波多腰家住宅主屋とは

波多腰家住宅主屋は、長野県松本市波田にある寛延元年(1748年)頃の本棟造の民家で、平成12年(2000年)4月28日に国の登録有形文化財に登録され、平成29年(2017年)2月8日には松本市の有形文化財にも指定された。登録番号は20-0036である。

木造2階建、建築面積314平方メートル。間口8間半、奥行8間半のほぼ正方形の平面に、切妻造の大きな屋根を架ける。屋根葺材は、登録時の文化庁の記載では板葺、平成29年の市指定時の記載では鉄板葺となっている。

寛延元年は、波多腰家が現在の敷地へ移ったと伝える年である。松本市は、正面の意匠や座敷の形式からも18世紀中頃の建築と考えられるとしている。背後に接続する離れは江戸末期の増築である。

本棟造のなかでも古い一棟

本棟造は、松本平から伊那谷にかけての信濃中南部に広がる民家の形式で、緩い勾配の切妻屋根を大きく架け、妻側を正面とする。棟の端に「雀踊り」と呼ばれる飾りを載せるのが目印になる。

波多腰家住宅主屋は西の妻を正面とし、式台と大戸口を構える。正面の妻壁には出格子を左右対称に付け、棟には雀踊りを飾る。文化庁の解説は、整った意匠からなる本棟造の好例と評価しており、登録基準は「造形の規範となっているもの」である。

松本市の指定の理由では、18世紀中頃という年代から、本棟造という類型のなかで最も古い建築遺構の一つに位置づけられている。部屋は3列3行に並び、本棟造に一般的な間取りをとる。形式の古い段階を今に残す一棟として、市の文化財にも重ねて指定された。

見どころは西の妻面

見るべきは西を向いた妻面である。三角形の大きな壁の中に出格子が左右対称に並び、その下に式台と大戸口が開く。正面性をはっきり打ち出した構えで、庄屋の家の格がここに表れている。

棟の上の雀踊りにも目を留めたい。棟の端に立ち上がる飾りで、緩やかな大屋根の輪郭を引き締めている。

主屋の背後の離れには、質の高い座敷がある。床飾りの意匠も優れており、松本市によれば、松本藩主が滞在する際に使われたという。庄屋の家が、藩主を迎える場でもあったことを伝える部屋である。

波多腰家住宅主屋の見学

波多腰家住宅主屋は現在も個人の住まいで、内部は公開されていない。離れの座敷も見学できない。主屋は西の表門の奥に、妻面を門の方へ向けて建つ配置になっている。外観を眺める場合も敷地には入らず、敷地の外から見られる範囲にとどめたい。

屋敷への行き方と見学の注意は、波多腰家住宅のページにまとめてある。

Q&A

Q波多腰家住宅主屋はいつ建てられましたか?
A波多腰家が現在地に移った寛延元年(1748年)頃の建築と伝わり、松本市も18世紀中頃と考えています。背後の離れは江戸末期の増築です。
Q波多腰家住宅主屋の本棟造とはどんな形式ですか?
A緩い勾配の切妻屋根を大きく架け、妻側を正面とする信濃中南部の民家の形式です。この主屋は西の妻に式台と大戸口を構え、棟に雀踊りを飾ります。
Q波多腰家住宅主屋はどのような文化財ですか?
A平成12年(2000年)に国の登録有形文化財に登録され、平成29年(2017年)に松本市の有形文化財にも指定されています。
Q波多腰家住宅主屋の大きさはどのくらいですか?
A間口8間半、奥行8間半の木造2階建で、建築面積は314平方メートルです。
Q波多腰家住宅主屋の内部は見学できますか?
A個人の住まいのため、内部も離れの座敷も公開されていません。

基本データ

名称波多腰家住宅主屋
所在地長野県松本市波田6492
指定区分登録有形文化財(建造物)、松本市指定有形文化財
指定年平成12年(2000年)4月28日登録、平成29年(2017年)2月8日松本市指定
員数1棟
寸法木造2階建、建築面積314平方メートル、間口8間半、奥行8間半
所有者個人
公開状況非公開(個人住宅)。敷地外から外観のみ

参考文献

国指定文化財等データベース(文化庁)波多腰家住宅主屋
https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00001698
松本市 波多腰家住宅〔11棟〕
https://www.city.matsumoto.nagano.jp/soshiki/134/3784.html
文化遺産オンライン 波多腰家住宅主屋(松本市指定)
https://bunka.nii.ac.jp/heritages/detail/526954
八十二文化財団 信州の文化財 波多腰家住宅主屋
https://www.82bunka.or.jp/bunkazai/detail.php?no=4702

最終更新日: 2026.09.24