特異な文様など製作も優れていると評価している。
胎蔵寺と呼ばれた寺
銘文からは、この寺がかつて「胎蔵寺」と称していたことがわかる。千葉県の解説によれば、眼蔵寺は長和2年(1013年)の開基で、はじめ鳴滝寺と称し、建久3年(1192年)に源頼朝が胎蔵界曼荼羅を奉納したことから胎蔵寺と改めたと伝えられる。眼蔵寺と呼ばれるようになったのは近世になってからである。
胎蔵界四仏の種子を鋳出したこの鐘の意匠は、胎蔵寺という旧名とも通じている。
見学について
ちば観光ナビによれば、眼蔵寺は臨済宗妙心寺派の寺で、山門をくぐると正面に本堂の釈迦堂、左に鐘楼の「釣鐘堂」がある。梵鐘(弘長四年在銘)の公開について寺の案内は見当たらないので、見学を希望する場合は事前に寺に確かめたい。
眼蔵寺の所在地は長生郡長柄町長柄山414である。
Q&A
- 眼蔵寺の梵鐘(弘長四年在銘)は見られますか。
- 境内に鐘楼(釣鐘堂)がありますが、梵鐘の公開についての案内は見当たりません。事前に寺に確認してください。
- 眼蔵寺の梵鐘(弘長四年在銘)はいつ造られたのですか。
- 弘長4年(1264年)です。紀年銘のある梵鐘としては千葉県で最も古いものです。
- 眼蔵寺の梵鐘(弘長四年在銘)はなぜ珍しいのですか。
- ふつうの梵鐘にある乳(いぼ状の突起)がなく、代わりに胎蔵界四仏の種子を鋳出しているためです。乳のない鐘は全国で3例しかないとされます。
- 眼蔵寺の梵鐘(弘長四年在銘)の大きさは。
- 高さ91センチ、口径62.1センチです。
- 眼蔵寺の梵鐘(弘長四年在銘)を造ったのは誰ですか。
- 上総国刑部郡に住んだ鋳物師、大工広階重永です。
基本データ
| 名称 | 梵鐘(弘長四年在銘)(ぼんしょう) |
|---|---|
| 所在地 | 千葉県長生郡長柄町長柄山414(眼蔵寺) |
| 指定区分 | 重要文化財(工芸品) |
| 指定年 | 昭和51年(1976年)6月5日指定 |
| 員数 | 1口 |
| 寸法 | 高さ91センチメートル、口径62.1センチメートル |
| 所有者 | 眼蔵寺 |
| 公開状況 | 境内に鐘楼あり(見学は事前に寺へ確認) |
参考文献
- 国指定文化財等データベース(文化庁)梵鐘(眼蔵寺)
- https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/201/7140
- 千葉県 梵鐘(弘長四年在銘)
- https://www.pref.chiba.lg.jp/kyouiku/bunkazai/bunkazai/n141-012.html
- ちば観光ナビ 眼蔵寺
- https://maruchiba.jp/spot/detail_10286.html
- 眼蔵寺
- https://www.ganzouji.com/
最終更新日: 2026.09.26