嘉禄2年創建と伝わる筑後の天満宮

水田天満宮は、福岡県筑後市水田にある菅原道真を祀る神社で、嘉禄2年(1226年)の創建と伝わり、境内の楼門・東門・西門の3棟が令和7年(2025年)8月6日に国の登録有形文化財に登録された。読みは「みずたてんまんぐう」で、江戸時代の史料には「水田天神」の名でも現れる。神社自身は、太宰府天満宮と並ぶ「九州二大天満宮」と称している。

福岡県の文化財データベースによれば、水田天満宮は社伝で、後堀河天皇の命を受けた菅原為長が創建したとされる。為長は道真の子孫にあたる。この一帯はもともと安楽寺(太宰府天満宮の神宮寺)の荘園で、道真の子孫が代々、太宰府から退いて暮らした土地だったという。

創建の年については、県のデータベースが「嘉禄2年(1226)」とする一方、筑後市や福岡県観光サイトの紹介文は「嘉禄3年(1226年)」と書いている。西暦は同じでも元号の年数が食い違うため、ここでは県の文化財データベースに従った。

水田天満宮の本殿と境内の石造物

水田天満宮の本殿は、置札によって寛文12年(1672年)の再建とされる。三間社流造の檜皮葺で、正面に唐破風の向拝を付け、両側面には車寄せを設ける。福岡県は、この形式が太宰府天満宮の本殿に近いと説明しており、本殿は昭和36年(1961年)に県の有形文化財となった。

参道の中ほどには、花崗岩でできた肥前鳥居型の石造鳥居が立つ。高さ4.6m、柱間3.8mで、笠木・島木・柱をそれぞれ3本継ぎとする。柱の銘から、慶長19年(1614年)に柳河藩2代当主の田中忠政が寄進したことが分かる。本殿の裏の柵内には、背に慶長15年(1610年)の銘がある高さ55cmの石造狛犬も置かれている。

境内には末社の恋木神社もある。恋命(こいのみこと)を祀る社で、水田天満宮は日本でここ一社だけだと案内している。

水田天満宮の三方に開く3つの門

水田天満宮で登録有形文化財となった3棟は、どれも境内の出入口に建つ門である。楼門は境内入口に南を向いて建ち、東門は境内東面の中央に、西門は境内西面に開く。参道から入れば楼門を、東西の道から入れば東門か西門をくぐることになる。

建築年は、西門が嘉永4年(1851年)、東門が慶応4年(1868年)で、楼門は江戸時代末期とされ、平成12年(2000年)に改修された。3棟とも木造で、屋根は本瓦葺。楼門は入母屋造の二重門、東門と西門は切妻造の四脚門である。

3棟の登録番号は40-0238から40-0240までの連番で、第110回の登録として同じ日に登録された。登録基準は、楼門と東門が「国土の歴史的景観に寄与しているもの」、西門が「造形の規範となっているもの」である。令和7年(2025年)3月21日の文化審議会の答申でも、3棟は「水田天満宮楼門・東門・西門」としてひとまとめに紹介された。

所在地の書き方はいくつかある。文化庁のデータベースは3棟の所在地を「大字水田字上町64-1」とし、水田天満宮の公式サイトは社務所を「水田62番地の1」、筑後市の行事案内は「大字水田56」としている。各棟の基本情報は文化庁の表記に合わせた。

水田天満宮の千燈明と稚児風流

水田天満宮でよく知られた行事は、毎年8月25日の千燈明である。割竹を縦横に渡した灯明台の結び目に粘土を置き、帆立貝の殻やかわらけを載せて油を注ぎ、日が暮れると境内全体に火を入れる。灯明台は社殿や鳥居などの形に組まれる。千燈明は福岡県の無形民俗文化財で、筑後市の案内によれば、当日は楼門前広場で納涼の催しも開かれ、午後8時に灯明への点火と花火の打ち上げが始まる。

10月25日の神幸祭には稚児風流が奉納される。室町時代に始まったとされる行事で、子どもたちが鼓・鉦・太鼓を打ちながら「ハーエンヤアイ」の掛け声とともに水田天満宮の周りを練り歩く。こちらも県の無形民俗文化財である。

水田天満宮への行き方と参拝

水田天満宮の最寄り駅は、JR鹿児島本線の羽犬塚駅である。駅前から西鉄バス羽犬塚線(8番)の大野島農協前行きに乗り、「水田天満宮 恋木神社前」で降りる。このバス停を経由するのは午後の便だけで、筑後市の案内(2025年3月更新)では羽犬塚駅発の最初の便が午後0時10分となっている。

車やタクシーなら、羽犬塚駅から約5分、九州新幹線の止まる筑後船小屋駅から約8分、九州自動車道の八女インターチェンジから約10分で着く。水田天満宮には駐車場がある。

境内は参拝自由で、福岡県の文化財データベースも本殿の見学を「参拝自由」と案内している。拝観料の定めは見当たらない。問い合わせ先は水田天満宮の社務所(電話0942-53-8625)。楼門・東門・西門はいずれも境内の出入口にあり、参拝の行き帰りに外観を見ることができる。門ごとの見どころは各棟のページにまとめた。

参考文献

国指定文化財等データベース(文化庁):水田天満宮楼門
https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00015517
国指定文化財等データベース(文化庁):水田天満宮東門
https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00015518
国指定文化財等データベース(文化庁):水田天満宮西門
https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00015519
文化庁:文化審議会の答申(登録有形文化財(建造物)の登録)令和7年3月21日 別紙
https://www.bunka.go.jp/koho_hodo_oshirase/hodohappyo/pdf/94187801_01.pdf
福岡県文化財データベース:水田天満宮本殿
https://www.fukuoka-bunkazai.jp/frmDetail.aspx?db=1&id=215
福岡県文化財データベース:水田の石造鳥居
https://www.fukuoka-bunkazai.jp/frmDetail.aspx?db=1&id=216
福岡県文化財データベース:水田天満宮 石造狛犬
https://www.fukuoka-bunkazai.jp/frmDetail.aspx?db=1&id=265
福岡県文化財データベース:千燈明
https://www.fukuoka-bunkazai.jp/frmDetail.aspx?db=3&id=44
筑後市:【8月25日】水田天満宮千灯明祭
https://www.city.chikugo.lg.jp/kanko/_9658/_11477/_15366.html
筑後市:【10月25日】水田天満宮稚児風流
https://www.city.chikugo.lg.jp/kanko/_9658/_11477/_20491.html
筑後市:観光地へバスで行こう!
https://www.city.chikugo.lg.jp/kurashi/_24191/_30805/_26266.html
クロスロードふくおか(福岡県観光連盟):水田天満宮の梅
https://www.crossroadfukuoka.jp/spot/13763
水田天満宮 公式サイト
https://www.mizuta-koinoki.jp/mizuta/

最終更新日: 2026.10.01

基本情報

名称水田天満宮
所在地福岡県筑後市大字水田字上町64-1
所有者水田天満宮
指定登録有形文化財 3件
座標33.19845, 130.48566