龕部とは

龕部は、石造のや塔で、仏像を納めるために彫り込んだ部分である。龕は像を安置するための窪みを指す語で、石造物では基礎と屋根の間の中心部にあたる。

愛知県の瀧川家住宅祠は大永5年の建立で、「自然石を積上げた台座上に置かれ、基礎、龕部、屋根を各1石で造り、龕部は内部に仏像を彫り出し、屋根は照り起り寄棟造で、正面に軒唐破風を付す。観音開きの扉も石で造る。鳳来寺峯薬師如来を祀るという」と解説されている。

この記述から、石造祠が基礎、龕部、屋根の三つの石からなり、龕部が像を納める中心であることが分かる。像を別に置くのではなく、龕部の内側に彫り出している点も記録されている。

扉が石でつくられていることは、龕部が閉じられる空間であることを示す。木造の祠が扉を吊るのと同じ構成を、石で実現している。

見学するときに

石造の祠を見るときは、上下三段の構成を確かめるとよい。下の基礎、中の龕部、上の屋根が別の石であれば、記録の三部構成にあたる。

龕部の扉が開いていれば、内部に像が彫り出されているか、別の像が納められているかが分かる。閉じられている場合は、記録の解説に頼ることになる。

同じ語は石塔や磨崖仏にも用いられる。岩壁や塔身に窪みを彫って像を納めた部分を龕と呼ぶため、祠に限らず石造物全般で使われる語である。

参考文献

文化庁 文化財の紹介 登録有形文化財(建造物)
https://www.bunka.go.jp/seisaku/bunkazai/shokai/yukei_kenzobutsu/toroku_yukei.html
国指定文化財等データベース(文化庁)瀧川家住宅祠/基礎、龕部、屋根を各1石で造り、屋根は照り起りの寄棟造で正面に軒唐破風を付す
https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00004581

最終更新: 2026.09.02