箱階段とは

箱階段は、踏板の下を箪笥や物入れとした階段である。階段そのものが家具を兼ねるため、床面積を二重に使える。

町家に用いられる。愛媛県の都築酒店店舗及び主屋は明治20年の建築で、「街路に面して建つ。妻面は塗込とし、両妻街路側に袖卯建を張り出す。大戸口が改造されている他は格子戸の建具も良く残り、内部に箱階段を備える。2階街路側の半分に手摺を設けて開放的な作りとし、2階階高を高く取るなど、明治期の店舗兼住宅の好例である」と解説されている。

町家は間口が狭く奥行が深い。通り庭が敷地を貫くため、床上の部分はさらに限られる。階段に割ける面積が少ないことが、この形式を生んだ背景にある。

二階の階高を高く取る建物では、階段の段数も増える。都築酒店の解説が「2階階高を高く取る」ことと箱階段を併せて挙げているのは、両者が関係するためである。

見学するときに

土間や店の奥に据えられることが多い。踏板の側面や下面に引き出しの前板が並び、把手が付いていれば箱階段である。固定されたものと、移動できる箪笥として作られたものがある。

つし二階へ上がる階段は特に急になる。人が立てない高さの階に上がるため、段数を稼ぐ余地が少ない。箱階段は急勾配になりやすく、現在の建築基準では設けられない寸法のものも多い。

公開されている町家では上り下りが制限されている場合がある。引き出しが使える状態で残っていれば、階段と収納を兼ねる仕組みが実際に確かめられる。

参考文献

文化庁 文化財の紹介 登録有形文化財(建造物)
https://www.bunka.go.jp/seisaku/bunkazai/shokai/yukei_kenzobutsu/toroku_yukei.html
国指定文化財等データベース(文化庁)都築酒店店舗及び主屋/両妻街路側に袖卯建を張り出す
https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00003159
国指定文化財等データベース(文化庁)岡村家住宅主屋/平入町家、木造つし二階建
https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00009022
国指定文化財等データベース(文化庁)旧菅沼家住宅主屋/南半がもと土間で大戸口を開き、奥座敷に大ドコを構える
https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00009180

最終更新: 2026.09.10