本棟造とは
本棟造は、長野県の中南信地方、とくに松本平や安曇野、塩尻周辺に多い民家の形式である。緩い勾配の切妻造の屋根をかけた妻入の主屋で、平面は正方形に近く、規模の大きなものが多い。正面の妻の頂部には、雀踊りと呼ぶ棟飾りを載せるのが外観の特徴である。
妻側を正面にして大きな三角形の妻壁を見せる姿は、堂々とした表構えをつくる。上層の農家や庄屋、商家の住宅に用いられ、地域の格式ある住まいの形として定着した。屋根は、飯田家住宅主屋のように、もとは板葺に石を載せた石置屋根で、のちに鉄板などに葺き替えられた例がある。
内部は、片側に土間を取り、残りを床上部として二列または三列に部屋を並べる。前方に式台付きの座敷や上座敷を並べて客を迎え、後方に日常の居室を置く構成が多い。
記録と実物で見分ける手がかり
記録では、形式名として本棟造と書かれるほか、切妻造・妻入などの要素と合わせて説明される。安曇野市の中村家住宅主屋は、桁行8間半、梁間7間半の規模で、切妻造、桟瓦葺の妻入の本棟造の形式をとると記され、桁行と梁間の差が小さい正方形に近い平面がよく分かる。同市の飯田家住宅主屋は、間口10間、奥行8間半の妻入の切妻造で、鉄板葺の屋根はもと石置屋根であったとされ、安曇野地方の本棟造の大規模住宅と評価されている。
雀踊りは本棟造を見分ける目立つ手がかりである。塩尻市の平林家住宅主屋の記録は、破風板の上に棟飾りの雀踊りを戴く伝統的な本棟造の外観と書き、松本市の平林家住宅主屋の記録も、雀踊りや出格子など表構えが充実した当地の上層農家の典型としている。
本棟造の屋敷には、主屋の前庭と中庭を区切る門と塀が付くことも多い。中村家住宅の門及び塀の記録は、こうした門と塀が中信地方の本棟造に多く付属すると書いている。
参考文献
- 平林家住宅主屋(塩尻市)|文化遺産オンライン
- https://online.bunka.go.jp/heritages/detail/387728
- 平林家住宅主屋(松本市)|文化遺産オンライン
- https://online.bunka.go.jp/heritages/detail/577305
- 中村家住宅主屋|国指定文化財等データベース(文化庁)
- https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00005434
- 飯田家住宅主屋|国指定文化財等データベース(文化庁)
- https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00005168
最終更新: 2026.09.26