波多腰家住宅文庫蔵とは

波多腰家住宅文庫蔵は、長野県松本市波田にある昭和6年(1931年)建築の土蔵で、平成12年(2000年)4月28日に国の登録有形文化財に登録された。登録番号は20-0042である。

主屋の背後にあり、中庭を挟んで主屋と向かい合うように西を正面として建つ。切石の土台の上に建つ土蔵造の2階建で、建築面積は17平方メートル。屋根は置屋根形式の切妻造、桟瓦葺とする。

文庫蔵は一般に、書籍や文書、道具類など家の大切なものを納める蔵をいう。倉庫群が北の作業の場に並ぶのに対し、この蔵は主屋のすぐ裏、住まいの内側に置かれている。

「再現することが容易でない」仕上げ

波多腰家住宅文庫蔵は、登録基準のうち「再現することが容易でないもの」として登録された。屋敷の蔵のなかでは、外観の意匠にとりわけ手をかけた一棟である。

外壁は漆喰塗で、腰まわりを海鼠壁とする。両方の妻の2階の窓は縁取りを華やかに飾り、窓の上には屋号の紋を掲げる。波多腰家の屋号は丸八である。

年代については資料の記述に違いがある。文化庁の登録は昭和6年とし、松本市のページが引く地棟木の墨書にも、大正年代に周次郎が起工し、昭和6年7月23日に弥六の代に建てた旨が記されている。一方、同じページの本文には昭和8年(1933年)に上棟したとする一文もあり、資料のあいだで記述が食い違っている。本記事は墨書と文化庁の記載に従った。

見どころは妻の窓

見るべきは両妻の2階の窓である。白い漆喰の壁に、縁取りを重ねた窓が浮かび、その上に屋号の紋が据えられている。蔵の顔として、窓まわりに意匠が集中している。

腰の海鼠壁にも目を留めたい。平瓦を張り、目地を漆喰でかまぼこ形に盛り上げた仕上げで、白と黒の格子が蔵の足もとを引き締める。

切石の土台も見逃せない。仕上げを整えた石の上に土蔵が載ることで、中庭に面した姿がいっそう端正に見える。

波多腰家住宅文庫蔵の見学

波多腰家住宅文庫蔵は主屋の背後、中庭に面して建ち、屋敷の最も奥まった場所にある。個人の住まいの一部で、内部も中庭も公開されていない。敷地には立ち入らないでほしい。

屋敷への行き方と見学の注意は、波多腰家住宅のページにまとめてある。

Q&A

Q波多腰家住宅文庫蔵はいつ建てられましたか?
A文化庁の登録と地棟木の墨書により、昭和6年(1931年)の建築とされます。大正年代に周次郎が起工し、弥六の代に完成しました。
Q波多腰家住宅文庫蔵の外観の特徴は?
A漆喰塗の壁に海鼠壁の腰をもち、両妻の2階の窓を華やかに縁取って、窓の上に屋号の紋を飾っています。
Q波多腰家住宅文庫蔵はどこに建っていますか?
A主屋の背後で、中庭を挟んで主屋と向かい合い、西を正面にしています。
Q波多腰家住宅文庫蔵はなぜ登録有形文化財なのですか?
A漆喰と海鼠壁の仕上げや窓まわりの意匠をもつ質の高い土蔵として、「再現することが容易でないもの」の基準で登録されました。
Q波多腰家住宅文庫蔵は見学できますか?
A屋敷の奥の中庭に面した個人の住まいの一部で、内部も中庭も公開されていません。

基本データ

名称波多腰家住宅文庫蔵
所在地長野県松本市波田6492
指定区分登録有形文化財(建造物)
指定年平成12年(2000年)4月28日登録
員数1棟
寸法土蔵造2階建、瓦葺、建築面積17平方メートル
所有者個人
公開状況非公開(個人住宅)。敷地外から外観のみ

参考文献

国指定文化財等データベース(文化庁)波多腰家住宅文庫蔵
https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00001704
松本市 波多腰家住宅〔11棟〕
https://www.city.matsumoto.nagano.jp/soshiki/134/3784.html
八十二文化財団 信州の文化財 波多腰家住宅文庫蔵
https://www.82bunka.or.jp/bunkazai/detail.php?no=4708

最終更新日: 2026.09.24