絵馬殿とは
絵馬殿は、神社に奉納された絵馬を掲げるための建物である。絵馬堂・絵馬所とも呼び、もとは額の形をした絵馬が多かったことから額殿ともいう。JAANUS(日本建築・美術用語辞典)によれば、絵馬を掲げる専用の建物がいつ建てられるようになったかは明らかでなく、現存例は近世以降のもので、京都の北野天満宮絵馬所(慶長13年・1608年)、香川県の金刀比羅宮絵馬堂(寛延元年・1748年)などがある。
大小の絵馬を壁や梁に掛け並べるため、壁を少なくし、柱の間を開放とする建物が多い。長野市の象山神社絵馬殿(昭和13年)は、側廻りの腰と小壁だけを板張とし、ほかを開放として、休憩所を兼ねた簡素なつくりの絵馬殿と解説されている。
大阪市の住吉大社には、表参道の反橋の手前に北絵馬殿と南絵馬殿(昭和4年)が向かい合って建つ。規模・形式とも同じで、用途の使い分けもなく、二棟一対で絵馬殿として機能すると記録されている。
見るときの手がかり
境内で、壁の少ない細長い建物の梁や長押に額が並んでいれば絵馬殿である。拝殿の手前や参道の脇に建ち、参拝者が通りがかりに絵馬を見上げられる配置が多い。
形式はさまざまで、門を兼ねるものもある。大阪府東大阪市の石切劔箭神社絵馬殿(昭和35年)は、境内入口に建つ三間一戸の楼門形式で、下層の中央の通路の両脇に絵馬を並べる。大阪府泉佐野市の蟻通神社絵馬殿(文久元年・1861年)は、虹梁で柱をつなぎ、各間に大瓶束を立てた装飾性の高い建物である。
奉納された絵馬そのものが有形民俗文化財や美術工芸品として指定・登録されている場合もある。記事では、建物としての絵馬殿と、中に掛かる絵馬とを区別して書く。
参考文献
- JAANUS(Japanese Architecture and Art Net Users System)emado 絵馬堂
- https://projects.mcah.columbia.edu/jaanus/record/emado
- 国指定文化財等データベース(文化庁)住吉大社北絵馬殿
- https://kunishitei.bunka.go.jp/heritage/detail/101/00012405
- 国指定文化財等データベース(文化庁)象山神社絵馬殿
- https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00005156
- 国指定文化財等データベース(文化庁)蟻通神社絵馬殿
- https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00010669
- 国指定文化財等データベース(文化庁)石切劔箭神社絵馬殿
- https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00015334
最終更新: 2026.10.04