敷地の北西隅に建つ六畳の茶室

伊佐治家住宅茶室は、岐阜県可児郡御嵩町古屋敷にある江戸時代末期の茶室で、平成30年(2018年)5月10日に国の登録有形文化財に登録された。木造平屋建、桟瓦葺で建築面積は14平方メートル。伊佐治家住宅の5棟のうち、もっとも小さい建物である。

敷地の北西隅に、棟を東西に向けて建つ。平面は桁行3.7メートル、梁間3.7メートルの正方形で、屋根は切妻造。主屋や上座敷から離れた位置に独立して置かれている。

文化庁のデータベースは時代を江戸末期とし、西暦欄には1830年から1868年という幅を示す。建築年を特定する資料は、公開されている範囲では見当たらない。

屋敷の景観を整える一棟

伊佐治家住宅茶室に適用された登録基準は「国土の歴史的景観に寄与しているもの」である。主屋や上座敷のように建物単独の造形が評価されたというより、屋敷の一隅に端正な茶室が置かれることで屋敷構え全体に風情が加わる、その景観上の役割が認められた。

客座敷と庭を備えた屋敷に、さらに独立した茶室がある。旗本の用人や代官を務めた家の屋敷として、客をもてなす場にどれほど意を用いていたかが、この小さな建物からもうかがえる。

細部に見る数寄の意匠

外まわりは真壁で、柱を壁面に見せる。軒を支える垂木には細い丸太を使っている。角材を並べた垂木に比べて軒裏の陰影がやわらかく、小さな建物の印象を軽くしている。

内部は六畳の一室で、東面に床の間と押入を設ける。床柱は杉の絞り丸太、床框は黒の漆塗り、壁は浅葱色(あさぎいろ)に仕上げる。絞り丸太は表面に細かな皺状の凹凸が縦に走る杉材で、茶室の床柱として好まれてきた。

黒く光る框と淡い青緑の壁の取り合わせが、この部屋の要である。六畳という広さは茶室としては小間ではなく広間の側に入り、少人数の茶事にも座敷風の集まりにも使える寸法になっている。

見学について

伊佐治家住宅茶室は個人所有の屋敷の中に建ち、内部は公開されていない。敷地の北西隅にあたるが、長屋門の内側の建物で、敷地の外から見えるかどうかは確認できていない。茶室を見る機会があるとすれば、所有家への問い合わせを通じた見学か、屋敷が開かれる催しに限られる。屋敷への行き方と見学の条件は伊佐治家住宅のページにまとめてある。

Q&A

Q伊佐治家住宅茶室はいつ建てられましたか?
A文化庁のデータベースでは江戸時代末期の建築とされ、西暦欄には1830年から1868年の幅が示されています。正確な建築年は、公開されている資料からは分かっていません。
Q伊佐治家住宅茶室の大きさは?
A木造平屋建、桟瓦葺で、建築面積は14平方メートルです。桁行3.7メートル、梁間3.7メートルのほぼ正方形の平面に、六畳の一室を収めています。
Q伊佐治家住宅茶室の床の間にはどんな材が使われていますか?
A床柱は杉の絞り丸太、床框は黒漆塗りです。壁は浅葱色に仕上げられ、床の間と押入は東面に設けられています。
Q伊佐治家住宅茶室はなぜ登録有形文化財になったのですか?
A平成30年(2018年)5月10日、「国土の歴史的景観に寄与しているもの」として登録されました。屋敷構えに風情を添える端正な茶室であることが評価されています。
Q伊佐治家住宅茶室は見学できますか?
A個人所有の屋敷内の建物で、公開されていません。2026年9月の時点で定期的な公開の案内は見当たらず、見学を望む場合は所有家のウェブサイトの問い合わせ窓口から相談する形になります。

基本情報

名称伊佐治家住宅茶室
所在地岐阜県可児郡御嵩町古屋敷字大王寺381
指定区分登録有形文化財(建造物)
指定年平成30年(2018年)5月10日登録
員数1棟
寸法木造平屋建、瓦葺、建築面積14平方メートル、桁行3.7メートル・梁間3.7メートル
所有者個人
公開状況常時公開なし(個人住宅)

参考文献

文化庁 国指定文化財等データベース「伊佐治家住宅茶室」
https://kunishitei.bunka.go.jp/heritage/detail/101/00012368
岐阜県「登録有形文化財(建造物)」
https://www.pref.gifu.lg.jp/page/12417.html
伊佐治家住宅(所有家のウェブサイト)
https://isaji-yashiki.jimdofree.com/

最終更新日: 2026.09.26